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三和交通、自由な発想でタクシー業界に新風 ー 第3回 次々と企画打ち出し社内活性、ビジネス拡大へ
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三和交通株式会社
代表取締役社長
吉川 永一
「道をよく知っているドライバーがいい」、「大切なお客様が乗るので、対応の良いドライバーに迎えに来てほしい」。そうした要望にこたえるのが「達人」「熟練」ドライバーのステッカーを付けたタクシーです。「熟練」「達人」といったドライバーのサービスレベルの格付けは、車載カメラを活用したモニタリングチェックを元に行われています。本来、防犯が主な目的で設置されている車内を撮影するカメラを、サービスの質を管理するためにも活用しています。
モニタリングで接遇を改善
ドライバーが挨拶をしたか、シートベルト着用の案内をしたか、車内に私物を置いていないか、などのチェック項目を、守秘義務契約を結んだ社員が映像を見て達成度を確認しています。映像は2日ほどで自動的に上書きされてしまうので、チェックする映像を抽出して一時的に読み出しています。年間約3000回のモニタリングチェックを行っており、約1400名いるドライバーはひとり当たり年に2回程度対象になることになります。
チェックした内容はドライバーにフィードバックして、サービスの向上に努めています。チェック項目の全てを満たしているドライバー名は事業所に貼り出したり、褒賞を出したりしています。モニタリングの結果、ドライバーには社内規定に応じて優秀な人から、特等乗務社員、準特等乗務社員、上等乗務社員と格付けされています。「達人ドライバー」のステッカーは、上等以上の乗務社員にならないとつけることはできません。
特等乗務社員は現在5人。モニタリングチェックで常に全ての項目を満たし、車内に設置されているアンケートハガキでお礼の言葉を定期的にもらい、後進ドライバー育成にも貢献するという高いハードルをクリアしているドライバー達です。年に一度、この5人が集まる特等乗務社員会議も行っており、会社にとっても重要な存在となっています。
「熟練」「達人」のステッカーが貼ってあっても、通常の乗車をされる場合には料金の違いはありませんが、無線センターを通して熟練、達人ドライバーの指定をした場合は、追加で指名料金がかかるようになっています。これは、一定の技量を持つ人に追加報酬を与えることで、離職を防止する狙いもあります。またステッカーは私たちが考案したものですが、他社でも採用されており、都内のいくつかのタクシー会社に購入してもらっています。
サービス面では他に、車内で水とマスク、折りたたみ傘の販売も始めています。水は常温ですが、ホテルのアメニティーグッズのような発想で置いています。水もマスクも、緊急時には無償で配布することができるので、販売による売上だけを考えて置いているわけではありません。傘は、近年ゲリラ豪雨など突然の雨も増えているので需要があると思いましたが、さほど売れるものではありません。お客さまは雨が降ったとき、傘をさしたくないからタクシーを利用しているようです。
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BtoBビジネスへの期待
利益に即つながる企画ばかりではありませんが、実行すること自体が社内の活性になり、財産になっています。リリースを出して「また三和交通が何かやっている」と思ってもらえる状態は維持していきたいと考えています。
社員が働きやすい環境を整え、ドライバーだけではなく管理者にとっても良い職場にすることにも取り組んでいます。タクシー業界内の常識と思われていることや慣習も必要に応じて変えていく、私たちの業界にも働き方改革を起こしていこうと話し合いをはじめています。
実現を目指している「タクシー便」もそのひとつ。タクシーが貨物の配送に活用されるようになれば、BtoBのビジネスへの拡大も期待できるので、業界にとって大きな変化が起きると思っています。これからも従来のタクシー業界の枠にとらわれない企画やサービスで、お客さんにとっても従業員にとっても魅力的な会社にしていきたいと考えています。
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