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所有から利用へ 自動車の乗り分けを実現する「Anyca」 ー 第3回 シェアリングは自動車の販売を伸ばすきっかけにもなる
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自動車の「所有」から「利用」へのシフトが進むことで危惧されるのが「自動車が売れなくなるのではないか」ということです。実際、近年は「若者のクルマ離れ」が話題になることも多い状況です。自動車メーカーだけではなく中古車販売業者にとっても、シェアリングの普及は消費者が自動車を買わなくても乗ることができると感じさせるという点では脅威であるといえます。
変わる自動車メーカー、中古車販売業者の意識
自動車の「所有」から「利用」へのシフトが進むことで危惧されるのが「自動車が売れなくなるのではないか」ということです。実際、近年は「若者のクルマ離れ」が話題になることも多い状況です。自動車メーカーだけではなく中古車販売業者にとっても、シェアリングの普及は消費者が自動車を買わなくても乗ることができると感じさせるという点では脅威であるといえます。しかし、最近はメーカーや中古車販売業者の意識もかなり変化しています。私たちを自動車に触れ、親しみを持つ機会を提供する存在として認める機会も増えています。メーカーが自らカーシェアを提供するケースも生まれています。
私たちもメーカーや中古車販売業者と共に、カーシェアを前提にした試乗・購入体験の再定義する取り組みを行っています。アウディジャパンとは、アウディファンのAnyca利用者に新車をシェアし、試乗機会を創出するキャンペーンを行いました。中古車買取・販売の「ガリバー」などを運営するIDOMは、一部店舗でAnycaを紹介し、購入後の活用機会を知らせることで購入の促進、ワンランク上の車種の購入検討のきっかけにする取り組みを行いました。当初は販売が減るのではないかという懸念もありましたが、そういったことはなく、販売とシェアリングは共存できることを証明できたと感じています。
シェアリングを前提とした車の購入も増えているという
日本より早くカーシェアをスタートさせていたアメリカでは、カーシェアリングを前提とした自動車の購入や、シェアリングを見越したリース商品も出ています。これを未来の日本の姿と考えれば、今、Anycaを使っているオーナーが次に自動車を買うときには、Anycaでシェアすることが意識にあるはずです。カーシェアという概念が自動車の購入、売却というサイクルに入り込み、回っていくようになれば、新車、中古車の販売も伸ばすことができるはずです。
今は文化を作っている最中
Anycaは2015年9月にサービス開始し、これまでに15万人以上の会員、6000台以上、700以上の車種が登録されています。「“乗ってみたい”に出会えるカーシェアリングアプリ」ということで、ドライバーが一度乗ってみたいと思うような車種を集めたことが今の成長を支えていると考えています。今後は、ドライバーが憧れる自動車を揃えることは継続しながら、「乗り分け」を実現するようなサービスを提供したいと考えています。近距離やちょっとした外出には軽自動車、グループで出かけるときにはSUVやワンボックスカー、デートにはオープンカーといった形で、シーンやニーズに合わせて自動車も選ぶことができれば消費者と自動車との関わり方も変わっていくはずです。
今はカーシェアリングで自動車を乗り分けるという文化を作っている最中だと思っています。誰もが乗りたいときに、乗りたいクルマ、必要なクルマを安心、安全に乗ることができるよう、最適なサービスとなるべく日々の活動を進めています。オーナーやドライバーを増やすことや、保険や保障の体制を整えることも大事ですが、Anycaの利用を通じて、日本のカーシェアリングはちゃんとしたサービスだと多くの人が感じる環境を作っていきたい。そのための努力を続けているところです。
安心・安全なカーシェアリングが当たり前な環境を作ろうとしている