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エイジングケアの概念を変えた「B.A」第2回 女性の生き方、肌に対する意識を反映する
公開日:
株式会社ポーラ
ポーラB.Aブランドマネジメントチーム B.Aブランドマネジャー
砂金 美和
2015年のリニューアルは、ブランド誕生30周年を記念するとともに、エイジングケアの概念を「抗う」から「活かす」へシフトすることをより明確にするものでもありました。打ち出したのは「ジェネシスバイオアクティブ理論」です。「活かす」エイジングケアへの転換を機に提唱した、肌が本来持っている能力を最大限に引き出す「バイオアクティブ理論」をさらに進化させたものです。
肌の持つ力を引き出すアプローチ
2015年のリニューアルは、ブランド誕生30周年を記念するとともに、エイジングケアの概念を「抗う」から「活かす」へシフトすることをより明確にするものでもありました。打ち出したのは「ジェネシスバイオアクティブ理論」です。「活かす」エイジングケアへの転換を機に提唱した、肌が本来持っている能力を最大限に引き出す「バイオアクティブ理論」をさらに進化させたものです。注目したのは、胎児が皮膚を生成するときに使われる物質のひとつである「バーシカン」。年齢とともに減少するこの物質を増やすことができれば、活発な肌生成のサイクルを再現できると考え「バーシカン」を生み出す力を高める素材「ゴールデンLP」を開発、新しい「B.A」の成分としました。この進化した理論と、新たに開発した成分で、肌そのものを生み出すサイクルをもう一度活性化することを目指しています。
「活かす」エイジングケアへとブランドの方針転換を決断した背景には、消費者調査の結果もあります。女性の価値観を聞く調査も行っており、例えば「あなたにとって肌とはどんな存在か」という質問に対し、ある女性が「私にとって肌は名刺です」という回答は印象的でした。肌は、食生活や、どのようにお手入れをしているかによっても変わります。ストイックな人なのか、穏やかに生きているのか、といったパーソナリティーも肌から見えてくるというのです。女性にとって肌というパーツが「生き方」そのものであるかのように大事なものだという考え方に触れて、私たちも、使う人の生き方を反映できるようなエイジングケアのあり方を考えなければならないと感じました。
しわやたるみといった加齢によるダメージは、起こるという事実そのものに個人差はありません。そうしたものを軽減・解消するケアではなく、生活者一人ひとりの美容に対する意識や行動を活かせるようなケアでないと、エイジングケアとしてパーフェクトな提案とは言えないのではないかと考えました。「ゴールデンLP」など、肌の持つ能力を活かす成分は配合されていますが、その力をどう活かすのかはユーザーに委ねられています。一人ひとりの女性がどんなお手入れをするか、どのように肌をいたわるのかという行動によってその成果も変わります。しわを取る、シミを消すという部位だけの提案ではなく、本人の持っている能力を活かしていくためのアプローチをし、ユーザーがそれを最大化する余地を持つことも、「今」という時代だと感じています。
生活の中で「美」を刺激するパッケージ
私たちがエイジングケアへの意識を転換したように、ブランドの方向性を考えるうえでも生活者のインサイトをいかにとらえていくかは重要です。そのために、Webアンケートやグループインタビューなど、さまざまな調査を行っていますが、目的としては商品開発よりも、生活者の方がどんなことを大事にしているのか、将来どうありたいかといった価値観を知るための調査を重視しています。また、対象についても、年齢ではなく、意識や感度で選んでいます。生活や美容に対する意識、情報アクセスのリテラシーや感受性を判断する質問でスクリーニングして、対象を「B.A」ユーザーの価値観に見合う人々をセグメント化したうえで調査を進めています。パッケージについても、そのものが芸術性の高いものであるべきだと考えています。POLAという企業が「Scienceサイエンス」、「Artアート」、「Loveラブ」を大事にしようという考えを持っており、生活のなかで「美」の感性を刺激する物であって欲しいという思いから、パッケージや香りにもこだわっています。私たちの商品は店頭で販売するものではなく、ビューティーディレクターと呼ぶ販売員による対面販売が基本です。販売店で売られる商品は、パッケージに商品名や機能をうたい、手に取っていただく工夫が必要ですが、当社の商品はその必要がありません。この利点を生かし、ユーザーの自宅に置いてあるときに美しくあることをイメージして作りました。
今回は、正面を「面」ではないデザインを採用しました。現代の女性がその人生において、オンとオフ、家族や人との関わりのなかでいろいろな面を持っているということを象徴しています。そうしたなかで、世の中や時代を切り拓いていく存在であることを、角をセンターに置いていることで表現しました。箱の内側には、フラワーアーティストの東信さんにオリジナルアートワークを作成してもらい、花の持つ生命美を、人生と重ねて表現してもらいました。
カラーについても、従来からダークカラーを採用していましたが、今回はより深いジェットブラックに近い黒を選んでいます。これは、黒が全ての色が混ざる色であることと、それを周囲が映るほどにツヤ感を持たせることで、周囲の魅力的な物を取り込んでいくような存在であることを意識しています。使う環境、置く場所によって映る景色が変わる、ユーザーの生活に置かれることで一人ひとりの「作品」として完成する形になっています。
次回は「B.A 」が行ったプロモーションの狙いと効果や新たに取り組んでいるロイヤルティプログラムについてお話しします。
写真は、クラブ会員向けのサンプルやパンフレット、マガジン。