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エイジングケアの概念を変えた「B.A」第3回 若年層向けプロモーションと愛用者向けプログラム
公開日:
株式会社ポーラ
ポーラB.Aブランドマネジメントチーム B.Aブランドマネジャー
砂金 美和
ポーラの商品は、一部百貨店とECでも販売しているものの、売上の95%は、ビューティーディレクターによる対面販売。そのため、日々お客さまと接するビューティーディレクターへの高次元な価値伝達は欠かせません。商品機能に関する理解は当然ですが、「B.A」では、商品を使っていただくお客さまにどうあってほしいか、というブランドの「ストーリー」への理解促進にも力をいれています。私自身も現場へ赴いて、全国のビューティーディレクターへ直接思いを伝える機会を持っています。ビューティーディレクター一人ひとりが、ブランドの意志を受け継いで、人から人へ伝えていく体制づくりに努めています。
95%が対面販売
対面販売が基本なので、ダイレクトに売上実績を上げることを目的にしたマス広告は行っていません。しかし、ポーラという存在にまだ触れていない方たちに対して、接点を持つためのプロモーション活動は行っています。「B.A」では、お客さまに「すごいね」よりも、「いいね」と感じてもらいたいと考えています。「すごいね、でも自分には関係ない」となるのではなく、自分と関係あることとして「いいね」と感じてもらう、メッセージを発信していければと考えています。
近年、「B.A」ではWebを使った情報発信にも取り組んでいます。2016年は「人生は、30代から加速する。」というテーマで「じぶん美術館」という動画を制作しました。エイジングケアブランドとしては若い、30代をターゲットにしたこともあり、世間的な注目度も高くなりました。媒体としてWebを活用することになったのは、絞り込んだターゲットにメッセージを届けたいと考えたからです。市場調査で対象をセグメントしたのと同様に、プロモーションについても私たちのブランドとより親和性が高いと考えられる層をセグメントして届けられる媒体がWeb動画だったということです。
このプロモーションでは、ポーラという企業へのイメージに変化が見られています。ポーラの体験サンプリングなどに参加した方にご意見を聞いたり、ディスカッションをしたりする「VOICE PROJECT」というプログラムがあるのですが、そこでの調査によると、20~30代のポーラの顧客活動に対する理解が進み、好意的な印象が増えています。40代以下の世代は、化粧品のセルフ購入型世代で、化粧品は自分で選ぶ傾向にあります。一方、本当に自分に合ったものがほしくても、誰に相談すればいいのかわからず、口コミサイトに頼っているのが現状だと思います。そうした方たちに、Web動画をはじめとしたプロモーションや「VOICE PROJECT」のような取り組みを通じて私たちのビジネスモデルに触れていただくことで、対面販売の良さへの理解が深まっていると感じています。
30代向けのプロモーション「じぶん美術館」。安藤サクラさん、シシド・カフカさん、山田優さんが、
「じぶん史」をテーマに、生い立ちから現在、未来のイメージを語った。
トライアングル型の情報発信
ブランドとしてユーザーが増えてきたなかで見えてきた課題は、単品ユーザーの増加でした。単品ユーザーをロイヤルカスタマー化することと、すでにフルラインナップで愛用していただいている方々にVIPにふさわしい待遇を用意することで、よりブランドへの愛着を感じてもらいたいと考えています。これまでのブランドからビューティーディレクターへ、ビューティーディレクターからお客さまという一方通行のダイレクトコミュニケーションから、ブランドからお客さまというダイレクトコミュニケーションを加えることで、トライアングル型の情報発信ができる仕組みづくりを目指しています。
今後は、セグメントした層における新たな出会いを増やす取り組みを進めるとともに、「Club B.A」のようなロイヤルティプログラムで、双方向のコミュニケーションを確立し、お客さまと一緒にブランドの新しい価値を築いていくような仕組み作りをしていきたいと考えています。