インサイトスコープ

原料はコーヒー豆と水だけ 「UCC BLACK無糖」ブランドの戦略第1回 指名買いユーザーをどうとらえるか

Facebook X
UCC上島珈琲株式会社
マーケティング本部 ブランド開発部 ブランド1チーム ブランドマネージャー

松野 宏昭

 UCC上島珈琲は、1987年に業界で初めて砂糖もミルクも加えないブラック無糖タイプの缶コーヒー製品を開発しました。その後1994年に「UCC BLACK無糖」ブランドを誕生させ、現在にいたります。私は、2016年の4月からブランドマネージャーとして「UCC BLACK無糖」ブランドを担当しています。今回の3回のコラムでは、私たちが「UCC BLACK無糖」ブランドを多くの方に愛飲していただくためにどんな取り組みをしているのかを紹介したいと思います。

リキャップ缶が好調

 UCC上島珈琲は、1987年に業界で初めて砂糖もミルクも加えないブラック無糖タイプの缶コーヒー製品を開発しました。その後1994年に「UCC BLACK無糖」ブランドを誕生させ、現在にいたります。私は、2016年の4月からブランドマネージャーとして「UCC BLACK無糖」ブランドを担当しています。今回の3回のコラムでは、私たちが「UCC BLACK無糖」ブランドを多くの方に愛飲していただくためにどんな取り組みをしているのかを紹介したいと思います。

 現在の缶コーヒー市場(ペットボトルを除く)は、出荷ベースで約3億4000万ケースになっています。そのなかで「UCC BLACK無糖」を含む無糖タイプは、昨年初めて1億ケースを超え、市場で飲まれている缶コーヒーの約3本に1本が無糖タイプという状況になっています。無糖タイプの成長を支えているのは、キャップ付きの缶コーヒー「リキャップ缶」で、持ち運びできる便利さもあり、毎年120%近い成長率の伸びを見せています。

 好調に見える缶コーヒー市場ですが、実はコンビニエンスストアがレジカウンターでコーヒーを提供するようになってから、売り上げを落としていました。ただ現在はその勢いも落ち着き、再び缶コーヒーに消費者が戻ってきています。缶コーヒー売り場は、ブランドやバリエーションが豊富で、リニューアルのサイクルも早いので変化があります。一方、コンビニエンスストアのカウンターコーヒーはそうした変化を見せにくい面があり、新規性で流れていた消費者が缶コーヒーに戻っているのではないかと見ています。

 自社で自販機を持つメーカーに比べると当然販売チャネルが限られますが、手売りチャネルNO.1を目指し取り組んでいます。競合ブランドは、加糖タイプや微糖タイプ、カフェオレなどのラインアップを揃えているのに対し、「UCC BLACK無糖」は、無糖タイプのみですので、売り場での「面」展開は不得手です。しかし、私たちはコーヒー直営農園を所有し「カップから農園まで」手がけているコーヒー専業メーカー。おいしさには絶対の自信があります。原料はコーヒー豆と水だけ。混じり気がないからこそ、素材や味の品質管理が難しい商品ですが、根強いファンのいるロングセラーブランドに育っています。


20170113_02



リキャップ缶は伸びしろの大きい分野。

加糖ミルク入りタイプのユーザーが無糖タイプへと移行

 「UCC BLACK無糖」では、ターゲットを2つの軸で考えています。ひとつは「UCC BLACK無糖」を愛飲していただいているロイヤルユーザーです。年齢でいうと40、50代の男性。もうひとつがこれからのブランドを支える、新たなロイヤルユーザーになっていく30代の男性です。職業的なセグメントとしては、ホワイトカラー層を意識しています。ロイヤルユーザーには今よりも飲用の頻度を高め、回転率を上げる、これからの層にはロイヤルユーザー化してもらえるような戦略を立てています。

 缶コーヒーユーザーは、大学生くらいの年齢から習慣的に飲みはじめる人が多く、いきなり無糖からという人は多くありません。つまり「UCC BLACK無糖」の新規ユーザーは、すでに缶コーヒーに慣れ親しんでいる人ということになります。そのため、私たちは砂糖入り、ミルク入りも含めた、缶コーヒーユーザーである人達の中から、「UCC BLACK無糖」を選んでもらうためにはどうすればいいかを考えています。

