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SPFで農業を未来へつなぐ アグリゲート 第2回 食農業界で稼ぎたいという思いにこたえる「旬八大学」
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私たちがSPF(Speciality store retailer of Private label Food)を構築し、日々アップデートを続けていくなかで、各プロセスに関わる人、関わりたい人たちに向けて、支援するための仕組みを作りました。それが「旬八大学」です。
流れ作業ではない業務を理解するための社内教育を公開
私たちがSPF(Speciality store retailer of Private label Food)を構築し、日々アップデートを続けていくなかで、各プロセスに関わる人、関わりたい人たちに向けて、支援するための仕組みを作りました。それが「旬八大学」です。もともとは社内の教育事業としてはじまり、その内容を会社の取り組みとしてソーシャルメディアで発信していたところ「私も学びたい」という反応が多く、講座として開くことになりました。社内教育の必要性を感じたのは、私たちの事業が何のためにあるのか、青果がどのように生産され、流通し、店頭で販売されているのかということが共有しづらくなっていったからです。
事業をはじめた少人数のころは直接伝えられていたのですが、社員やスタッフが増えるにつれて「野菜がそこにあるから売る」という状態になりつつありました。例えば、ある野菜は、生育環境に関係してキズがつきやすくなっていたり、農家や市場・卸の構造上、注文通りに出荷されないことがあったり、この仕事を進めるうえでは実にいろいろなことが起こります。そうした事象の原因や背景を理解し、日々の仕事を流れ作業ではない業務として取り組んでもらえるようにしたいと考えました。
実は、社内教育としてはじめたころから、これは社外にもニーズがあるものだというのはわかっていました。創業から旬八青果店をオープンするまでの間に、営業コンサルティングやネット販売、催事への出店をしているなかで、食農業界に熱意を持って関わっている人に出会いました。そうした人たちから「この業界で頑張りたいけれど、どうすればいいのかわからない」という言葉をたくさん聞きました。
こうした人たちにも、私たちの社内教育の内容は役に立てると思っていましたし、実際反響もあったことから「旬八大学」として立ち上げることにしました。
業界の各プロセスを支援する4つの講座
また、近年は青果店などで野菜を仕入れる「バイヤー」という仕事に興味を持つ人もいます。そうした人を対象に、青果の流通を解説しながら、私たちがどのように美味しい野菜を適正な価格で仕入れているのかということが学べるのが流通講座です。
地方や農産地で地域の資源や特産品を軸に、地域活性化を目指すときに何が必要で、どんな課題があるのか、経営やマーケティングの視点もふまえた持続可能な事業としてのあり方についてお話するのが地域商社講座です。私たちが地方で仕入れをしてきた経験から、地域と産業の関係やビジネスとして成立させるために必要なことを身につけてほしいと考えています。
新たにはじめたマルシェ講座は、催事など短期間の出店において人を集め、利益を上げるために必要なことを理解できるものです。いずれの講座も、私たちがSPFを構築し、実行していくなかで蓄積してきた知見を還元し、食農業界のどこかのプロセスで生きていきたいと考える人が、しっかり稼ぐことができるようになるためのサポートをしています。
SPFの構築も旬八大学の立ち上げも、食農業界で生きる人たちと接し、隠れていたニーズに気づいたことがきっかけです。旬八青果店の運営でも、より良い店にするため、消費者のニーズをしっかりととらえることが大事です。店舗では、店頭に立つスタッフが日々接する消費者の声を聞き、そこからライフスタイルを想像し、それに応えられる商品や機能は何なのかを考えています。
こうして業界内のプレーヤーと直に接し、事業を展開してきた私たちが、今最も必要性を感じているのがIT化です。生産や流通に携わる人、小売店の全てをより効率的につなぎ、美味しいものを適切な価格で届けるために、ITの力で貢献できることは大きいと考え、さまざまな場面での導入を進めています。
次回は、私たちがITで食農業界をどう変えていこうとしているのかをお話しします。
座学だけではなく、実際に市場に赴き、視察も行っている
株式会社アグリゲート
代表取締役
左今 克憲
株式会社アグリゲート
CTO
大矢 寛