インサイトスコープ

ecbo cloakの荷物預け体験から生まれる新たな出会い 第2回 預かる側と預ける側双方の「安心」「安全」を高める

Facebook X
ecbo株式会社
代表取締役社長

工藤 慎一

 荷物を預けるお客さまは、店舗の空きスペースに荷物を預けるとなると、荷物の安全が保たれるかどうかが心配事となります。預けた荷物の破損や、盗難が発生することはサービスとしては致命的です。

コインロッカーよりも高いセキュリティを実現するために

 荷物を預けるお客さまは、店舗の空きスペースに荷物を預けるとなると、荷物の安全が保たれるかどうかが心配事となります。預けた荷物の破損や、盗難が発生することはサービスとしては致命的です。

 一方で荷物を預かる店舗も、見ず知らずのお客さま、しかも言葉が通じないお客さまが来る場合もあり、コミュケーション面での不安があります。これもまたサービスを展開するにあたっては重要な課題となります。

 ライドシェアリングサービスの「Uber」では、乗客とドライバーが相互評価することで双方のクオリティを維持しています。これは他の多くのシェアリングビジネスでも踏襲されている仕組みです。私たちもこれを参考に、荷物を預けたお客さまが店舗のレビューをできる仕組みを導入しています。これによって、レビュー評価の低い店舗は自然と淘汰されていくと考えています。

 「ecbo cloak」では荷物を預かる店舗の受け入れ体制やセキュリティ面、安全面など、私たちが定める基準を満たす店舗だけが「ecbo cloak」のプラットホームに載ることができるようにしています。

 また、荷物を預ける側も、利用時に氏名、電話番号やメールアドレス、クレジットカードなどの個人情報の入力が必須になっています。こうして、荷物を預かる店舗、預けるお客さま双方に「安心」「安全」を感じてもらうことで、利用しやすいサービスを目指しました。


20180803_02
ユーザーとオーナをつなぐプラットホームを提供する


 加えて、荷物の破損や盗難という心配に対して、東京海上日動火災保険株式会社の協力を得て、私たちの企業として包括契約する形のオリジナルの保険を開発しました。これによって、お預かりした荷物に万が一のことがあった場合にも、1アイテム20万円まで補償することができるようになっています。

 通常であれば旅行保険のように、預ける際にその都度保険に入ることになりますが、私たちのサービスに付帯しているこのオリジナル保険であれば、面倒な手続きは不要です。この保険を用意することで、荷物の預かりを検討する店舗さまが「ecbo cloak」を導入するハードルを下げることができ、預けるお客さまにとってもより安心して利用することができるようになると考えています。

 私たちのサービスが存在感を発揮できているのは、「安心」「安全」に対して、しっかり考え、準備をしたからだと思っています。私たちの株主には駅のコインロッカーを所有するJR東日本やJR西日本がいますが、コインロッカーは匿名性が高く、無人なため、ある意味なんでも入れることができますし、預けたまま放置することも可能です。そういう意味では、「セキュリティに関しては私たちの方が高い」と評価してもらっています。

各地域に根付いた企業団体との連携で、サービスエリアを拡大

 「ecbo cloak」のサービスエリアは、日本全国に広まっています。東京、京都、大阪、福岡、沖縄、北海道といった観光客の集中する都市が店舗や施設も多くなっていますが、それらの主要エリアを含め現在37都道府県で私たちのサービスを利用できます。2018年中には47都道府県への拡大、全国1万店舗を目標にしています。

 とはいえ、私たちもまだ人員的なリソースは十分ではありません。東京近郊以外の店舗を開拓するにあたっては、企業や現地自治体との連携で進めています。関西ではJR西日本と提携し、店舗拡大をお願いしています。福岡には、担当者を常駐させていた時期もありますが、今はほかの地域と同様、地元の商店街などの協力を得ています。愛媛では、商店街の活性化を目的に設立された会社、沖縄は地元の旅行代理店と提携しています。

 地方では、インバウンドの観光客増加を期待しつつも、受け入れのための設備投資に課題がある場合が少なくありません。資金ももちろん、最も大きいのはノウハウです。そこで、私たちが荷物預かりのノウハウとインフラを提供することで、少しでも地域の課題解決に貢献できればという思いも持っています。

 地方では特に、新しいサービスへの心理的なハードルも高く、導入に苦労する面もありました。ですが、大都市でサービスが広まり、JRグループや郵便局、アパマンショップなどの大手企業とのコラボができたことで、受け入れてもらいやすくなりました。保険などと同様に、導入に不安を感じる部分をうまく取り除くことが大事だと感じています。

 サービスエリアが拡大するにつれ、荷物を預かる場所のバリエーションも増えています。飲食店や商店はもちろん、マンガ喫茶も24時間対応ができるということで人気です。JRグループとの協力ができたことで、駅での対応も実現しています。また、神社仏閣で対応してくださる場所もあります。

