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デジタルマーケターの心得第2回 120万回再生された動画プロモーションの裏側

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日本ロレアル株式会社
コンシューマー事業本部 ロレアル パリ事業部 デジタル マーケティング マネージャー

宮野 淳子

私たちがプロモーションにオンライン動画を活用したのは、スキンケアブランド「リバイタリフト」のUVケア商品です。

マーケティング予算を全額デジタルに投下

私たちがプロモーションにオンライン動画を活用したのは、スキンケアブランド「リバイタリフト」のUVケア商品です。

ロレアルグループのUV商品には、当社の特許で、UVA、UVBという2種類の紫外線をブロックして日焼けを抑えるだけでなく、光安定性に優れているメギゾリルを世界特許として使用しながら、エイジングケアに特化しています。これは、グループのUV商品のプロモーションとしても訴求しつづけてきたことですが、よほど興味のある人にしか伝わりません。

店頭でも美容部員がいるところは販売効果が期待できますが、ロレアル パリのようなセルフブランドでは、その商品特性を店頭で伝えることができません。一方競合は、大量にテレビCMを投入しているので、ドラッグストアやバラエティストアの店頭では前面に打ち出され、消費者もそちらを手にすることになってしまいがちです。

こうした店頭状況と限られたマーケティング予算の中での私たちの課題は、消費者が店頭へ行く前に差別化して、マインドシェアをとっていくということになります。そこで、私たちが戦略として掲げている「New& Different」を重視し、競合がやっていない、何か違ったアクションを起こすことを考えました。

競合が大量にテレビCMを出している中で、微量のテレビCMをしても目立たないので、予算を全額デジタルメディアに集中投下することにしました。そこで、認知の最大化を狙い、紫外線の種類などの難しい説明ではなく、違う方法で差別化をする方法としてオンライン動画を採用しました。
そこで考えたのは、商品ベネフィットをユニークな手法で伝えたいということと、ブランドへの理解促進や、来店前にインパクトを強めてマインドシェアをとるかということでした。ペイドメディアでリクルーティグをして、プロモーションサイトでUVの知識や商品の優位性を見せてサンプル応募や来店という一般的な流れにオンライン動画を加えることで新たな動線を加えるという全体図を描きました。

ブランド好意度アップや特長の理解促進に手応え

こうした意図で作られた「Go beyond protection」という動画では、まず日に焼けないというUVブロックの効果を見せています。さらに、ボディペインティングを用いたアートの美しさと、モデルが楽しそうに、満足そうにしている表情からUVケアの楽しさを表現しました。
UVケアは結果がわかりにくく、メイクの前に塗らなければならない面倒なものでもあるので、それをすることがいかに楽しく、将来の美しさにつながるかというモチベーションを与えることも意識しました。これは、ロレアルパリがミッションとしている世の中の女性を外見だけでなく、内面からきれいにするということにもつながっています。実は、この動画は、ロレアルのアメリカが作った「Go Beyond The Cover」というものをベンチマークにしています。「ダーマブレンド」というブランドのコンシーラーをプロモーションするためのものですが、予算が少ないなかで成功し、ニューヨークのタイムズスクエアで流されたり、OOHになったり、かなりの反響を得たものです。

結果として、「Go beyond protection」は120万回再生、838シェアを獲得しました。再生時間90秒の平均閲覧率は68.2%でした。90秒を100%としたときに、ほとんどの人が7割近くの時間を再生してくれたことになります。グーグルによると、CPG(消費財)領域の標準と比べても非常に長いとのことでした。
また、動画を見てプロモーションサイトに訪れた人は、見ていない人の2.5倍の滞在時間がありました。これは、動画を見た人がサイト内の紫外線やメギゾリルについての説明をしっかり読んだということだと思います。サンプル応募をしないでサイトを離脱する率も、動画を見た人では半減していました。売り上げについては、動画だけの効果ではありませんが昨年度との対比で27%アップを記録しました。市場全体の伸びが9%、競合他社が大規模なメディア投資をするコンペティテブな環境での結果なので驚きましたし、動画による影響もあったと考えています。
プロモーションの全体図から考えても、動画から訪問した人だけが滞在時間も長く、離脱率も低かったことから、動画に接触した人がより商品に興味を持ち、ブランドに対して好意的な行動をしていたことがわかります。
最終回は、オンライン動画を成功させる要素(5つ)とデジタル部門の役割についてご紹介します。

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