 次回は飲用シーンに合わせた味覚設計や、そのために実施している消費者調査についてお話しします。


20170113_03


いち早く無糖タイプの缶コーヒーを開発したUCC上島珈琲は、農園も直営している。

関連コラム

マーケティングコラム
あの世代の呼び方は何?各世代へのマーケティング方法もご紹介
「団塊の世代」や「Z世代」など、生まれた世代によってさまざまな名称が付けられています。マーケティング担当者であれば、それぞれの世代の名称と特徴を把握し、世代ごとにあわせたマーケティングを実施しましょう。 本記事では、それぞれの世代の呼び方について説明し、各世代に合ったマーケティング方法を解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
独身の人が増えすぎている?未婚の割合や増加の理由を解説
結婚して家庭をもつことが当たり前だった時代からは一変し、生涯を独身で過ごす人が増えています。なぜ未婚率が高くなっているのでしょうか。今回は、未婚の割合や未婚の人が増えている理由について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
中学生のスマホ使用時間の理想はどれくらい?スマホが及ぼす影響も紹介
近年、中学生からスマホを持たせる家庭が多いなか、使用時間の長さが問題視されているケースが多く見受けられます。スマホの使用時間が長いと学力に影響するといわれることもあり、子どもを持つ親からすると、「適切な使用時間の範囲で使わせたい」と考える方もいるようです。 今回は、中学生がスマホを使う時間の理想をはじめ、使用時間が長いとどのような影響を及ぼすのかを解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
犬派か猫派か?どちらが人気?性格や相性を徹底解剖!
ペットを飼っている人や、これから飼いたいと考えている人にとって気になるのが「犬と猫はどちらが人気なのか?」という点ではないでしょうか。また、犬派と猫派それぞれの性格や相性などについて気になる人も多いかと思います。本記事では、犬派と猫派どちらが多いのか、また性格や相性はどうかを徹底解剖します。弊社で行ったアンケート結果もふまえて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
α世代の次の世代とは?β世代の特徴や取り巻く環境を予測しよう
今注目されているZ世代の次がα世代と呼ばれており、さらにその次がβ世代にあたります。Z世代以降は、デジタルネイティブであることが特徴ですが、マーケティング担当者や商品の開発担当者であれば、β世代とはどのような世代なのか、今と取り巻く環境がどのように変化しているのか気になるのではないでしょうか。今回は、β世代の特徴やβ世代を取り巻く環境について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
推し活の経済効果はどれくらい?市場規模と推し活マーケティングのメリットとは
若年層に適確なアプローチができないなど、従来のマーケティング手法に限界を感じてはいませんか。商品やサービスのターゲットとして、「推し活に力を入れる消費者」に絞る方法もあります。 推し活とは、推し(お気に入りのキャラやアイドルなど)を応援する活動のことです。今回は、推し活の経済効果や企業が推し活マーケティングに力を入れるメリットについて紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
団塊の世代はいついなくなる?高齢化で生じる問題と対策を紹介
団塊の世代は、全人口に占める割合の大きさから、社会に多大なる影響を与えてきました。高齢化の話題に接して、団塊の世代の存在感に驚いた方もいるのではないでしょうか。今回は、団塊の世代の高齢化問題と企業の対策について紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
【TikTok】バズる時間帯はいつ?曜日ごとのバズりやすさとあわせて解説
TikTokは短期間で多くのユーザーにリーチできるプラットフォームです。しかし、効果的な運用には、適切な投稿時間を見極めなければなりません。社内でTikTokの運用を開始する際に、まず押さえておくべきなのが「バズりやすい時間帯と曜日」です。今回は、TikTokでバズるために最適な投稿時間や曜日について詳しく解説し、投稿時に押さえておくべきポイントについても紹介します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
海外で人気のあるSNSとは|ユーザー数や使われている国・特徴
海外進出を考える際には、進出先の国について詳しく理解しておく必要があります。政治・経済・文化などについて一通り把握する際に、SNS事情についてもチェックしておきましょう。国によって人気のあるSNSは異なり、日本ではほとんど使われていないSNSが人気の国もあります。進出先のSNS事情が分かれば、現地でのビジネスにも役立てられるでしょう。今回は、海外で人気のあるSNSについて解説します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
ご相談・お見積もり依頼
【法人・個人様】
フリーダイヤルでのお問い合わせ
0120-198-022
※ モニター様からのお電話でのお問い合わせは受け付けておりません。
資料ダウンロード