グローバルコラム

インドネシアのマイノリティーの胃袋を満たせ~本格的な日本的ラーメン屋が増加?~

Facebook X
 インドネシアは多民族国家であり、いろいろな宗教の人たちが住んでいます。一方、世界一のイスラム教徒人口を抱えるために、インドネシアの事をイスラム国家と勘違いしている人も少なくありません。実際にはイスラム教を国教としている訳ではなく、国自体は世俗主義を掲げているためイスラム国家ではありません。

インドネシアで日本食がブーム

 インドネシアにおけるイスラム教徒の数は全人口のおよそ9割。非イスラム教徒はたったの1割しかいません。海外からいろいろな食品メーカー、レストランがインドネシアに進出してきていますが、そんな訳でイスラム教徒が口にする事を禁じられている食品(豚・酒など)を使用しない食品を扱うことが当然とされてきました。 しかし、たった1割のマイノリティーの人々であっても、インドネシアは世界第4位の2億5千万の人々が住む国です。その1割と言えば相当な人数になるわけで、その人たちが火付け役になって、今インドネシアで日本食がブームになっているのです。



20141209_02


本格的豚骨ラーメン店の進出

 インドネシアでこの数年、日本の豚骨ラーメン店の進出が相次いでいます。そのターゲットは当地に住む日本人ではなく、豚を口にする非イスラム教の1割の人々です。その証拠に、ラーメン屋の進出している地域は日本人がほとんど住まない地域、特に中華系インドネシア人が多く住む地域です。 ラーメンブームの火付け役となったラーメン屋に足を運んでみました。日本のラーメン屋のイメージとはちがい、店内は広く明るくソファースペースなどもあり、女性客や子供連れも多く見受けられます。客層は中華系がほとんどですが、ちらほらインドネシア系の人もいます。全体的にトレンドに敏感な若い人たちの利用が多いようです。平日の昼間というのに席は満席。週末には1時間待ちになる事もあり、店の外に席待ち用の椅子がずらり並んでいます。店員は日本語の書かれたお揃いの制服を着ていたり、店の中に桜の木の造花が飾られていたりと、日本風である事を全面的に出している印象でした。

 こうした本格的な日本的ラーメン屋が増えた事で変わった事があります。つい最近まで、ラーメンというと中華風のラーメンか、日本人からするとラーメンといっていいのか疑問が残る“日本風”ラーメン(インスタントラーメンに山菜やら、フライやら、通常ラーメンのトッピングとして考えられないものがのったラーメン)が多かったのですが、最近は日本人の味覚にも、そして“ラーメンの常識”にも合うラーメンが人々の中で浸透しつつあります。

 一部の中華系を主とする人たちの間でブームとなったラーメンは、マイノリティー以外の人々にもその市民権を広げています。マジョリティであるイスラム教徒の間にも広がり始めてきたのです。インドネシアの人たちは流行にとても敏感、とくに20代後半から30代の人たちは流行に敏感ですし、自分たちの食べた物の情報を友人とシェアするのがトレンドとなっています。 新しい店、新しい食べ物の情報や噂はそんな若者たちの間であっという間に広がっていきました。



20141209_03


広がるラーメンブーム

 広がりは宗教に関係なく広がりましたが、豚骨はどうにも食べられない人たちがいるわけです。その事を受け、豚骨を売りにしていたラーメン店が、最近では豚をいっさい使用しない店舗を市内各地に展開し始めました。私が住む地域はイスラム教徒の割合が多い地域です。近所にこのほど人気のラーメン店が進出してきたのですが、そこは豚食材の扱いがない店舗です。出店先によって豚使用あり/なしを決めているようで、地域によってメニューを使い分けているのも成功要因の一つと言えるでしょう。

 またメニューを見てみるとラーメン以外にご飯もののメニューが多いのも日本のラーメン屋とは違うところでしょうか。保守的な人の中にはお米を食べないと食事をした気にならないという人が多い当地。そんな人にも考慮したメニュー作りがされているようです。

マイノリティーからブームが広がっていったラーメン。ラーメンはもはや一部地域だけでなく、街中いろいろなところで食す事の出来る食べ物となりました。

インドネシアはその人口の多さから、様々な業界で市場としての飛躍が期待されています。そんなとき、人口比を考えてマジョリティから取り込もうとすることが多いものですが、ラーメンのように思わぬところからブームが起こる事もあります。経済成長がすすむインドネシア。人々は常に新しいものが出てくるのを待ちわびています。

