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大人向け音楽教室のユーザーインサイト第1回 子どもの頃に習った音楽を再び 消費市場

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株式会社ヤマハミュージックジャパン
事業企画部 部長

鞍掛 靖

ヤマハミュージックジャパンは、ヤマハの国内向け販売会社として2013年に設立されました。楽器などの卸販売のほか、楽器利用者のすそ野を広げるための教室事業を展開しています。私は事業企画部に属し、広報的な業務を、ときにはヤマハ本社と連携をとりながら担当しています。今回は、3回のコラムを通じて、大人市場に向けての私たちの取り組みについてご紹介します。

11万人が通う「ヤマハ大人の音楽レッスン」

ヤマハミュージックジャパンは、ヤマハの国内向け販売会社として2013年に設立されました。楽器などの卸販売のほか、楽器利用者のすそ野を広げるための教室事業を展開しています。私は事業企画部に属し、広報的な業務を、ときにはヤマハ本社と連携をとりながら担当しています。今回は、3回のコラムを通じて、大人市場に向けての私たちの取り組みについてご紹介します。

ヤマハ大人の音楽レッスンは1986年に「ヤマハポピュラーミュージックスクール」としてスタートし、来年で30年になります。現在の会員数は約11万人、全国1400の会場で開講されています。余暇を充実させたい方から、本格的に演奏をマスターしたい方まで、様々な方が受講されています。


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一方、子供向けの「ヤマハ音楽教室」は生徒数が約32万人。大人向けの約3倍の規模で、全国3500会場で展開しています。教室事業は今も子供向けが主力であることに変わりはありませんが、少子化が進む中で、今後成長が見込まれる大人向け市場を強化しようということで、ヤマハミュージックジャパンを設立した2013年頃から大人向けレッスンのテレビCMの放映など様々な施策を進めています。

有望なターゲット層は50代

「「ヤマハ大人の音楽レッスン」は37のコースを用意しています。これは、楽器の種類だけではなく、例えばピアノなら初心者向けのコースやジャズピアノ、ポピュラーピアノなど、志向やジャンル、またはレベルに応じて複数のコースに分かれている楽器もあります。最も人気がある楽器はピアノで、ほかはサクソフォン(サックス)、ドラム、フルート、アコースティックギターなどが人気です。上位の楽器については、講師が多く、開講しやすいことも人気の理由になっています。70代ではウクレレの人気が高いなど、年代別の特徴も若干ですが存在しています。


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受講生の男女比は、女性が約65%、男性が約35%です。以前は女性が7割を占めていましたが、男性の受講数も増えてきています。大人向けの教室は、子供と同じ会場を使用するケースもありますが、特に都心部を中心にロビーなどを整備した大人専用会場をつくるなどの取り組みを進めています。

実際にレッスンに通っているのは20~60代までの各世代が同程度ずつの割合ですが、今後有望なターゲットとしては、50代をボリュームゾーンとして見ています。これは、総務省の調査などでも趣味・娯楽に対する行動率が伸びているのが50代以上という結果がでているからです。他の調査でも趣味活動における楽器演奏は上位にランキングされ、年齢が上がるほど活動実績が上がっているという結果も出ています。また、楽器演奏に興味があるという男性が、50代では92.5%に上るという調査結果もあり、大人向け音楽教室に対するニーズは確実に存在していると考えました。

データに基づいたことではありませんが、この年代は、若い頃に聞いていた音楽ジャンルも幅広く、音楽に対する嗜好性も多様なため、いろいろな楽器に興味を持つ機会も多いのではないかと考えています。ヤマハとしては、ヤマハ音楽教室が始まったのが1954年なので、かつて音楽教室に通っていて、楽譜が読めたり、楽器を演奏したことがあるという人達が大人になって「また演奏してみたい」と思っているのではないかと感じています。

各コースのアンケート調査では、習っている楽器に触れるのが初めてという割合が7割と初心者の方が受講するケースが多くなっていますが、これはそのコースの楽器に触れる機会について聞いたものなので、音楽教室で何らかの楽器に触れた機会とは異なるものととらえています。

次回は、大人をとらえるために私たちが実施している施策を紹介します。

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