グローバルコラム
アメリカ人を知っていますか?
最終更新日:
公開日:
公開日:
株式会社クロス・マーケティング グループ
広報担当
野々宮 香子
クロス・マーケティングのグローバルコラムをご覧いただき、ありがとうございます。このコラムでは、当社グループの海外拠点の協力を得て、各国のトレンドや海外進出のヒントなどについてお伝えしていますが、今回は少し趣向を変えて、留学やアメリカ系企業での勤務経験のある広報担当が、「アメリカ人」についてよもやま話をお送りします。
ドラマ「フルハウス」でジェンダーフリーを学ぶ
ミシェルはジェシーの妻ベッキーと車作りを始めますが、ベッキーが「車のことは女性にはわからない」という話をダニーやジェシーとしているのを聞いて、車作りをやめてしまいます。もちろん3人は冗談を言っていただけなのですが、幼いミシェルにはわかりません。ベッキーたちはミシェルに間違った情報を与えてしまったことを謝り、「男の人にできることは女の人にもできる」と話しミシェルを説得、ミシェルは車作りを再開しレースで見事優勝します。
ミシェルは決勝戦の前に、「女の子の車ってわかるでしょ」と言って、車の前部分に1輪のバラを飾り、そのバラの差で勝利をおさめました。これは、「性別によって能力は決まらない」というだけでなく、「女性は、男性と同じことをするために、女性であることをやめる必要はない」というメッセージとも受け取れます。
さらに、このエピソードでは、「先人に感謝し、次の世代に伝える」ということを大切にするアメリカ人の姿が描かれていました。ベッキーは、女性の大会への出場が認められていなかったことを振り返り、「このトロフィーは、レースに出られなかった女性全員のもの」とミシェルに話すのです。
アメリカの合理主義は大学の制度にも
また、夏期学期は他の大学で講義を受け単位を取得することができますし、私は経験していませんが、転学なども比較的しやすい環境があります。幅広い年齢層の学生がともに学ぶ風景もごく当たり前に見られます。このようなところにも、アメリカ人の合理的な考え方が表れているように思います。「アメリカを支える優れた人材を輩出する」という目的を第一に考え、合理的な制度が敷かれているのではないでしょうか。
アメリカ人にとって社会に出る覚悟とは
そんな彼らでしたが、卒業する頃には立派な大人に成長します。大学で驚いたことの一つに喫煙者が多いことがありましたが、彼らの多くは大学卒業とともにタバコをやめました。たまたま私の周りがそうだっただけかもしれませんが、アメリカの社会では喫煙者が厳しい目で見られることが多いため、タバコをやめることは、まるで社会に出るための儀式のようでした。
ご存じのように、アメリカには「終身雇用」や「年功序列」は基本的にありません。これは、年配者にとって厳しい制度であるだけでなく、若者にとっても「若さ」を言い訳にできないことを意味します。年齢に関係なく、「何ができるのか」を常に問われるのです。このような環境が、若者たちに緊張感を与え、社会に出るための強い覚悟を持たせているのかもしれません。
会社側は年齢にかかわらず、社員が「一人前」であることを求めると同時に、社員を「一人前」として扱おうとします。アメリカ系企業に入社し、ニューヨーク本社での育成プログラムに参加した際、CEOをはじめとしたマネジメント陣と接する機会がありましたが、彼らはどのような場面でも自分たちの話をするだけでなく、「あなたはどう思う?」と私たちに意見を求めてくれました。ウォール街で荒波にもまれてきた彼らからすれば、私たちなど赤子も同然です。その私たちの言葉に耳を傾けてくれたことは、純粋に嬉しいものでした。
アメリカ人は”Thank you”ですべてOKに?
明確なゴールとは、業務における目標だけではありません。ニューヨークで行われた育成プログラムでは、見事な眺望が眼下に広がるミーティングルームが度々使われました。これは、努力をすることで見られる景色を、目指すべきゴールとして、会社が私たちに示す目的もあったのではないかと思います。
チームのモチベーションアップのためには、労うことも忘れません。”Thank you for your hard work(一生懸命やってくれてありがとう)”ですべてを済ませようとしているような気がしなかったわけではありませんが、ささいなことでも”Thank you”と言ってもらえることで、コミュニケーションがスムーズになるのは確かだと思います。
アメリカのビジネスパーソンはマナーが大切
アメリカ人とのビジネスは情報戦?
例えば、ボストン出身者には「今年のレッドソックスは強かったですね」、イギリス人には「ボヘミアン・ラプソディーの映画見ましたよ」というように、情報収集はスムーズなコミュニケーションのためにとても役立ちます。しかし、それだけではなく、情報収集を徹底的に行うことで、相手の長所や弱点、人間関係、意思決定の仕方などを事前に把握し、ビジネスを有利に進めることができるのです。アメリカ人とのビジネスは、「情報戦」という意味合いがより色濃くなると言えるかもしれません。
アメリカ人の秘められたメッセージにご注意を
「It’s cool(クール)!」を連発するアメリカ人にとって、あえて直接言葉にしないということが「So cool!」なのかどうかはわかりませんが、このように何かにメッセージを込めることで、コミュニケーションがより効果的なものになることは確かだと思います。アメリカ人がPRやイメージ戦略を得意としているのは、こういうところにも理由があるのかもしれません。
アメリカ人に限らず、異なる文化や習慣を持つ人とのコミュニケーションでは、相手を尊重することがとても大切ですが、本当に実践できているかと自らを省みると、なかなか難しいことであるように思います。ここでみなさまにシェアさせていただいたアメリカ人についての感想は偏ったものかもしれませんが、これから先どこかで何かのお役に立つことがあれば幸いです。それでは、Happy Holidays!
関連ページ