インサイトスコープ

コーヒー飲用者のインサイトを探る第1回 パーソナル化進む家庭用コーヒー市場

Facebook X
三宮 智昭
味の素ゼネラルフーヅ株式会社
家庭用事業部家庭用第一部 Stickグループ 統轄マネージャー

三宮 智昭

スティック状の袋に1杯分ごとの粉末を詰めたAGF(味の素ゼネラルフーヅ)のスティックコーヒーは、2002年の発売以降、右肩上がりの成長を続けています。〈ブレンディ〉スティック、〈マキシム〉スティックのブランドで展開しているAGFのスティックカテゴリーの出荷額は、2010年度は100億円ほどでしたが、今年度には約3倍の300億円にまで伸びる見通しです。
 
 

スティックカテゴリーは5年で約3倍に

 
 
スティック状の袋に1杯分ごとの粉末を詰めたAGF(味の素ゼネラルフーヅ)のスティックコーヒーは、2002年の発売以降、右肩上がりの成長を続けています。〈ブレンディ〉スティック、〈マキシム〉スティックのブランドで展開しているAGFのスティックカテゴリーの出荷額は、2010年度は100億円ほどでしたが、今年度には約3倍の300億円にまで伸びる見通しです。
 
 
20140822_02
 
 
今回から3回のコラムでは、スティックコーヒーのマーケティング施策や、その取り組みを通じて気づいた消費者インサイトについて紹介します。

コーヒー市場のうち、スティックコーヒーのカテゴリーで当社はトップシェアを維持していますが、カテゴリー全体でも、2004年からの10年間で売上規模は2.8倍に成長しています。1杯分ごとにドリップコーヒーを詰めたパーソナルレギュラーコーヒーも伸びており、コーヒー市場はパーソナル化が進んでいると言えます。
 
 
20140822_03
 
 
なお、上のグラフを見てもわかるようにコーヒー市場自体も伸びています。これは、コーヒーという飲み物を提供するスタイルのバリエーションの豊富さにひとつの理由があると思います。外食やスティック、インスタントはもちろん缶コーヒーなど、多種多様なバリエーションがあります。それぞれの革新的な提案が途切れずに起こり続けているという良いサイクルが維持されています。

家庭用にインスタントコーヒーが発明され、対抗馬としてパーソナルドリップが出てきたり、外食ではスターバックスなどのプレミアムコーヒーや、最近のサードウェーブやセブンカフェといった具合に、常に革新が生まれてくる構造ができています。こうしてマーケットは拡大し、提案の循環によって業界全体が成長を続けることができているのでしょう。こうした循環は他の飲料にはあまり見られません。例えば紅茶では、ティーバッグがひとつの革新でしたが、それ以降、キリンの「午後の紅茶」のヒットを除いてはあまり新しい提案が出てきていません。
 
 

さらなる成長が期待できる市場

 
 
順調に売り上げを伸ばしている〈ブレンディ〉スティックですが、まだ充分に掘り下げられていない層がたくさんあると感じています。女性の購入率でも、インスタントコーヒーは6割近くあるのに対して、スティックはまだ4割ほどにとどまっています。購入率をインスタントコーヒー並みに上げることができれば、市場は1.5倍になります。

また、飲用頻度で見ても、インスタントコーヒーは年間で1人平均400杯くらい飲まれているのに対し、スティックは年間100杯も飲まれていません。

これまでカフェオレを中心に展開していましたが、最近はブラックコーヒーのスティックが好調で、売り上げが昨年比1.5倍くらいのペースで伸びています。ブラックは、カフェオレと違い甘さやミルク感など、味の再現性を訴求しにくいのでスティック化のメリットがないとされてきました。それでも、個包装による鮮度の高さや、気分によって選びやすいといったスティックの利便性が浸透した結果、ブラックコーヒーでもスティックを選ぶ人が増えているのです。継続した購買促進の策などの提案を打ち続ける必要はありますが、〈ブレンディ〉スティックは今の倍くらいの売上げ規模にはできるのではないかと考えています。
 
 
20140822_04
 
 
ちなみに、「スティック」はコーヒー以外にも様々な飲料で展開しています。さきほどあまり革新がないと言った紅茶市場で当社は、「ティーハート」でスティック化を提案しました。こちらも、直近の5年で紅茶の市場構成比を13%から31%に伸ばしています。もしかするとあと数年で現状5割にあるティーバッグと逆転するかもしれません。
 
