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働く人の意欲を高めるアイテムを追求第2回 ヒアリング結果から新商品の開拓へ

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クラシコ株式会社
マーケティング

江村 知也

 私たちは、お客様である医師の声を商品に反映し続けてきました。この姿勢は、創業から現在にいたるまで変わっていません。事業を立ち上げる前は、インタビューでお客様の声を集めてきましたが、立ち上げ後は、ECの直販がメインなので顧客情報をしっかり取れていることもあり、お客様向けのWebアンケートも行うようになりました。

購入者アンケートを積み重ねる

 私たちは、お客様である医師の声を商品に反映し続けてきました。この姿勢は、創業から現在にいたるまで変わっていません。事業を立ち上げる前は、インタビューでお客様の声を集めてきましたが、立ち上げ後は、ECの直販がメインなので顧客情報をしっかり取れていることもあり、お客様向けのWebアンケートも行うようになりました。

 購入していただいた後には毎回アンケートを取っています。それ以外にも月に1回程度、特定のサービスや商品についてのアンケートを行うほか、半年に1回くらいの頻度で顧客満足度の調査など、ある程度定期的にヒアリングを行っています。インタビューも継続していて、私たちが話を聞いてみたいと思う医師や、インタビューに協力してもらえる医師を訪問しています。

 私たちは小ロット生産で在庫もほとんど抱えていないため、集まった意見をスピーディーに商品へ反映させることができます。頻繁に細かな改善を行っているので、「商品をリニューアルした」とか「新商品」とうたわずに販売することも少なくありません。それほど大きな変更ではなくても、商品の変化に気づく方は多く、生地のロットで異なる微妙な色の差を見つけるお客様もいます。

 お客様の声で多いのは、生地の質感や扱いやすさ、通気性といったところで、素材開発に生かしています。主要な商品に使われている素材は、綿とポリエステルの混紡で、質感を出しながら伸縮性もあるものです。綿を多くするとしわになりやすくなり、好き嫌いが分かれるところです。暑いという人には通気性を高めた商品もありますが、通気性を良くすると伸縮性が落ちるという意見もあったので、通気性を高めたまま、伸縮性を維持するといったことで改善を目指しています。

 デザインの面でも、医師の動きを想像しながら、より良い物を提供できるようにしています。レディースの商品などでは、胸元の開き具合が開きすぎると良くないですし、狭いと着脱のときにファンデーションが付いてしまうということで、微調整しています。また、丈についてもかがんだときに背中が見えないように後ろ身頃を長くするといった工夫もしています。

 お客様の好みもあるので、ときには改善ではなく改悪と言われることもあります。改良すると、必ず反対の意見も出てきますし、全ての要望に応えることは難しいと日々感じています。仕様などの変更については、カスタマーサポートを中心に、なぜ変えたのか、その意図を説明し、納得してもらえるように努めています。



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慈恵医大と共同開発した、スマホが落ちない白衣。

スマホが落ちない白衣、聴診器の開発へ

 お客様の意見を取り入れていくなかで、外部とのコラボレーションも生まれました。院内で使用するスマートフォンを導入していた東京慈恵会医科大学(以下、慈恵医大)は、落下による破損を防ぐ方法を探していました。所属する医師に私たちのお客様がいたことからオファーをいただき、スマートフォンが落ちにくい白衣「スマートデバイスコート」の開発を行うことになりました。

 ポケットの角度や位置、出入り口のすべり止めなどを工夫し、入れやすく、落ちにくいようにしただけではなく、慈恵医大の医師からヒアリングも行い、彼らの感じる課題を解消するものを目指しました。タブレットが入るサイズのポケットや、消毒液をつり下げることができるストラップなど、実用的でスタイリッシュな白衣が完成しました。

 お客様の声を聞いていくなかで、白衣以外の新たな商品展開も始まりました。2016年に発売した聴診器「U scope」です。聴診器を作るためにヒアリングをしたのではなく、広くお客様に向けて使っている物に対する悩みや不満を聞いた結果を掘り下げて、私たちにできることは何かを考えてたどりついたものです。

 2017年の夏には、新たにシューズメーカーとコラボレーションしてシューズを発売しました。優れた撥水加工により、血液がついても落ちやすく、通気性もあるもので、一定の注文数が集まれば商品化するということで募集したところ、8月15日の発表から2週間ほどで達成し、発売が決まりました。

 白衣を基本とする私たちなので、白衣以外の物を作る場合は外部の専門家と一緒に進めることになりますが、私たちのお客様の課題解決につながる物であれば、積極的に取り組んでいきたいと考えています。

 次回はブランディングや、今後の展開についてお話します。



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耳への圧力などの不満を解消し、理想の形を追求した聴診器。



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インタビューをした医療者の8割が勤務中のシューズに不満や課題を感じていたことから、
開発されたドクターシューズ。



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