グローバルコラム
withコロナ時代の入国情報~アメリカ・ドイツへ入国する際に必要な準備・手続き~
公開日:
株式会社gr.a.m
代表取締役
谷村 真
世界的な新型コロナウイルス感染症の流行の影響により、各国は独自の対策を打ちながら蔓延防止に取り組んでいます。そのような環境下ではありますが、それぞれがwithコロナを受け入れて共存していこうといった動きも徐々に見えてきています。そこで今回のコラムでは、今後の人の動きを見通してまずはアメリカとドイツの入国情報を皆さんにお伝えしたいと思います。
アメリカへの入国情報
まずは、アメリカです。新型コロナウイルス感染者の増加により、2020年3月13日に非常事態宣言が発令されました。同年10月より全土で感染が再拡大したため、夜間外出禁止令や自宅待機勧告が発令されましたが、ワクチンの普及と感染者数の減少に伴って、一部地域を除いて解除されました。
現在、全ての州において経済活動が再開されているものの、再開に伴う規制緩和の内容は州・地域によって異なっています。渡航者は、ホテルなどでの自己隔離や公共の場でのマスク着用義務など、州で施行中の規制を遵守する必要があります。
なお、アジア系市民や渡航者に対する迷惑行為・事件がアメリカ国内で多発しているため、大使館および総領事館では不要不急の渡航自粛要請を行っており、特に夜間の外出を控えるよう呼びかけています。
2021年9月1日、日本は米国疾病予防管理センター(CDC)により感染警戒基準がレベル3「感染リスクの高い地域」に指定されています。
アメリカ政府はESTA(電子渡航認証システム)申請による米国への渡航を許可していますが、国外からの渡航者は州や地域で施行中の規制を遵守する必要があります。規制は州・地域によって異なっており、到着後の自己隔離やマスク着用を義務付けているところもあるため、アメリカ渡航前に詳細の確認が必須です。
2021年1月26日より、国外から空路でアメリカへ入国する全ての渡航者はPCR検査による陰性証明書または感染から回復したことを示す診断書の提示を義務付ける措置が施行されました。この措置は満2歳以上の渡航者が対象となります。
また、日本政府は国内の緊急事態宣言の発令に伴って、国外から日本へ帰国する全ての渡航者を対象に、出発72時間以内に取得した陰性証明書の提示を義務付けています。アメリカから帰国する際は、出発前にPCR検査を受診し、陰性証明書を取得してください。
1.ESTA(電子渡航認証システム)の申請及び取得
2.航空券の手配
3.海外旅行保険加入の確認:滞在時の事故・病気やケガのリスクに加えて、現在では、新型コロナウイルスに感染した場合、滞在国の規定に沿った検査や隔離が必要となります。費用は自己負担となるため、海外旅行保険の加入、または補償の内容の再確認が推奨されます。
4.出発前3日以内に受けたPCR検査の陰性証明書(英文)の取得:満2歳以上が対象となります(2021年1月26日より施行)。
5.宣誓書の提出:「要件を満たす陰性証明を取得したこと」または「新型コロナウイルスから治癒し、渡航に支障がないと診断されたこと」の宣誓書(Attestation)を搭乗前に航空会社に提出する必要があります。これは2歳以上の全ての渡航者が対象となり、渡航者ごとの提出が必要となります。2~17歳の渡航者については、法律により別途認められている場合を除き、親またはその他権限のある方が宣誓書を提出します。また、肉体的・精神的な障害等によって渡航者本人が宣誓できない場合は、近親者・法定代理人・旅行代理店などの権限ある方が本人に代わって提出することができます。
◇宣誓書テンプレート(英文):https://www.cdc.gov/quarantine/pdf/Fillable-Attestation-English-508.pdf
6.健康申告(オンライン):一部渡航先のみ必要となっており、現在ではロサンゼルス市への渡航に際し事前申告が必要となっています。
※入国に関する条件等は政府指示のもと変更がある可能性がありますので、必ず最新情報をご確認ください。
ドイツへの入国情報
次にドイツです。2021年9月5日、日本はドイツ政府より「ハイリスク地域(Hochrisikogebiet)」に指定されました。これに伴って、日本はドイツ政府の指定する入国制限解除対象国から除外され、日本からの渡航者には再び入国制限が適用されるようになりました。
ハイリスク地域に指定された国からの渡航者は、入国前に事前デジタル登録が必要となり、また入国後の隔離措置が義務となります。
ハイリスク地域に該当する国からの渡航者には、以下の3つの義務が課せられます。
1.登録義務(デジタル入国登録(DEA))
2.証明書提示義務
3.隔離義務
ただし、ドイツ国籍者、EU加盟国国籍者、シェンゲン協定適用国の国籍者及びその家族など、入国制限が免除される例外規定もあります。
1.登録義務(デジタル入国登録)
ドイツ入国前10日以内に「ハイリスク地域」(日本を含む)に滞在歴のある渡航者は、搭乗手続き前にデジタル入国登録(DEA)を行う必要があります。デジタル入国登録フォームにて過去10日間の滞在歴に関する情報を入力し、必要事項がすべて入力されると、PDF形式にて確認書が発行されます。
◇デジタル入国登録フォーム(Digitale Einreiseanmeldung/Digital Registration on Entry): www.einreiseanmeldung.de/#/
2.証明書提示義務
2021年8月1日より、ハイリスク地域からの入国か否かを問わず、全ての国・地域からの12歳以上のドイツ入国者は、陰性証明書、ワクチン接種証明書、快復証明書のいずれかを提示する義務があります(ドイツ入国を伴わない空港トランジットエリア内での乗り継ぎは除く)。