 
20140822_05
 
 
次回は、消費者ニーズをどのように探ってきたかについてご紹介します。

おすすめのコラム

マーケティングコラム
あの世代の呼び方は何?各世代へのマーケティング方法もご紹介
「団塊の世代」や「Z世代」など、生まれた世代によってさまざまな名称が付けられています。マーケティング担当者であれば、それぞれの世代の名称と特徴を把握し、世代ごとにあわせたマーケティングを実施しましょう。 本記事では、それぞれの世代の呼び方について説明し、各世代に合ったマーケティング方法を解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
独身の人が増えすぎている?未婚の割合や増加の理由を解説
結婚して家庭をもつことが当たり前だった時代からは一変し、生涯を独身で過ごす人が増えています。なぜ未婚率が高くなっているのでしょうか。今回は、未婚の割合や未婚の人が増えている理由について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
α世代の次の世代とは?β世代の特徴や取り巻く環境を予測しよう
今注目されているZ世代の次がα世代と呼ばれており、さらにその次がβ世代にあたります。Z世代以降は、デジタルネイティブであることが特徴ですが、マーケティング担当者や商品の開発担当者であれば、β世代とはどのような世代なのか、今と取り巻く環境がどのように変化しているのか気になるのではないでしょうか。今回は、β世代の特徴やβ世代を取り巻く環境について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
中学生のスマホ使用時間の理想はどれくらい?スマホが及ぼす影響も紹介
近年、中学生からスマホを持たせる家庭が多いなか、使用時間の長さが問題視されているケースが多く見受けられます。スマホの使用時間が長いと学力に影響するといわれることもあり、子どもを持つ親からすると、「適切な使用時間の範囲で使わせたい」と考える方もいるようです。 今回は、中学生がスマホを使う時間の理想をはじめ、使用時間が長いとどのような影響を及ぼすのかを解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
犬派か猫派か?どちらが人気?性格や相性を徹底解剖!
ペットを飼っている人や、これから飼いたいと考えている人にとって気になるのが「犬と猫はどちらが人気なのか?」という点ではないでしょうか。また、犬派と猫派それぞれの性格や相性などについて気になる人も多いかと思います。本記事では、犬派と猫派どちらが多いのか、また性格や相性はどうかを徹底解剖します。弊社で行ったアンケート結果もふまえて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
推し活の経済効果はどれくらい?市場規模と推し活マーケティングのメリットとは
若年層に適確なアプローチができないなど、従来のマーケティング手法に限界を感じてはいませんか。商品やサービスのターゲットとして、「推し活に力を入れる消費者」に絞る方法もあります。 推し活とは、推し(お気に入りのキャラやアイドルなど)を応援する活動のことです。今回は、推し活の経済効果や企業が推し活マーケティングに力を入れるメリットについて紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
団塊の世代はいついなくなる?高齢化で生じる問題と対策を紹介
団塊の世代は、全人口に占める割合の大きさから、社会に多大なる影響を与えてきました。高齢化の話題に接して、団塊の世代の存在感に驚いた方もいるのではないでしょうか。今回は、団塊の世代の高齢化問題と企業の対策について紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
デジタルデトックスは効果なし?得られる効果と実践方法を解説
デジタルデトックスとは、一定期間スマートフォンやPCなどのデジタルツールから離れることで、ストレスを軽減する取り組みのことです。デジタルツールに囲まれて生活する方が多い現代社会のなかでは、ストレスや心身の疲れを緩和する効果が期待できるといわれています。 しかし、「デジタルデトックスには効果がない」といった意見も見受けられます。今回は、デジタルデトックスには効果がないといわれてしまう理由や、より効果的にデジタルツールと距離を置く方法について解説します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
人工知能(AI)で未来はどう変わる?人工知能の現状と予測される変化
まるで人間のように何でも質問に答えてくれる対話型AI「Chat(チャット)GPT」の出現に世界が揺れています。人工知能とは、人間のような知能を持つコンピュータシステムのことで、AIとも呼ばれます。例えば、スマートスピーカーやスマホの顔認証システムなどは人工知能の一種です。スマートスピーカーなら人間の声から話している内容を理解して、その対応まで行います。顔認証システムなら、顔から同一人物かどうかを判断するでしょう。近年は、「Chat GPT」のような人工知能がめざましく発達しています。この調子で人
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
ご相談・お見積もり依頼
【法人・個人様】
フリーダイヤルでのお問い合わせ
0120-198-022
※ モニター様からのお電話でのお問い合わせは受け付けておりません。
資料ダウンロード