グローバルコラム

シリーズ ヨーロッパを知る (9)イギリスで人気急上昇中! “フラットホワイト” ぜひお試しを!

Facebook X
Cross Marketing Group Inc. Global HQ
Business Development Manager

益並 香奈

 シリーズ『ヨーロッパを知る』第9回は、英国のカフェ市場の最近のトレンドについてお伝えします。

拡大する英国のコーヒー市場

 ロンドンの街を歩いていると、道を曲がるごとにコーヒーショップを見かけます。スターバックス(米)やコスタ(英)、Café Nero(英)、Pret a manger(仏)といった大手チェーンから個人経営のお店まで、さまざまなコーヒーショップが並んでいます。

 英国コーヒー界の関係者が集まり今後の展望やキートレンドについて話し合うUK Coffee Leader Summit 2018によると、現在英国には約22,845のコーヒーショップがあり、年間約25億杯売れているそうです。英国といえば紅茶を思い浮かべる方が多いと思いますが、いまや英国はコーヒー大国でもあるのです。

 イギリス最大手のコーヒーチェーンCostaの店舗も年々増えており、英国のコーヒー需要が拡大していることがわかります。


20180703_02
Graph:Statista 2018


 UK Coffee Leader Summitは 、2021年までにコーヒーショップの年間収益が60億ポンド(約9000億円)を超えると予測しています。また、今後3~5年の間に大手チェーンが継続的に店舗数を拡大することによって、競争がさらに激化すると見込まれています。店舗数や年間売上高については、2025年までにそれぞれ32,000店舗、160億ポンド(約2.4兆円)超と予測されており、この成長が続くと2030年までに英国文化の代名詞のひとつであるパブ(大衆酒場)の数を上回るといわれています。

消費者の変化

 チェーン店以外に個人経営のカフェも増えてきています。中には、2-3畳ほどで店舗は狭いもののコーヒーの味を追求しているお店や、朝から移動式の簡易店舗でオフィス街を中心に販売しているお店などもあり、各店舗とも様々な工夫をしているようです。


20180703_03



 朝は、通勤前の人々がコーヒーショップで並んでいる光景をよく見かけます。弊社でも、最近は社員がコーヒーを片手に出社してくるようになりました。なぜ今、英国でコーヒーが流行るのか不思議に思う方も多いかもしれませんが、理由の1つとして、コーヒーを飲む機会が増えたことで消費者の味に対する期待が高まり、美味しいコーヒーを提供するお店が増えてきたことが挙げられます。「この店のこのメニューは美味しい」、「この店のコーヒーは香りが違う」、「このコーヒー豆はオーガニック栽培されている」など、消費者は自分なりのこだわりを持ってコーヒーを選んでいるようです。

  コーヒーについて調査を行っている英国のコンサルティング会社Allegra Strategiesは、個人経営の店舗について、22%のコーヒーショップでコーヒーマシンやスタッフ育成、マーケティングのために10,000ポンド(約150万円)以上の投資をする必要があるとしており、変わりゆく消費者のニーズに応えるための取組みがコーヒーショップの経営でも重要であることがわかります。

最近よく聞くフラットホワイトって?

 このように、より美味しいコーヒーを求める消費者が増えている中、コーヒーショップで最近よく耳にするようになったのが、“フラットホワイト”です。コーヒーというとラテ、アメリカーノ、カプチーノを思い浮かべる方が多いかもしれません。コーヒーショップ店員によると、フラットホワイトは英国では比較的最近登場したメニューだそうです。

  最初に聞いた時は、ミルクを泡立てただけのもの?と思ったのですが、その予想は大きくはずれました。フラットホワイトは、簡単に言うとエスプレッソにミルクを混ぜたもので、ラテより濃く、特にミルクにこだわりがあるようで、非常にきめ細かいミルクがエスプレッソに合わされています。この絹のような質感のミルクを作るためには技術が必要だそうですが、それを極めた人が作ったフラットホワイトは、ラテとは違う舌触りで、エスプレッソの味も同時に楽しむことができるため、それが人気の理由の一つになっているようです。