関連コラム

マーケティングコラム
あの世代の呼び方は何?各世代へのマーケティング方法もご紹介
「団塊の世代」や「Z世代」など、生まれた世代によってさまざまな名称が付けられています。マーケティング担当者であれば、それぞれの世代の名称と特徴を把握し、世代ごとにあわせたマーケティングを実施しましょう。 本記事では、それぞれの世代の呼び方について説明し、各世代に合ったマーケティング方法を解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
独身の人が増えすぎている?未婚の割合や増加の理由を解説
結婚して家庭をもつことが当たり前だった時代からは一変し、生涯を独身で過ごす人が増えています。なぜ未婚率が高くなっているのでしょうか。今回は、未婚の割合や未婚の人が増えている理由について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
中学生のスマホ使用時間の理想はどれくらい?スマホが及ぼす影響も紹介
近年、中学生からスマホを持たせる家庭が多いなか、使用時間の長さが問題視されているケースが多く見受けられます。スマホの使用時間が長いと学力に影響するといわれることもあり、子どもを持つ親からすると、「適切な使用時間の範囲で使わせたい」と考える方もいるようです。 今回は、中学生がスマホを使う時間の理想をはじめ、使用時間が長いとどのような影響を及ぼすのかを解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
犬派か猫派か?どちらが人気?性格や相性を徹底解剖!
ペットを飼っている人や、これから飼いたいと考えている人にとって気になるのが「犬と猫はどちらが人気なのか?」という点ではないでしょうか。また、犬派と猫派それぞれの性格や相性などについて気になる人も多いかと思います。本記事では、犬派と猫派どちらが多いのか、また性格や相性はどうかを徹底解剖します。弊社で行ったアンケート結果もふまえて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
α世代の次の世代とは?β世代の特徴や取り巻く環境を予測しよう
今注目されているZ世代の次がα世代と呼ばれており、さらにその次がβ世代にあたります。Z世代以降は、デジタルネイティブであることが特徴ですが、マーケティング担当者や商品の開発担当者であれば、β世代とはどのような世代なのか、今と取り巻く環境がどのように変化しているのか気になるのではないでしょうか。今回は、β世代の特徴やβ世代を取り巻く環境について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
推し活の経済効果はどれくらい?市場規模と推し活マーケティングのメリットとは
若年層に適確なアプローチができないなど、従来のマーケティング手法に限界を感じてはいませんか。商品やサービスのターゲットとして、「推し活に力を入れる消費者」に絞る方法もあります。 推し活とは、推し(お気に入りのキャラやアイドルなど)を応援する活動のことです。今回は、推し活の経済効果や企業が推し活マーケティングに力を入れるメリットについて紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
団塊の世代はいついなくなる?高齢化で生じる問題と対策を紹介
団塊の世代は、全人口に占める割合の大きさから、社会に多大なる影響を与えてきました。高齢化の話題に接して、団塊の世代の存在感に驚いた方もいるのではないでしょうか。今回は、団塊の世代の高齢化問題と企業の対策について紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
【TikTok】バズる時間帯はいつ?曜日ごとのバズりやすさとあわせて解説
TikTokは短期間で多くのユーザーにリーチできるプラットフォームです。しかし、効果的な運用には、適切な投稿時間を見極めなければなりません。社内でTikTokの運用を開始する際に、まず押さえておくべきなのが「バズりやすい時間帯と曜日」です。今回は、TikTokでバズるために最適な投稿時間や曜日について詳しく解説し、投稿時に押さえておくべきポイントについても紹介します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
SNSのエンゲージメントとは?SNS別の確認方法や向上施策も紹介
最近では中小企業でも、流入チャネルを増やすためにSNS活用を始めるところが増えてきました。SNSの運用を成功させるためには、できるだけ多くのエンゲージメント(リアクション)を得ることが重要です。今回は、SNSにおけるエンゲージメントについて、確認方法や向上させるための施策を解説します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
ご相談・お見積もり依頼
【法人・個人様】
フリーダイヤルでのお問い合わせ
0120-198-022
※ モニター様からのお電話でのお問い合わせは受け付けておりません。
資料ダウンロード