なお、「ハイリスク地域」からのドイツ入国にあたっての陰性証明書については、ドイツ入国前48時間以内に実施した抗原検査、又はドイツ入国前72時間以内に実施したPCR検査の陰性証明書が有効です。
「ハイリスク地域」からの入国者については、原則として陰性証明書の提示義務及び10日間の隔離義務が生じますが、ワクチン接種証明書又は快復証明書のいずれかをデジタル入国登録(DEA)を通じて提出した場合、即時の隔離終了が可能で、隔離無しでの入国が可能となります。
証明書には以下の情報が明記されている必要があります。
(1)ワクチン接種を受けた方の人定事項。すなわち、氏名のほか、生年月日、または携行し入国検査で提示する有効な旅券の番号、あるいは写真付きの公的な身分証明書の番号が含まれていること
(2)ワクチン接種日時、接種回数
(3)ワクチンの名称
(4)ワクチン接種の対象となる疾患の名称
(5)接種の実施や証明書の発行に責任を持つ個人または機関が明記されていること
(例:正式な標章や個人名など)
※ワクチン接種証明書は、ドイツ語、英語、フランス語、イタリア語、スペイン語のいずれかで記載されていなくてはなりません。
なお、証明の根拠となるワクチンは、パウル・エーリッヒ研究所が掲げる次のいずれかのワクチンである必要があります。
・Comirnaty(バイオンテック・ファイザー)
・Janssen(ジョンソン・アンド・ジョンソン)
・Spikevax(モデルナ)
・Vaxzevria(アストラゼネカ)
また、以下の条件のいずれかを満たしている必要があります。
・接種スケジュールの完了に必要な所定回数のワクチンを接種しており、必要とされる最後の接種回から14日以上経過していること。
・治癒した人の場合はワクチンを1回接種していること。治癒した人のワクチン接種状況が完全であることを証するものとして、ワクチン接種の前にCovid-19に感染していたことが証明されていること。これを証明するものとしてPCR検査の陽性結果が提示されていること。
3.隔離義務
入国時の検疫については、ドイツ全域で一律に規定されています。
ドイツ入国前の10日間に、入国時点においてハイリスク地域または変異種蔓延地域に指定されている地域に滞在歴がある渡航者は、原則として入国後に自宅または目的地にある宿泊施設へ直接移動し、隔離されなくてはなりません(自宅検疫)。ハイリスク地域に滞在歴がある場合、検疫隔離期間は原則として10日間です。
検疫期間中は自宅や宿泊施設から出てはならず、訪問者を迎えることも禁止されています。
<ハイリスク地域を対象とした検疫期間の終了について>
快復証明書、ワクチン接種証明書、陰性証明書のいずれかをドイツのデジタル入国ポータルサイト(www.einreiseanmeldung.de)に提出すれば、入国後の自宅検疫期間を短縮して終了することができます。
また、上記の「2.証明書提示義務」でも記述したように、渡航前に快復証明書またはワクチン接種証明書が提出されていれば、検疫は不要となります。陰性証明書の提出については、対象となる検査が入国後5日目以降に実施されている必要があります。
検疫は提出した時点で終了となります。12歳未満の子どもについては、入国後5日目に隔離措置が自動的に終了します。
<指定地域の解除による検疫終了について>
対象となる地域が www.rki.de/risikogebiete 内にある指定地域から解除、すなわちリストから削除された場合には、自宅検疫は自動的に終了することとなります。
検疫義務は差し当たって2021年9月30日まで有効です。
※入国に関する条件等は政府指示のもと変更がある可能性がありますので、必ず最新情報をご確認ください。
最後に
現在の新型コロナウイルス感染状況について、ロイターのCOVID-19Trackerサイトによると、アメリカでの感染者数は増加傾向にあり、平均で1日あたり166,813人の新規感染者が報告されています。新型コロナの世界的大流行が始まって以降、アメリカで報告されている累計感染者数は39,570,764人、死者数は643,265人となっています。
Our World in Dataによると、2021年9月1日時点でワクチンを一回以上接種した人は人口比で62.6%、必要回数のワクチン接種を完了した人は53.2%となっています。ただし、ワクチン接種率は州によって異なっており、最も低い10州は南部に多く、接種完了率は41%以下であり、高い州は北東部が中心で接種完了率は58%となっています。CNNによれば、接種率が高い10州と低い10州を比べると、住民の死亡率に約5.5倍の差があるということです。
ドイツの新型コロナウイルス感染者数は現在増加傾向にあり、平均で1日あたり10,467人の新規感染者が報告されています。
また、パンデミックの開始以降では、感染者4,007,157人、死者92,339人が報告されています。
(参照:ロイター社の新型コロナウイルストラッキングサイト、2021年9月7日現在)
このような状況を見ると決してコロナが収まったとはいえません。ただ、このままコロナが収まることを待つ、収めるといったスタンスだけでなく、同時にあらゆる経済活動を止めないといった観点も大切です。各国の判断でwithコロナを受け入れて共存に舵を切り、施策を打って出ている国もあります。
現代社会において経済活動は世界中で繋がっています。そのうえで関係各国の情報をいち早く収集し、それぞれの基準に則ってできることを、私たち自身も考え、準備・判断していかなければならない時期にきているのかもしれません。
今回共有した入国情報も皆さんの判断の一助となればと思います。
<会社概要>
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