20180703_04



 イギリスの高級紙であるインデペンデント紙でもフラットホワイトの歴史は新しいものの、今や英国のコーヒー売上の10%を占めていると報じられました。また、コーヒーショップだけでなく英国のマクドナルドも今年からフラットホワイトのサービスを開始しました。

20180703_05



 英国で今年4月に開催された ’The London Coffee Festival’の創始者であるJeffrey Young氏によると、フラットホワイトは英国コーヒー業界において過去10年で最も重要な革新の一つであるといいます。このようにフラットホワイトは英国において新たなトレンドを作りつつあり、今後も拡大していくことが予想されます。最近は、日本でもフラットホワイトを飲めるお店が増えてきたと聞きます。コラムを読んでくださったみなさまもぜひお試しください。新たなコーヒーの扉が開かれるかもしれません。

もう1つのトレンド、リサイクル意識

 英国公共放送のBBCによると、コーヒー需要の拡大に伴いコーヒーカップの消費が増えており、このカップに含まれるプラスチックの環境に与える影響が問題視されています。そこで、英国最大のコーヒーチェーンCostaではそのうちの20%に相当する500万個のコーヒーカップを2020年までにリサイクルすることを約束しています。またスターバックスでは、カップを持参した場合は25ペンス(約40円)の値引きを受けることもできます。


20180703_06



 さらに英国の高級人気スーパーの1つであるウェイトローズでもリサイクルに対する取組みが今年発表されました。ウェイトローズは、マイウエイトローズというロイヤリティーカードを発行しており、その特典として買い物後に無料のコーヒーサービスを受けることが出来ますが、その際カップを持参してもらうシステムに変更するそうです。今まではレジで紙コップを受け取ってコーヒーマシンに入れに行くという流れだったのですが、このコーヒーカップの提供は今年の秋から廃止されます。これにより、年間5200万カップほどの使用を削減することができるとウェイトローズは発表しています。

  最近では、持参するためのカップの一つとして「ecoffee cup」というオーガニックの竹の繊維などから作られたものを持つ人を見かけるようになりました。英国ではスーパーの袋を持参していない場合に袋代を支払わなければならず、ビニール袋の使用が既に削減されています。今後は、コーヒーカップも同様に持参することが当たり前になっていくのではないでしょうか。

  このように消費者の行動が変化することで新しいトレンドが作られ、そのトレンドに応じて新しい規則や取組みが生まれるということは多くあります。また、海外のトレンドが日本や他の国に影響を及ぼすことも多く見られます。企業では、このようなトレンドをいち早く察知し、商品販売機会を創出するために、定期的に消費者変化を感じ取れるような調査をされることをお勧めします。 



 参照:
■UK Coffee Leader Summit 2018http://www.ukcoffeeleadersummit.com/yet-growth-uk-coffee-shop-market-coffee-shops-become-new-local/ 
■Allegra Strategies 2016www.ae-of-independent-coffee-shops-in-the-uk/bbeychart.co.uk/news/the-ris 
■Independent 2018https://www.independent.co.uk/life-style/flat-white-coffee-culture-antipodean-mcdonalds-advert-starbucks-latte-a8246111.html 
■BBC 2018 <http://www.bbc.com/news/business-43801491> 
■Costa 2018 <https://www.costa.co.uk/responsibility/our-cups/> 
■BBC 2018 <http://www.bbc.com/news/business-43709656> 


 <会社概要> 
Cross Marketing Group Inc./ Kadence International 
10 Valentine Place , London SE1 8QH The United Kingdom 
+44(0)7712 358 284
 https://www.kadence.com/

