グローバルコラム
アメリカ留学 ささいなことを放置しないで
公開日:
株式会社クロス・マーケティング グループ
広報担当
野々宮 香子
クロス・マーケティングのグローバルコラムをご覧いただきありがとうございます。このコラムでは、当社グループの海外拠点の協力を得て、各国のトレンドや海外進出のヒントなどについてお届けしていますが、今回は昨年12月(2018/12/17
「アメリカ人を知っていますか?」)に続いて、広報担当者が自身の体験から、アメリカ留学のちょっとした心得や関連ビジネスの可能性について書いてみます。
「アメリカ留学は太る」を実証
私は2000年から2003年までアメリカに留学していたのですが、この期間に何と10キロも体重が増えました。「仮説・アメリカ留学は太る」を自ら実証してしまったわけです。もちろんこまめに自炊をすることで、全く体型が変わらなかった留学生仲間もたくさんいます。今思い返すと、大学の寮の食事に頼り過ぎたことが私の“敗因”でした(笑)。そんな私も全く自炊をしなかったわけではありません。近所のスーパーで炊飯器を購入してからは(1~2人用炊飯器なら20ドル以下で手に入ります!)、ご飯を炊いたり、煮物を作ったりしました。ところが、この炊飯器が思わぬトラブルの原因になったことがありました。
日本に暮らす私たちは、普段あまり意識しませんが、ご飯を炊くと独特の匂いが発生します。アメリカ人や他の国の人たちの多くにとって初めて経験する匂いで、どうしても慣れないという人もいて、寮で注意を受けました。これは身近な例ですが、日本で生活していると意識しないことに気づくのも、留学生活の醍醐味かもしれません。
ところで、ブロッコリーを生で食べたことがある方は、どのくらいいらっしゃるでしょうか。私がアメリカで最初に学んだことは、「たいていの野菜は生で食べられる」ということでした。というのも、大学の寮の食堂に常設されているサラダバーには、ブロッコリーをはじめ、ピーマン、マッシュルーム、カリフラワーなど様々な野菜が生の状態で並べられていました。個人的には美味しくいただきましたが、留学を予定している方は、事前に色々な野菜を生で食べてみて、心の準備をしておくとよいかもしれません。ささいなことが、ホームシックの原因になることもありますので。
ほとんど読めない教授の文字
留学当初は、教授やクラスメイトの英語を聞き取ることができず、かなり苦労しましたが、それ以上に困惑したのは、黒板やレポートの評価コメントに何と書いてあるのか分からないことでした。英語を聞き取れないことは、ある程度覚悟していましたが、これは意外な落とし穴でした。ある程度の語彙力があれば、読めない文字があっても、文脈から推測して読み解けますが、留学したばかりの日本人にはなかなか難しいものです。特に外国人の書くアルファベットに慣れない私たちにとって、教授たちの個性的な文字は解読不能と思えることもありました(笑)。
また、「留学生だからと言って特別扱いを受けたくない」と考える人もいますが、言葉の面で“ハンディ”のある私たちが、最初から現地の学生と互角にやりあうことは困難です。そこで、特に留学当初は、教授と個別にコミュニケーションをとる機会を多く作り、「教室に留学生がいる」「言葉の壁があっても一生懸命取り組んでいる」、と認識してもらうことが役に立ちます。「合格点を取れないかもしれない」という時、成績をカバーするためのレポートの提出や、口頭での試験を願い出ることも可能ですが、そういう場合にも、普段から教授とのコミュニケーションがとれているかどうかが重要になります。
Tシャツとジーンズと…
日本では、日々のオシャレも大学生の楽しみのひとつかもしれませんが、アメリカでは、Tシャツ(冬はセーター)、ジーンズ、スニーカーにリュックサックというスタイルの学生が多いです。そのため、気合いを入れ過ぎて「大学デビュー」をすると、キャンパスではかなり目立つかもしれません。それも個性ですが、「リッチな日本人」というイメージを意図せずアピールしてしまい、安全が脅かされる恐れがないとも言えませんので、注意した方がよいでしょう。大学のキャンパス内にある寮に住む学生が多いことも、日本との違いのひとつです。二人部屋が多く、ルームメイトとの関係に悩むこともありますが、RA(レジデンスアシスタント)と呼ばれる学生の代表が寮内にいて、色々な相談に乗ってくれます。慣れない国での生活は、ちょっとしたことがスムーズにいかず、ストレスを感じることもありますので、不安も不満も、その都度解消するように心がけましょう。
留学経験者のマッチングにニーズ!?
アメリカでは、大学の平均卒業率は約6割と言われています。経済的な理由もあるでしょうが、講義の出席率や成績に関して厳格な基準が定められているのも確かで、9割以上の卒業率を誇る日本に比べて、高いハードルがあります。ただ、大学側も「卒業させまい」としているわけではなく、普通の大学では、ごく普通にやるべきことをやれば、普通に卒業することができます。とはいえ、私たち留学生にとって、この「ごく普通」が難しいのです。そこで、アメリカの大学事情に詳しいアドバイザーが心強い存在になります。
終身雇用制度のないアメリカで学んだ留学経験者は、多くの日本人に比べて転職に対する心理的ハードルが低いこともあり、彼らに対する大学在学中の支援から、就業支援、転職支援まで、長期間にわたってサポートするような事業展開も可能かもしれません。
私生活でも、留学経験者に限定したネットワークの運営やマッチングサービスなどへのニーズがあるでしょう。留学に限らず、共通点のある人同士は意気投合しやすいので、カップル成立の可能性が高いように思います。企業が留学経験者の特性を理解し、ニーズをくみ取ることができれば、いささかニッチではあるものの、新たなマーケットの創造も可能ではないでしょうか。
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