グローバルコラム

シリーズ ヨーロッパを知る (6)目指せ!訪日外国人旅行者数4,000万人!欧州の訪日トレンド

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益並 香奈

 シリーズ『ヨーロッパを知る』第6回目となる今回は、ヨーロッパ人の日本への旅行についてクローズアップし、考察します。

外国人訪日数と傾向

 先日2017年上期の訪日外客数がJNTO(日本政府観光局)の訪日外客統計にて発表されました。1,376万人(前年同期比 17.4%増)となっており、日本への旅行人気が継続して高まっていることがよく分かります。2017年6月の訪日外客数をエリア別(図1)に見てみると、アジア圏の方の訪日数が圧倒的に多く、全体の7割強を占めています。欧州からの渡航者は、まだ全体の1割ほどにとどまっています。私が日本に住んでいた頃から、すでに東アジアからの観光客は街中でよく見かけていましたが、今年7月に銀座を歩いていると、東アジア以外の方の姿もパラパラと見かけるようになっていました。

図1:エリア別訪日外客数比較(6月分昨対比)


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データ元:JNTO日本政府観光局 訪日外客統計 2017年6月推計値

欧州の人が日本でお金をつかうポイント

 訪日外国人を国別で見ると、東アジアが70%を超えている一方で、欧米豪は12%にとどまります。彼らが日本でどのようなことにお金を使っているかを消費別に見てみると、東アジア諸国から来た人と比べ、宿泊料金や交通費に費やしていることが分かります。

図2:平成28年 国籍・地域別に見る費目別旅行消費額


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データ元: 国土交通省 観光庁 訪日外国人消費動向調査 国籍・地域別にみる費目別旅行消費額 2016年 年間値(確報)

 この理由として、欧州の人は日本での滞在期間が長いことが挙げられます。欧州からすると日本は遠い国の1つであるため、行くからには長く滞在したいと考える人が多いのではないでしょうか。さらに、彼らの働き方も、日本での長期滞在を可能にしているようです。私がイギリスに来て驚いたことの1つに、現地の方々は1週間以上の休暇を年に数回取っていることでした。日本では祝日が上手く重なった時くらいしか、1週間以上の休暇を取りにくいと感じていたのですが、彼らはいとも簡単に取得し、長期休暇=旅行へ出かける人が多いです。

欧州でおこなわれる訪日戦略

 欧州地域での訪日旅行への関心を高めるため、日本政府観光局(JNTO)は欧州全域を対象に大規模な訪日促進キャンペーンを実施しています。フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、スペインの5か国を重点としつつ、スウェーデンやオーストリア、ポーランドの北欧、中欧、東欧諸国、イスラエル、トルコまで、15か国で展開しており、日本の魅力を発信しています。

 ヨーロッパの中で一番訪日者数が多いイギリスでは、今年の春頃、舞妓の写真を掲載したポスターを地下鉄やバスに掲示し、日本をアピールしている広告を見かけました。現地の方が日本に触れる機会はあまりないので、このようなプロモーションが大規模に行われることで、日本に関して興味をもった人も少なからずいるのではないでしょうか。

イベントをきっかけとした訪日関心の強化

 2019年にラグビーワールドカップが開催されることをきっかけに日本に関心を持った人もいるようです。私が働いているイギリスの会社の社員の中にも、その機会に訪日してみたいと話す人がいます。


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 加えて、2020年に東京オリンピックが開催されることでも日本に興味をもつ人が増えているように感じます。私が日本への旅行についていつも質問を受けるのは、言語の問題、日本国内での移動手段と、物価の高さについてです。私個人としては、ロンドンの方が日本よりずっと物価が高いように感じるのですが、彼らがイメージする日本の物価はロンドンよりもさらに高いようです。移動手段については、東京や富士山、京都を周るのに限られた休日で間に合うのか、上手く周れる電車はあるのかなどと聞かれます。そこで私が新幹線の話をすると、日本の鉄道は凄いという印象を持つようで、是非それにも乗ってみたいという話になります。

 彼らから見て日本は極東に位置している遠い国であり、日本の情報が正しく伝わっていないことや、そもそも情報が不足していることが訪日旅行への阻害要因のひとつであるように感じます。現在行われているプロモーションやスポーツイベントは、日本に興味を持ってもらうとても良いきっかけです。このチャンスを逃さず、プロモーションをしたいところです。その際には、現地の方の理解度を把握し、各商品やサービスに持っているイメージを確認しその上で、より正確で、彼らが必要としている日本の魅力を伝えていくことが重要です。欧州からの訪日者数が増えてくれるとうれしいですね。


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