インサイトスコープ
B to CからB with Cへ 顧客起点のマーケティング論第1回 お客様の時間を追う!顧客時間の重要性
最終更新日:
公開日:
公開日:
株式会社良品計画
WEB事業部長
奥谷 孝司
無印良品のWEB事業部でデジタルマーケティングをしながら、MUJI passportアプリ(顧客関係マネジメントツール)やネットストアを運用していて、常に感じることが一つあります。それは私自身も顧客に戻れば気付くことですが、世の中には同機能、同価格の商品が溢れ、その商品に伴うコミュニケーション(マーケティング)も無数にあるということです。特に差別化されていない商品を多くのマーケティング要素を付加して売ろうと努力する企業側に対して、我々消費者はそのほとんどを『無意識』に『無視』しています。つまり、B(企業側) to C(お客様)なコミュニケーション(広告)がますます伝わりにくくなっている時代だということです。
効果が薄れてきた一方的なコミュニケーション
そんな現状でも、我々は懸命にマーケティング活動を続け、デジタルマーケティング領域で言えば、Social Mediaを活用して、「いいね!」がいくつ稼げたとか、インプレッションをいくつ獲得したといった瞬間風速的な議論に陥り、各担当者が自分のコミュニケーションは効いた!と言い合う始末です。
私は当然のことながら、B to C のコミュニケーションが効果が薄れているといっても、お客様へのコミュニケーションは企業側(B)からはじめなくてはならないわけで、お客様の自発的行動を待っていれば良いとは考えていません。ただしマーケティング活動をお客様の消費者行動に合わせて、『時間軸』で考え、トラックして行く必要があると思います。そこで私が考えついたのが、お客様の一連の消費者行動を時間で把握する『顧客時間』という考え方です。
顧客時間とはなにか?
顧客時間におけるネット&SocialMediaの重要性
また検討と使用&消費の部分を解明するための手がかりとなるのが、Social Mediaです。弊社のTwitterやfacebookのアカウントでつながっている人達がいつも無印良品について語ってくれるわけではありませんが、彼らのアカウントから想定されるプロファイルや、いつも反応してくれる人は特定できます。また基本的に「個の時間が詰まっている場所」であるSocial Mediaへ我々が邪魔にならない程度にアプローチし、B with Cなものづくりプロジェクトやマーケティングキャンペーンを展開することで参加してくださるお客様を特定し、コミュニケーションする事もできるわけです。彼らのライフスタイルや行動パターンをある程度予測することで、効果的なコミュニケーションが実現します。もはやこのようなお客様こそがメディアであり、それ故にエバンジェリストという言葉が生まれるわけです。
特に口コミプラットフォームmy MUJIにおいては、お客様のSocial ID(普段使っているTwitter、facebook、mixiのID)でログインして頂き、商品の評価や感想を共有、拡散して頂いています。現在はMUJI passportとも連携し、コメントや、ほしい!、もってる!ボタンを押すとマイルがたまる仕組みです。この仕組みをMUJI net Memberではなく、Social IDでやる意味は、お客様が今最も積極的に傾聴する口コミ(C to C)の拡散性と買物情報以上のデータを持つSocial Mediaを企業としても傾聴するメディアとして活用し、次の購入(検討)につなげたり、使用&消費の実態を赤裸々に掴む、共有してもらう目的があるのです。
お客様はブランドとの時間共有が増大すればするほど売上が拡大する
もちろんTVCMやチラシをまいて、お客様から忘れ去られないようにすることも大事ですが、これからの時代はお客様に自社メディア(ネットストア、店舗そのもの、Social Media上の企業アカウント)を能動的に行き来してもらうことがブランドを「好きになって頂く最短距離」のように思います。