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習慣を変えるためのマーケティング第2回 消耗戦からの脱却が市場拡大への道
公開日:
ジョンソン・エンド・ジョンソン コンシューマー カンパニー
マーケティング本部 グループブランドマネジャー
寺西 正和
リステリンは世界で最も歴史のあるマウスウォッシュ(洗口液)のブランドで、すでに誕生から100年以上が経ちます。日本で発売されたのは1985年。2007年にはファイザー社がブランドをジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)に事業を売却し、以降はJ&Jのオーラルケアブランドの一つとして展開されています。
訴求ポイントを口臭予防から口腔ケア全般にシフト
リステリンは世界で最も歴史のあるマウスウォッシュ(洗口液)のブランドで、すでに誕生から100年以上が経ちます。日本で発売されたのは1985年。2007年にはファイザー社がブランドをジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)に事業を売却し、以降はJ&Jのオーラルケアブランドの一つとして展開されています。日本のマウスウォッシュカテゴリーは、使用者、購入者ともにやや女性が多く、年齢層で見ると中高年が比較的多いのが特徴です。競合するブランドはG・U・M(ガム・サンスター)、モンダミン(アース製薬)などですが、リステリンは高い殺菌力と刺激的な使用感が特徴で、初めて体験する人は「辛い」、「痛い」などと感じる方が多いと思います。また、角ばったボトルの形状やロゴデザインから男性的なイメージで見られることもあり、使用者としてはカテゴリー全体の傾向とは異なり、若干男性の方が多くなっています。年齢層もマウスウォッシュとしてのボリュームゾーンである40代から50代より少し若く、30代から40代のユーザーがメインです。
マウスウォッシュのような一般消費材は、ショッパーとユーザーのプロファイルが異なることが多く、リステリンもその例にもれずメインショッパーは女性です。そのため、コミュニケーションのターゲットとしては30代から40代の広告反応率が高い女性を設定しています。一方で、昨年に発売したノンアルコールタイプの新製品「トータルケア ゼロ」や一昨年の秋に導入した「ナチュラルケア」など、低刺激の商品バリエーションが増えてきたこともあり、リステリンブランドにおいても、女性のユーザーが徐々に増え、現在男女比は半々に近づいています。
コミュニケーションの具体的な内容として、口臭対策などのエチケットユースを主にしていた従来型のマウスウォッシュの使用促進から脱却し、マウスウォッシュを使用することでお口の健康全体を守るオーラルケアの手段のひとつとして根付かせるため、リステリンを使う理由や殺菌効果を、独特の使用感と結びつけて啓発しながら訴求してきました。ガムやミントタブレットで代用できる口臭対策ではなく、口内を殺菌することで歯垢の沈着や歯肉炎などの口腔トラブルを防ぎ、毎日続けることで口内を健康に保てるというコミュニケーションを継続して展開した結果、ブランドは飛躍的に成長しました。以前はカテゴリー内の3番手ブランドが定位置だったところから、昨年の新製品発売以降はトップシェアにかなり近い位置にまでくることができました。
既存のユーザーを奪い合うだけでは未来はない
マウスウォッシュはテレビCMの影響が強く出るカテゴリーでもあります。女性の中でも広告反応率が高い人をターゲットに設定している理由のひとつもここにあります。私たちのテレビCMは、製品機能を印象づけるブランド広告と、豊富な製品群とそれぞれの特徴を印象づけるような広告の2種類を一定の期間を設けて交互に、年間52週の半分くらい投下しています。カテゴリーとしてテレビ広告への反応率が高いので、リステリンに限らずカテゴリー全体でテレビと店頭を連動させた販売方法に力を入れています。具体的には、トライアル品やおまけを付けたプロモーションパックのようなものが主流です。コミュニケーションによってマーケット内でのシェアは上がりましたが、それは主に他ブランドからのスイッチが中心で、マウスウォッシュ全体の使用者を大幅に増やすことにまでは至っていません。また、テレビと連動した店頭販売もCMの放送期間中はシェアが上がるものの、終われば下がるということを繰り返しています。どちらも、限られたユーザーを奪い合うことになるので、価格競争になってしまいます。
私たちがリステリンに感じているブランドの成長ポテンシャルを考えても、競合からシェアを奪うだけでは、目指している長期的なビジネスにおける成功にはつながりません。また、テレビとの連動で一時的なシェアを伸ばすだけでは価格競争という消耗戦に陥りがちです。ブランドをより成長させるために、また、価格競争やおまけをつけたプロモーション品などの消耗戦から脱却するためにもマウスウォッシュ全体のユーザーをいかに底上げするか、市場そのものを拡大するかが今後取り組まなければならない課題になっています。
そこでこの春から、マウスウォッシュ市場の拡大に向け新しいプロモーションを開始します。次回は、その新たな施策についてご紹介します。