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マーケティングリサーチャーの目線 第2回 リサーチャーが身につけるべき3つのスキル

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TOTO
マーケティング マーケティング企画グループ 企画主査

小代 禎彦

アンケート調査を行う際には、事前に調査票のチェックが回ってくるのですが、がっかりするような質問にお目にかかることがあります。経験の浅い方にありがちなのですが、こうした質問票をよその調査でもたまに目にするので、基本的なことではありますが、まずはこちらから見ていきましょう。下図は、とある調査でのフェイス(基本属性)項目の質問部分です。

調査票はコミュニケーションのツール

アンケート調査を行う際には、事前に調査票のチェックが回ってくるのですが、がっかりするような質問にお目にかかることがあります。経験の浅い方にありがちなのですが、こうした質問票をよその調査でもたまに目にするので、基本的なことではありますが、まずはこちらから見ていきましょう。下図は、とある調査でのフェイス(基本属性)項目の質問部分です。



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何か問題でも? と思われる方もいらっしゃると思います。回答者もおそらく回答に迷うことはないと思いますので、まちがいではないかもしれません。しかし、調査を行う際に忘れてはいけないことがあります。それは「調査票はコミュニケーションのツール」だということです。

20131011_03見知らぬ人に、いきなり「年齢は?」と聞くのはとてもぞんざいな感じですし、尋問されているような感じさえします。また、「お住まいは?」と聞かれても、住所を答えてほしいのか、持ち家に住んでいますとか、一戸建てですとか、答えはいろいろあります。回答者は選択肢を見て初めて、「あ~、それが聞きたいのね」と慮って答えてくれるでしょうが、あまりにも他人に対する質問の仕方としては不適切です。

私は、質問票を作る際には、「初対面の相手に向かってそれを読み上げて答えてもらっても、対話として成立するように構成する」ように指導しています。あまり慇懃になる必要はありませんが、少なくとも質問紙を通じて、質問者と回答者がスムーズに対話できるよう、また、対象者に応じて適切な敬意を損なわないよう心掛けてください。入稿する前に、周りの人に、読み聞かせならぬ「読み問い」をして、チェックをするとよいと思います。こうすることで、質問の意図や選択肢の意味が相手に通じるかなどもチェックできます。

回答しやすい調査票を設計するためにc

リサーチャーとして必要なスキルは、ワードやエクセルが使えることはもちろん、フィールドのコントロールやレポートが書けることなど多彩です。しかし、ここではアンケート調査票を設計するという視点で、忘れられがちな、しかし大切な3つのスキル(学問領域)についてお話しします。

1.敬語がきちんと使えること(言語学)

前に述べた通り、アンケート調査はコミュニケーションの一形態です。対話としてのやり取りが成立していることはもちろんですが、特に敬語の使い方の誤りが多く見られます。正しい用例などは他書にゆずりますが、残念ながら日本語が母国語であるからといって必ずしも正しい敬語が身についているとは限りません。日ごろから敬語の用例について気を配るようにするのもよいトレーニングになると思います。



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2.回答者の心の動きを慮る(おもんぱかる)こと(心理学)

何か質問をされた時、ヒトはその意図や回答した場合の相手の反応を無意識に判断して態度(質問に対する反応)を決めます。つまり、質問の仕方や、質問の流れの先にある関連質問に対する態度をも無意識に考えた上で、回答を選択するわけです。たとえば、「好きなタレントの名前を挙げてください」という質問の先には、そのタレントに関する関連質問が続くことは容易に予想できます。深く触れられたくない質問が予想されると、回答をゆがめてしまうこともるでしょう。

逆に、たとえば「環境問題に関心があるか」という質問や環境問題に関する説明をあらかじめしておくと、後の方に置かれた環境問題についての質問に対する回答で、反応が高くなります(キャリーオーバー)。この点に限らず心理学的な反応についての理解を深めれば、よりバイアスの少ない質問構成が設計できるようになります。

3.筋道だてて聞くこと、話すこと(論理学)

プレゼンテーションはもちろんですが、調査票の質問のシナリオがロジカルになっていると、回答者にとっても答えやすいものになります。教科書的には、「一般的な質問から個別、詳細な質問へ」「時間的な流れに沿って聞く」「もれなく、ダブりなく」「事実確認と主観的評価は区別して聞く」などいろいろとやかましいことになりますが、聞きたいことを漫然と聞くのではなく、「処方箋を書く」という目的に沿って、論理的に調査票を組み立てるようにしましょう。ビジネスにおいては、あらゆる場面で論理的に組み立てるという思考力を問われますから、トレーニングのチャンスには事欠かないでしょう。

次回は、ビッグデータ時代におけるリサーチャーのあり方について考えてみたいと思います。

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