グローバルコラム

2021年を日本と中国の流行語で振り返る

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株式会社gr.a.m
代表取締役

谷村 真

2022年第1弾のグローバルコラムは、今年も昨年と同様に2021年の流行語についてご紹介したいと思います。2021年は新型コロナウイルスもワクチンの登場によって世界的には収束に向かう年になりました。その中で、世相を反映した言葉はどのようなものが流行ったのか、日本と中国の流行語を比較することで時代を追ってみたいと思います。

日本の2021年流行語

毎年、ユーキャンが「現代用語の基礎知識」として実施している「新語・流行語大賞」をもとに、そこで選出された流行語トップ10から、2021年の日本における流行語を見てみましょう。

うっせぇわ

「うっせぇわ」とは歌手のADOさんのメジャーデビュー曲のタイトル。「うっせぇわ」と連呼する曲が特徴的で、若者の心情を代弁したためか、ミュージックビデオは累計4億回以上ネットで再生されるほど社会現象となりました。

親ガチャ

出生にあたって、運次第であるカプセル販売機のガチャガチャやソーシャルゲームのアイテム入手方法をなぞって、親は自分で選べないことを指した言葉です。

ゴン攻め/ビッタビタ

東京オリンピックでスケートボード競技の解説をしたプロスケートボーダーの瀬尻綾さんが発した言葉。「ゴン攻め」は手すりや階段など難易度の高い場所をガンガン攻めること、「ビッタビタ」は狙い通りの場所にピッタリはまることを表現しています。

ジェンダー平等

SDGs目標5に該当する項目で、性別に関わらずすべてのひとに平等な機会と権利を持ち得ることを意味します。

人流

コロナ禍で頻繁に使用されるようになった言葉。主要繁華街で滞留する人口や、ある場所・時間帯における人出の様子・規模を一言で表せる言葉として活用されました。

スギムライジング

東京パラリンピックの競技ボッチャで金メダル獲得を引き寄せた杉村英孝選手の得意技。ボッチャは、重度障害者のためにヨーロッパで考案されたパラリンピック正式種目です。


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Z世代

1900年代後半~2000年代に生まれた現在10~20代前半のデジタルネイティブな若者世代の代名詞。小さなころからスマホに慣れ、SNSを使いこなし、情報発信や「いいね!」「シェア」で情報を共有することが当たり前の世代です。

ぼったくり男爵

アメリカのワシントンポストのコラムでIOCの商業主義を批判するうえで、バッハ会長を拝金主義、強硬姿勢と揶揄するために記事内で使われた「Baron Von Ripper – off」にあてられた和訳です。

黙食

会食で他人との会話を避けて、黙々と食事をすること。飲食店でポスターを掲示して呼びかけたことが話題となり、コロナ禍の食事マナーを呼びかけるキーワードとして定着しました。

リアル二刀流/ショータイム

MLBのエンジェルスで活躍する大谷翔平選手がMVPを受賞した偉業を讃える代表的な言葉です。本格的な二刀流の成功を例える「リアル二刀流」、大谷翔平選手が登場する際にアナウンスされる「ショータイム」とともに大谷翔平選手の凄さや影響を讃えています。


このように2021年の流行語を見ると、昨年の「コロナ」「オリンピック」「若者」と世相を表した言葉が並びましたが、大賞となった言葉は少し暗い世の中の雰囲気を一掃してくれる、皆に好かれている大谷翔平選手だったことが印象的でした。

中国の2021年流行語

さて、ここからは中国における2021年の流行語を見ていきましょう。今年は2021年12月中国の語言文学雑誌「咬文嚼字」より発表された流行語をご紹介したいと思います。

百年未有之大変局(bǎi nián wèi yǒu zhī dà biàn jú)

「百年未有之大変局(百年なかった大変動)」は、習近平国家主席による演説でたびたび言及されたことで選ばれました。1921年から2021年までの中国共産党による1世紀にわたる奮闘によって、中国国民の未来と運命を大きく変え、中華民族の偉大な復興への道を切り開いてきました。その上で、今後の世界の歴史に深く影響を与えるこれまでにない危機に直面していると同時に、新たな挑戦をおこなう時であると言われています。

小康 (xiǎo kāng)

「小康社会(ややゆとりある生活)」とは、何千年も前から中国の人々が憧れて、追及してきた経済的繁栄、社会的平和、家庭の豊かさのことです。中国共産党によって1978年から始まった改革開放政策の際に掲げた「小康社会建設」という目標が叶いつつあるといった理由で注目されました。

赶考(gǎn kǎo)