関連コラム

マーケティングコラム
あの世代の呼び方は何?各世代へのマーケティング方法もご紹介
「団塊の世代」や「Z世代」など、生まれた世代によってさまざまな名称が付けられています。マーケティング担当者であれば、それぞれの世代の名称と特徴を把握し、世代ごとにあわせたマーケティングを実施しましょう。 本記事では、それぞれの世代の呼び方について説明し、各世代に合ったマーケティング方法を解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
独身の人が増えすぎている?未婚の割合や増加の理由を解説
結婚して家庭をもつことが当たり前だった時代からは一変し、生涯を独身で過ごす人が増えています。なぜ未婚率が高くなっているのでしょうか。今回は、未婚の割合や未婚の人が増えている理由について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
中学生のスマホ使用時間の理想はどれくらい?スマホが及ぼす影響も紹介
近年、中学生からスマホを持たせる家庭が多いなか、使用時間の長さが問題視されているケースが多く見受けられます。スマホの使用時間が長いと学力に影響するといわれることもあり、子どもを持つ親からすると、「適切な使用時間の範囲で使わせたい」と考える方もいるようです。 今回は、中学生がスマホを使う時間の理想をはじめ、使用時間が長いとどのような影響を及ぼすのかを解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
犬派か猫派か?どちらが人気?性格や相性を徹底解剖!
ペットを飼っている人や、これから飼いたいと考えている人にとって気になるのが「犬と猫はどちらが人気なのか?」という点ではないでしょうか。また、犬派と猫派それぞれの性格や相性などについて気になる人も多いかと思います。本記事では、犬派と猫派どちらが多いのか、また性格や相性はどうかを徹底解剖します。弊社で行ったアンケート結果もふまえて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
α世代の次の世代とは?β世代の特徴や取り巻く環境を予測しよう
今注目されているZ世代の次がα世代と呼ばれており、さらにその次がβ世代にあたります。Z世代以降は、デジタルネイティブであることが特徴ですが、マーケティング担当者や商品の開発担当者であれば、β世代とはどのような世代なのか、今と取り巻く環境がどのように変化しているのか気になるのではないでしょうか。今回は、β世代の特徴やβ世代を取り巻く環境について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
推し活の経済効果はどれくらい?市場規模と推し活マーケティングのメリットとは
若年層に適確なアプローチができないなど、従来のマーケティング手法に限界を感じてはいませんか。商品やサービスのターゲットとして、「推し活に力を入れる消費者」に絞る方法もあります。 推し活とは、推し(お気に入りのキャラやアイドルなど)を応援する活動のことです。今回は、推し活の経済効果や企業が推し活マーケティングに力を入れるメリットについて紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
団塊の世代はいついなくなる?高齢化で生じる問題と対策を紹介
団塊の世代は、全人口に占める割合の大きさから、社会に多大なる影響を与えてきました。高齢化の話題に接して、団塊の世代の存在感に驚いた方もいるのではないでしょうか。今回は、団塊の世代の高齢化問題と企業の対策について紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
【TikTok】バズる時間帯はいつ?曜日ごとのバズりやすさとあわせて解説
TikTokは短期間で多くのユーザーにリーチできるプラットフォームです。しかし、効果的な運用には、適切な投稿時間を見極めなければなりません。社内でTikTokの運用を開始する際に、まず押さえておくべきなのが「バズりやすい時間帯と曜日」です。今回は、TikTokでバズるために最適な投稿時間や曜日について詳しく解説し、投稿時に押さえておくべきポイントについても紹介します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
SNSのエンゲージメントとは?SNS別の確認方法や向上施策も紹介
最近では中小企業でも、流入チャネルを増やすためにSNS活用を始めるところが増えてきました。SNSの運用を成功させるためには、できるだけ多くのエンゲージメント(リアクション)を得ることが重要です。今回は、SNSにおけるエンゲージメントについて、確認方法や向上させるための施策を解説します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
ご相談・お見積もり依頼
【法人・個人様】
フリーダイヤルでのお問い合わせ
0120-198-022
※ モニター様からのお電話でのお問い合わせは受け付けておりません。
資料ダウンロード