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業界団体設立で成長加速 シェアリングエコノミーの世界  第1回 シェアリングエコノミー業界の健全な発展を目指す

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シェアリングエコノミー協会
事務局長

佐別当 隆志

近年、世界中でシェアリングエコノミーの市場が拡大しています。「物」や「空間」などのサービスを個人間で共有することから生まれる、この経済活動は日本でも広がりを見せています。

特定企業ではない第三者機関の設立で業界全体の成長を推進

近年、世界中でシェアリングエコノミーの市場が拡大しています。「物」や「空間」などのサービスを個人間で共有することから生まれる、この経済活動は日本でも広がりを見せています。

私たちシェアリングエコノミー協会は、日本国内でシェアリングビジネスを行う企業の業界団体として、2016年1月に設立されました。私は協会の事務局長として、活動に携わっているほか、2017年3月には内閣官房シェアリングエコノミー伝道師にも任命されました。この3回のコラムでは、シェアリングエコノミー協会の活動と、この新しい経済活動についてお話ししたいと思います。

私はシェアリングエコノミー協会設立にあたって中心的な役割を果たしたIT企業ガイアックスに所属しています。ガイアックスは将来成長が見込める産業としてシェアリングビジネスに着目し、ファンド設立や企業の買収を進め、中心事業をシェアリングにシフトしようと考えていました。

同時に、国内での市場拡大と業界の活性化のためにWebメディア「Share! Share! Share!」を立ち上げました。ここでは様々なコンテンツを通して業界の動きを紹介しているほか、シェアリングビジネスを行う企業の経営者向けのミートアップイベントを主催しています。また、シェアリングビジネスのユーザーを集めたリアルのイベント開催などで、業界を盛り上げるための活動を進めていました。

ガイアックスの動きによって、業界内のつながりが生まれ、ビジネスの認知度も高まりを見せていましたが、日本国内のシェアリングエコノミーは世界と比較するとまだまだ遅れていました。また、民泊やライドシェアが法的な問題を抱えていたことから、グレーな存在として語られることも少なくありませんでした。

政府や官公庁も経済成長の見込める新たな産業として注目していましたが、ネガティブなイメージのままでは、それを大々的に支援することが難しいという声も聞こえてきました。そうしたときに、業界を盛り上げる活動をガイアックスが行うのではなく、業界団体を作り第三者的な組織で業界の声を上げる方が良いのではないかというアドバイスをもらいました。政府や官公庁も、業界団体は、いち私企業ではないので支援しやすくなります。業界内の企業やメディアとの連携も取りやすくなる。業界団体を組織するということもIT業界にとっては新しい動きだったので、チャレンジする価値を感じ、協会を設立することになりました。

業界内の交流促進、行政や官庁のビジネスへの理解促進を図る

協会設立当初は、業界内もまとまっているとは言えなかったので、会員企業や入会に興味のある企業を集めたミートアップを、3カ月に1回程度開催し、リアルな場での交流と認識の共有を目指しました。政府や官公庁向けにも、当時はシェアリングビジネスに対する理解も進んでいなかったので、勉強会を集中的に開催しました。

おりしも、内閣官房でシェアリングエコノミーを規制する法案が出されようとしていました。協会としては、全体を規制するのではなく、業界が健全に発展できる環境を行政と一緒に作っていくことを目指し、勉強会では法的な問題の少ない企業の活動を紹介することで、政治家や官僚の理解を深めていきました。

勉強会に参加する官公庁も、当初は経済成長に注目されていたことから経済産業省が興味を持っていましたが、ここに行政機関である内閣官房が加わり、さらに総務省や国土交通省や厚生労働省などからも参加したいという声があがるようになりました。業界のビジネスも各社の成長率が大きく、協会への入会も増加したことで、自分たちの省庁にも関わりがあるかもしれないと気づく官僚も増えていったわけです。


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内閣官房と連携し、シェアリングエコノミー認証マークを発行している。


業界団体として、まだ法改正や法整備への働きかけといった踏み込んだ活動はできていませんが、2017年には政府の新成長戦略「未来投資戦略2017-Society5.0の実現に向けた改革-」のなかで具体的施策のひとつとしてシェアリングエコノミーを挙げてもらっています。そこでは、全国30自治体でシェアリングエコノミーを活用した事例を作るという数値目標も設定されています。協会を設立したことによって、シェアリングビジネスへの理解が進み、各省庁が支援しやすい環境ができつつあると考えています。

次回は、日本におけるシェアリングビジネスの現状についてお話しします。

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