「赶考(力試し)」は、もともとは毛沢東氏が、中華人民共和国成立前にこの言葉を国家観として使用し、全党員に対して激励したことから始まりました。中国共産党創立100年記念式典の重要講話で、習近平国家主席がそれにならって「赶考”(力試し)」と発言したことにより選出されました。


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双減(shuāng jiǎn)

「双減(ダブルリダクション)」とは「ダブルの負担軽減」という教育政策のことで、義務教育期間中の学生の宿題と、校外学習の負担を軽減することを表現した言葉です。現在、「学校内での負担は減っているが、学校外での負担は増えている」という問題が顕著で、多数の若者において心身の健康に深刻な影響を与えています。そこで習近平国家主席が議長を務める中央改革委員会で「義務教育段階にある宿題と校外学習の負担の更なる軽減に関する意見」が承認されたことによって、各業界や親にとっても教育に関する考えを改める良いきっかけになっています。

碳达峰(tàn dá fēng)、碳中和(tàn zhōng hé)

「碳达峰(カーボンピークアウト、CO2ピークアウト)」とは、二酸化炭素の排出量がピークに達した後に減少し始めることを意味します。「碳中和(カーボンニュートラル)」とは、企業やグループ、個人が、植樹や省エネ、排出量削減によって自らの二酸化炭素排出量を減らし、二酸化炭素排出量を “ゼロ”にすることをあらわします。2020年9月、習近平国家主席が第75回国連総会の演説で、「中国は2030年までにCO2排出のピークアウトを目指し、2060年までにカーボンニュートラルを実現できるよう取り組む」との目標を発表したことから注目を浴びました。

野生消費(yě shēng xiāo fèi)

「野生消費(ワイルドな消費)」の「野性」は不慣れな性質を指し、自由奔放な消費を意味します。2021年中国の河南省で大規模洪水が起きた際に、中国のスポーツブランドは経営状態が良くないにもかかわらず、多額の物資を寄付したことで、ネットユーザーが感動し、ブランドを爆買いする現象が起こりました。

破防(pò fáng)

「破防」とは、防御を突破することを意味します。もともとはネットゲーム用語で、ゲームの装備、技能が破壊され、防御効果を失ったときに使われる言葉でした。今では共感したり、感動したりした時など心理的な防御が破られることを指すことが多いです。

鸡娃(jī wá)

「鸡娃」とは、子供を塾に通わせ熱心に詰め込み教育をすることを表現した言葉です。近年、高等教育の競争は非常に激しくなっており、”スタートラインで負けない”ために、多くの親が子どもに対して大量の補習や、”全力で努力する”ことを強要しています。このようなクレイジーな育て方に対して、「子どもにニワトリの血を注射するほどの興奮状態をあたえてしまっている」という表現を略して「鸡娃(鳥の児童)」と揶揄されています。

躺平(tǎng píng)

「躺平(寝そべり現象)」は本来、寝そべることや休むことを意味します。現在、多くの人が使っている「躺平」は、人生における「無為」「無抵抗」「怠惰」といった態度を意味し、ネットで流行した用語です。つまり、がむしゃらに働くことをせず、ゆとりある生活を送るといった意味で使われています。これを生活理念とする一定層は「躺平族(寝そべり族)」といわれています。


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元宇宙(yuán yǔ zhòu)

「元宇宙」とは、メタバースの中国語表記。2021年10月末、facebook社が社名を「Meta」と改名し、注目を集めました。仮想世界と現実世界を融合させる手段であるメタバースは、ソーシャル、ゲーム、オフィスなどのシーンを大きく変えるチャンスを秘めています。「メタバース」を基にした一連のアイデアは、人間の生き方を大きく変える可能性があります。


今年の中国における流行語の1位は「百年未有之大変局(百年間なかった大変動)」、2位は「小康(ややゆとりのある生活)」、3位は「赶考(力試し)」と、いずれも習近平国家主席が重要演説のなかで使った言葉が選ばれました。
参照:東方網日本語版、CGTN Japanese、その他ブログ等

まとめ

このように流行語を見てみると選出される言葉は国によって大きく違います。年末年始のタイミングで一年を総括するイベントを追いかけることで、対象国における世相を垣間見みることができ、また自国と比較してみることで面白い気づきや違いを感じることができるのではないでしょうか。
2021年中国では政治色の強いワードが選出されていることから、2022年の政策や関連する取り組み・流れから目を離せません。今年もこのような小ネタでぜひチームのメンバーとコミュニケーションを弾ませて明るく新年を始めていただけますと幸いです。今年もよろしくお願いいたします。


<会社概要>
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