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フットケアで市場をつくる!第1回 グローバル本社との攻防

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レキットベンキーザー・ジャパン株式会社
マーケティング本部 カテゴリーマネージャー

劉 西喬

私は、英国に本社を置くレキットベンキーザーのフットケア専門ブランド「ドクター・ショール」の日本国内でのマーケティングを担当しています。2014年9月に発売した足の角質ケアの新商品「ベルベットスムーズ 電動角質リムーバー」を中心に、私たちのフットケア商品におけるマーケティング施策についてご紹介します。

発売3カ月で30万個超の売れ筋商品に

私は、英国に本社を置くレキットベンキーザーのフットケア専門ブランド「ドクター・ショール」の日本国内でのマーケティングを担当しています。2014年9月に発売した足の角質ケアの新商品「ベルベットスムーズ 電動角質リムーバー」を中心に、私たちのフットケア商品におけるマーケティング施策についてご紹介します。

ベルベットスムーズ 電動角質リムーバーは、発売から3カ月足らず(2014年12月時点)で30万個を売り上げました。足の角質除去というニッチな用途で、価格も3980円と決して割安感のある商品ではないにもかかわらず、好調な実績を上げています。小売店でもスーパーやドラッグストアといった実店舗のほか、Amazonや楽天市場などのECでも売れており、どちらのバイヤーさんにも高い評価をいただくなど、私たちのビジネスにとっても、お取引先にとっても非常に貢献度の高い商品と評価されています。


20150109_02ベルベットスムーズ 電動角質リムーバー


ベルベットスムーズは2年ほど前にヨーロッパで発売され、それから様々な国に広がっていきましたが、日本で売り出すまでには紆余曲折がありました。私自身、日本の市場で売れるという確信をなかなか持てなかったのです。

「売れる!」確信に変わるまで

発売前にコンセプトテストをしていた2年半前、グローバルでブランドを管理する部門から日本でも同時に発売することを勧められました。そのときは製品自体に新しい要素も見られず、価格も日本円で5000円以上と割高に感じたこともあり、導入を見送りました。

その後、ヨーロッパで発売されると売れ行きが良かったことから、日本での発売を再び勧められました。そのときも営業担当と話し合い、やはりコンセプト面も価格面からも厳しいだろうという結論を出し、申し出を断りました。ヨーロッパではコストコやウォルマートのような量販店が主要なチャネルのため多少高額でも売れていましたが、日本で当社の販路はドラッグストアが中心。そこで5000円を越える商品はほとんど並んでいなかったからです。

ところが、向こうも簡単に引き下がりませんでした。「それでも日本でローンチせよ」と今度は強い指示が来ました。日本で行ったコンセプトテストで、100人中1人しか購入意向を示さなかったというデータも出したのですが、それでも首を縦に振ってくれません。

そこで、消費者への訪問調査を行い、実際に使用した感想をフィードバックしてグローバルの部門を説得することにしました。すると、消費者調査の反響が予想に反して好評だったのです。1週間の調査で、1~2日目は「意外と好評」との感触を得ましたが、3~4日目に「日本でも売れる」と感じるようになり、調査終了時は確信に変わっていました。

先に行っていたコンセプト調査の結果が悪かったのは、グローバルが作っていたコンセプトがうまく商品の性質を伝えきれていなかったことと、商品自体が新しいものだったので、消費者が良いものかどうかを判断できなかったからという結論に至りました。訪問調査で実際に使ってもらうと、多くの人がサンプル商品をなかなか返してくれないほど気に入りました。また、コンセプトを伝えるよりも、海外でオンエアしているCMを見せた方がより商品特性が伝わりました。

私たちもこの調査で、日本でも売れる商品だと確信できたので、なんとかうまくローンチしたいと思うようになりました。私たちがそれまで強く主張していた意見を変えたので、日本法人の社長は驚いていましたが、こうした経緯でベルベットスムーズをローンチすることになりました。


20150109_03


価格をめぐる「ゆずれない一線」



販売価格については、私たちは3980円で行きたいと主張していましたが、こちらもすんなりとは行きませんでした。グローバルでは39.9ユーロと6000円に近く、他国との価格差がありすぎることが指摘されたのです。私たちはある程度衝動買いできる価格帯をつけたかったので、調査の結果4000円が気軽に出せるボーダーラインだろうとの結論に至りました。もし1000円高く4980円で売り出した場合でのシミュレーションでは、販売個数が大きく下がって赤字になるとの試算が出ていました。もちろん、出すからには失敗はできません。ここはどうしても譲れませんでした。

最終的には何とか私たちの主張を受け入れてくれました。グローバルとの交渉には苦労しましたが、納得のいく形で日本で発売することができました。

次回は、テレビCMやデジタルなどのプロモーション施策についてご紹介します。

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