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大幅リニューアルでV字回復第3回 リアルさを追求する

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キリンビバレッジ株式会社
マーケティング本部 マーケティング部 商品担当 担当部長

笠井 隆秀

 流通の方々からの新しい「生茶」の反応は、味はもちろん、ボトル形状が斬新で手に取りたくなる、という評価を発売前からいただいていました。ただし、リニューアル前までの「生茶」のイメージを払拭することが必要であり、営業部門ではワイングラスに生茶を入れて試飲してもらう独自の工夫をしたケースもありました。今回のリニューアルに賭ける本気度はバイヤーにも伝わったようで、「今年は生茶しかないですね」「突き抜けたね」といった声もいただきました。

CMは出演者のアドリブで

 流通の方々からの新しい「生茶」の反応は、味はもちろん、ボトル形状が斬新で手に取りたくなる、という評価を発売前からいただいていました。ただし、リニューアル前までの「生茶」のイメージを払拭することが必要であり、営業部門ではワイングラスに生茶を入れて試飲してもらう独自の工夫をしたケースもありました。今回のリニューアルに賭ける本気度はバイヤーにも伝わったようで、「今年は生茶しかないですね」「突き抜けたね」といった声もいただきました。

 広告展開については、「キリングループの良さは誠実で真面目なものづくりにあるので、その部分を素直に知らせよう」という方針でのぞみました。起用した吉川晃司さん、吹石一恵さん、波瑠さんには、新しくなった生茶を飲んだ感想を語ってもらい、その様子をCMにしました。完全にアドリブでしたが、結果的に、誠実なものづくりを伝えたい、という意図が反映されたものになったと思います。

 この手法の狙いはメーカーからブランドについての“規定をしない”“押し付けをしない”ということです。メーカー側が規定した“フィクション”のメッセージを発信する形式では、従来の緑茶の既成概念から脱出することはできません。“リアルさが感じられるものこそ、消費者から求められている”と考えています。


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リニューアル後、緑茶の男性ヘビーユーザーの反応が想定よりも良かった。

消費者調査で方向性を確認

 緑茶市場は、新しいブランドが登場するたびに主役が交代してきました。なぜ主役交代が起きてきたのか。調査をした結果、20〜30代の女性の飲用率とブランドの主役交代がリンクしていることが分かりました。20~30代女性は、他世代に比較して、時代の価値観や自らモノを選ぶ判断基準を持っている人が多いというのは、マーケティングをされている方ならお分かりのことと思います。一般的にお茶に関しての調査では、全世代の意見を聞きますが、「生茶」のリニューアルでの定性消費者調査では、対象者を20~30代女性のみに絞りました。この層から「新しい」「今までと違う楽しみ方ができそう」という声が上がらなければ、リニューアルをしても仕方がないと思っていました。

 ちなみに調査の目的は、あくまで自分達の方向性やつくりたいものが、大きく間違っていないかを確認するためです。調査だけでは商品はつくれません。

 リニューアル後は、緑茶の男性ヘビーユーザーの反応が想定よりも高く、今の販売の好調さを支えてくれています。20~30代女性は、時代の変化を先にとらえている人が多いために主役交代時に目立っていますが、良いものが欲しい、自分で見つけたいという感度を持つ人は、性別や年代に関係なく存在していることを実感しました。リニューアルして数日後に、「生茶」を鞄から出す40代男性ビジネスマンを何人も見かけて、消費者が求める価値観に合ったものができたなと感じてうれしく思いました。これからも新しい緑茶カルチャーを作っていけるよう歩みを止めずに進んでいきたいと考えています。


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新しい緑茶カルチャーづくりに挑む、生茶の広告展開。

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