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これからの時代の企業マーケター第2回 マーケターが寿司職人になるコツ

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ヤマサ醤油
営業本部マーケティング部 副部長職 家庭用MD推進室長

藤村 功

前回は、何度もリピート買いをしてくれて、そしてお友達に推奨してくれる特別な顧客(エンジェル)は、マーケターとお客様との対話により生まれるというお話でした。
前回は、何度もリピート買いをしてくれて、そしてお友達に推奨してくれる特別な顧客(エンジェル)は、マーケターとお客様との対話により生まれるというお話でした。

お客様も進化しており、企業側が一方的に発信する広告的な情報ではなく、実際にどんな人がどんな考えで仕事をしているのかなど、生の情報を求めているという背景があり、直接企業の担当者(マーケター)との対話によって信頼関係が築ければエンジェルになっていただける可能性が高いからです。

“マーケター≒寿司職人”の目指すところ

そして、マーケターがお客様と接点ができ、対話をしやすい関係になると、対話の中から新たな「気づき」をもらえて次のマーケティング施策へつなげることができるようになります。さらにマーケターが自らお客様と対話してヒントをもらい、マーケティング施策を企画して実行して、また対話するというサイクルが出来ていきます。

このサイクルに、ソーシャルメディアの普及により、皆で意見を交換したり拡散したりすることで、一部のお客様とのやり取りであっても大きな伝播力を生み出せるようになったことが大きな影響を与えます。

“会話をし、注文から決済まで一気通貫で行ない贔屓(ひいき)になっていただく寿司職人のやり方”を真似して、担当マーケター(または少人数のマーケティングチーム)がお客様との対話からマーケティング施策まで一貫して実施した方が、常にスピーディーであり、お客様の近くにいるので成功する確率が高く効率も良くなることを可能にするからです。これが前回のお話のテーマである、「“マーケター≒寿司職人”の時代へ」ということです。

コツはグループインタビュー調査の司会のやり方にあり

それでは次にマーケターが寿司職人になるコツについて、自らの経験から感じたことをご紹介したいと思います。そのコツはやはり、お客様と対話を上手に進めていくところにあると思います。

私の場合、まず「鮮度の一滴」の新発売時に立ち上げたコミュニティーサイトが直接お客様と対話するスタートでしたが、実は結構すんなり始めることができました。今、思い返すと、それはグループインタビューの司会者の講座を受けて学んだ内容が大きく役立ったと思います。

私の職歴は、29歳まで家庭用の営業、30歳から46歳まで商品開発(新商品企画)ですが、32歳の時に課長が不在になり、急遽マーケティング知識を詰め込まざるを得ない事態に陥りました。その際にまさに手当たり次第、様々なセミナーを数多く受講しましたが、その中の一つに(株)マーケティングコンセプトハウスの梅澤伸嘉先生の企業マーケター向けの「グループインタビュー入門講座」がありました。

さて、梅澤先生からは、グループインタビューの司会者の心得として、

・司会者からの質問→参加者の回答方式はいけない。 話題の提供が大切!

・池に小石を投げて波紋が広がるようなイメージで、司会者は話題を投げる

・司会者は真摯に参加者の声を傾聴する

・参加者の発言のホンネとタテマエに注意する

質問→回答式ではなかなか会話は続きませんが、「話題の提供」を心がければ次々に会話もつながっていき、話題も更に広がってヒントももらえやすくなりますよね!(図1)

もう1つのコツは上から目線にならないこと

そして最近、さらに大事なことを宣伝会議のセミナーでご一緒させていただいた、エステー株式会社執行役 宣伝担当/クリエイティブ・ディレクターの鹿毛康司さんから教わりました。鹿毛さんはCM案を決定する前に、すごい数のグループインタビュー調査をなさるそうです。その時に注意するのは、「上から目線にならないこと」(※1)。

企業側が投げかけた企画案について、伝わらなかったり否定的な意見が返って来た時に得てして企業側の人間は「そうじゃないんだ!」って内心叫んでいるけど、それが上から目線になっている何よりの証拠だというお話は、自分の経験でも全くその通りであったと冷や汗が出ます。そしてそれは独りよがりの押しつけであり、対話によりヒントをいただくことからは相当離れてしまいます。

以上、グループインタビュー調査の司会者のやり方がソーシャルメディア上のお客様と対話にうまく応用出来るというお話でしたが、次回は「鮮度の一滴」のコミュニティーサイトで実際にお客様と対話した例をご紹介したいと思います。

(図1)梅澤伸嘉(著)「実践!グループインタビュー入門」 引用・参照元

51ページより引用司会者の方法のイメージ図


20130726_02


引用・参照元
(※1)鹿毛康司著「愛されるアイデアのつくり方」
http://amzn.to/W6Xt7Q

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