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寺田倉庫、倉庫業から「余白」を創造するプロフェッショナルへ第1回 このままでいいのか、危機感から生まれた新事業
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私たちは1950年に創業した倉庫会社です。2012年に「誰でも、どこからでも、いつでもすぐに倉庫が持てる」をコンセプトにweb収納サービス「minikura」を立ち上げました。この3回のコラムでは、私たちが「minikura」を立ち上げた理由や、サービスをはじめたことで起こった変化などについてお話ししたいと思います。
次世代の倉庫ビジネスを模索
私たちは1950年に創業した倉庫会社です。2012年に「誰でも、どこからでも、いつでもすぐに倉庫が持てる」をコンセプトにweb収納サービス「minikura」を立ち上げました。この3回のコラムでは、私たちが「minikura」を立ち上げた理由や、サービスをはじめたことで起こった変化などについてお話ししたいと思います。「minikura」誕生以前、倉庫会社は、法人向けの倉庫業務で顧客獲得のために施設や人を増やそうという拡大路線を取る傾向にありました。一方、個人向けの貸し倉庫、いわゆるトランクルームは、不動産業界からの参入が増え、そのノウハウを生かして街中のビルや空いた土地にトランクルームを展開し、急速に増加させていました。
法人向けでは拡大路線、個人向けは競合企業の増加により、価格競争がおき、いかに安くサービスを提供できるかが問われる市場環境となっていったのです。このまま業界内の動きに合わせていくべきなのか。その危機感から、次世代の倉庫ビジネスを目指すべきなのではないかと考えるようになりました。
次世代の倉庫ビジネスを開発するうえで、私たちがこだわったのは寺田倉庫という会社のDNAは何なのかということです。創業当初、寺田倉庫は米の保存・保管業務を行っていました。米に最適な空間は何か、最適な取扱い方法はどんなものかを考え、提供してきた歴史があります。今では預かる物が米からワインや美術品、メディアなどへと変わったものの、預かるものの本質を追求するDNAは脈々と受け継がれています。
もうひとつこだわったのが、自らサービスを作り、マーケティングも仕掛けていこうということです。これまでの倉庫会社はお客さまに場所を提供して自由に使ってもらうという、ある意味受け身な部分がありましたが、そうではなく自分達で提供する価値を発信して、お客さまに届けていくことを目指しました。
また、社会情勢や業界トレンドが変化したときにも柔軟に対応できるよう、人や施設といった資産面ではなく、新しい仕組みやこれまでにない取り組みを拡大していくことで、オンリーワンの事業やプロジェクトを生み出す道を選びました。社内でも社員全体でこうした意識を持つようにマインドセットを行いました。
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「預けた物を忘れてしまう」を解消
こうした流れで生まれたのが「minikura」です。私たちは1970年代から国土交通省からの認定第一号を受け、個人向けトランクルームを展開していましたが、シェアとしては、不動産業の会社が展開するものが大きくなっていたため、もう一度個人向けトランクルームの課題を見つめ直し、それらを解消しようという試みの結果生まれたのが「minikura」です。トランクルーム利用者の方を中心としたヒアリングや、問い合わせを集計・分析したところ、従来のトランクルームに最も多い課題は預けた物を忘れてしまうということでした。また、自宅以外の場所にお金をかけて物を置くということに対するネガティブなイメージもありました。預けた物が何であったのか、あるいは預けたことすら忘れてしまわれても、月々の料金は自動的にお支払いいただくことになります。このお互いに幸せとはいえない状態を解消し、イメージもポジティブに変えていくことが「minikura」のサービス開発におけるチャレンジになりました。
これまで法人向けの倉庫事業では、流通加工という作業で荷物を開梱し、ラベルを貼るような工程を請け負っていました。これを個人向けにも応用することで、1点1点預かった荷物を管理し、何を預けたのか忘れてしまうという課題の解消を目指しました。預かった物を、Webのマイページから写真やリストで管理できるようにしたのです。預かった物を1点1点管理することで、どんな物をお客さまが預けられているのか、という分析ができ、サービスも展開しやすくなりました。
また、「minikura」は、月額1箱250円で送料込みという基本プランを設けるなど、料金体系も分かりやすくしています。申し込みもWeb上でスムーズに行うことができ、借りることへのハードルをできるだけ下げています。こうして「minikura」が2012年9月にスタートしました。
次回は「minikura」のネーミングやターゲット、立ち上げたことで生まれた変化についてお話しします。
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寺田倉庫
上席執行役員
月森 正憲
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