 2018年2月より一部の郵便局でも「ecbo cloak」が導入され、協力体制ができています。郵便局は荷物を預かるノウハウもありますし、海外旅行者にとってもどのような事業者であるかがイメージしやすいので、お客様にもこれまでよりも一層、安心感をもって荷物を預けてもらえるようになったと感じています。

 次回はより良い「荷物預け体験」を提供するためのコミュケーションと、今後の展開についてお話しします。

よく読まれている記事

マーケティングコラム
あの世代の呼び方は何?各世代へのマーケティング方法もご紹介
「団塊の世代」や「Z世代」など、生まれた世代によってさまざまな名称が付けられています。マーケティング担当者であれば、それぞれの世代の名称と特徴を把握し、世代ごとにあわせたマーケティングを実施しましょう。 本記事では、それぞれの世代の呼び方について説明し、各世代に合ったマーケティング方法を解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
独身の人が増えすぎている?未婚の割合や増加の理由を解説
結婚して家庭をもつことが当たり前だった時代からは一変し、生涯を独身で過ごす人が増えています。なぜ未婚率が高くなっているのでしょうか。今回は、未婚の割合や未婚の人が増えている理由について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
α世代の次の世代とは?β世代の特徴や取り巻く環境を予測しよう
今注目されているZ世代の次がα世代と呼ばれており、さらにその次がβ世代にあたります。Z世代以降は、デジタルネイティブであることが特徴ですが、マーケティング担当者や商品の開発担当者であれば、β世代とはどのような世代なのか、今と取り巻く環境がどのように変化しているのか気になるのではないでしょうか。今回は、β世代の特徴やβ世代を取り巻く環境について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
中学生のスマホ使用時間の理想はどれくらい?スマホが及ぼす影響も紹介
近年、中学生からスマホを持たせる家庭が多いなか、使用時間の長さが問題視されているケースが多く見受けられます。スマホの使用時間が長いと学力に影響するといわれることもあり、子どもを持つ親からすると、「適切な使用時間の範囲で使わせたい」と考える方もいるようです。 今回は、中学生がスマホを使う時間の理想をはじめ、使用時間が長いとどのような影響を及ぼすのかを解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
犬派か猫派か?どちらが人気?性格や相性を徹底解剖!
ペットを飼っている人や、これから飼いたいと考えている人にとって気になるのが「犬と猫はどちらが人気なのか?」という点ではないでしょうか。また、犬派と猫派それぞれの性格や相性などについて気になる人も多いかと思います。本記事では、犬派と猫派どちらが多いのか、また性格や相性はどうかを徹底解剖します。弊社で行ったアンケート結果もふまえて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
推し活の経済効果はどれくらい?市場規模と推し活マーケティングのメリットとは
若年層に適確なアプローチができないなど、従来のマーケティング手法に限界を感じてはいませんか。商品やサービスのターゲットとして、「推し活に力を入れる消費者」に絞る方法もあります。 推し活とは、推し(お気に入りのキャラやアイドルなど)を応援する活動のことです。今回は、推し活の経済効果や企業が推し活マーケティングに力を入れるメリットについて紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
団塊の世代はいついなくなる?高齢化で生じる問題と対策を紹介
団塊の世代は、全人口に占める割合の大きさから、社会に多大なる影響を与えてきました。高齢化の話題に接して、団塊の世代の存在感に驚いた方もいるのではないでしょうか。今回は、団塊の世代の高齢化問題と企業の対策について紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
デジタルデトックスは効果なし?得られる効果と実践方法を解説
デジタルデトックスとは、一定期間スマートフォンやPCなどのデジタルツールから離れることで、ストレスを軽減する取り組みのことです。デジタルツールに囲まれて生活する方が多い現代社会のなかでは、ストレスや心身の疲れを緩和する効果が期待できるといわれています。 しかし、「デジタルデトックスには効果がない」といった意見も見受けられます。今回は、デジタルデトックスには効果がないといわれてしまう理由や、より効果的にデジタルツールと距離を置く方法について解説します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
海外で人気のあるSNSとは|ユーザー数や使われている国・特徴
海外進出を考える際には、進出先の国について詳しく理解しておく必要があります。政治・経済・文化などについて一通り把握する際に、SNS事情についてもチェックしておきましょう。国によって人気のあるSNSは異なり、日本ではほとんど使われていないSNSが人気の国もあります。進出先のSNS事情が分かれば、現地でのビジネスにも役立てられるでしょう。今回は、海外で人気のあるSNSについて解説します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
ご相談・お見積もり依頼
【法人・個人様】
フリーダイヤルでのお問い合わせ
0120-198-022
※ モニター様からのお電話でのお問い合わせは受け付けておりません。
資料ダウンロード