グローバルコラム
シリーズ ヨーロッパを知る (7)ヨーロッパ最大の家電見本市「IFA2017」からみえる家電最新トレンドとは!
公開日:
Cross Marketing Group Inc. Global HQ
Global Sale Manager
益並 香奈
シリーズ『ヨーロッパを知る』第7回目の今回は、「IFA2017」(国際コンシューマー・エレクトロニクスショー)についてのレポートをお送りします。
※昨年の様子はこちら
世界最大級の家電見本市 「IFA」とは
IFAは1924年の開催以来90年以上の歴史を誇る、欧州最大のイベントです。毎年、世界中からコンシューマ・エレクトロニクス&ホーム・アプライアンス業界の企業が開催都市のベルリンを訪れます。来場者数が昨年の24万人から今年は25.3万人と拡大していることからもその注目度の高さが伺えます。このイベントで披露された最新家電をいくつか紹介いたします。最新トレンド1:スマートスピーカー旋風
会場に入ってまず目を引くのは、GoogleアシスタントやAmazon ALEXA等のプラットフォーム企業とコラボした新商品の数々です。日系企業では、PanasonicがGoogleアシスタント対応のスマートスピーカー「SC-GA10」を大々的にアピールしていていました。Google Play MusicやSpotifyなどに対応しており、デバイスを触ることなく、音声で音楽再生操作ができる仕様です。 さらに、スマートスピーカーというだけあって、音声で質問すると、スピーカーから音声で回答が返ってくるという機能も搭載されています。例えば、天気やスポーツ試合の結果などは、端末で検索しなくても答えてくれます。スピーカーが、より我々の生活環境に馴染むような提案です。Panasonicの展示物
音楽とAIの融合も紹介されていました。ヤマハが提案していたのは、自社製品と楽器をワイヤレスでつなぐ「Music Cast」にAmazon Alexaの機能を搭載したスピーカーです。自動演奏ピアノとスピーカーをつなぐことで、ピアノの生演奏とスピーカーから流れるバック演奏を重ねて楽しめる技術が紹介されていました。
ヤマハの自動演奏ピアノ。スマートスピーカーと連携。
最新トレンド2:有機ELテレビ
昨年同様LGのブースで目を引いたのは、曲面の有機ELディスプレイを用いたトンネルです。星空や海の中の画像が映され、まるで水族館にいるような感覚が味わえます。また、同社からは、壁面の丸みに対応できる、絵画のようなテレビも展示されていました。LGの展示ブース。有機ELディスプレイのトンネル。
LGの有機ELテレビ
最新トレンド3:調理家電の進化
調理家電の分野でも技術進化が止まりません。GRUNDIGからはキッチンテーブルに鍋やミキサーを置いて、テーブルに映し出されたパネルをタッチしながら操作をする技術が紹介されていました。この技術を用いると、場所を上手く活用して調理器を置くことができるようになります。Mieleからは、食材に適した調理法を自動選択してくれるスマートオーブンが展示されています。
GRUNDIGの技術
Mieleのダイアログオーブン。食材一つ一つに対して適した調理方法を選択。
最新トレンド4:子育てもスマート家電が支援
Philipsからは赤ちゃんの成長をモニタリングするシステム「u Grow」が展示されています。離れている場所から赤ちゃんの状態を確認できるだけではなく、睡眠パターンの把握や体重・身長管理のほか、哺乳瓶や体温計などを端末とワイヤレスでつなげることで、子どもの状態を1つのアプリケーションで管理できるようにしています。また、この貯めた情報をお医者さんに共有することも可能になっています。Philipsの「u Grow」
Panasonicのスマートロボット
IFA2017を振り返って
昨年はコネクティッド家電の紹介をしましたが、今年は特にAI技術を用いた商品が多く発表されました。AIの急速な開発が進むことで、Googleなどのプラットフォーム企業が提供する技術とメーカー側がいかに自社技術を融合させて、デバイスをどのようにして家の中の生活に溶け込ませるか、という環境づくりの提案が重要になってきているのかもしれません。人の経験値や能力に問わず、機器が支援を行うことで、誰でも本格的な体験ができる時代が近づいているのではないでしょうか。また、よりリアルに近い感覚を体験できることも重要なキーワードになっていくと考えられます。新商品開発を行う中で、まだない商品を思い描くのは難しいですが、消費者が現在不安に思っていることや自分の感覚で行っている作業を知ることはできます。それらをヒントに未来型家電のアイディア発掘を行うこともできるかもしれません。
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