グローバルコラム

グローバルマーケティング施策立案のカギ 「ソーシャルリスニング」の活用法!

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株式会社gr.a.m
代表取締役

谷村 真

企業活動をするうえで、いまやソーシャルリスニングは必要不可欠です。
マーケティング業界では、ここ数年でソーシャルリスニングを活用することが当たり前になりました。ソーシャルリスニングとは、「ソーシャル」を「リスニング=傾聴する」ということであり、一般的には、TwitterやInstagramなどのSNSを分析して、課題に役立てることを意味します。

リスニングとアスキングの違い

以前より私たちは、マーケティングを実施するにあたってアンケートやグループインタビュー、デプスインタビューなどのアスキング手法を情報収集に活用しますが、いくつかのメリットとデメリットがあります。
まずメリットとして、聞きたいこと全てを尋ねることができるという点が挙げられます。一方デメリットとして、対象が「見せたい自分」を話すことで生の姿から離れてしまうことがあったり、本音を出さないケースがあったりします。また、尋ね方によっては、「ほしい回答」に引っ張られてしまう可能性もあります。

ソーシャルリスニングは、リスニング手法を活用します。これも同様にメリットとデメリットがあります。メリットとしては、SNS上の声を傾聴することで対象の生の声を吸い上げやすく、自発的な発言のため本音が見えやすいといったことが挙げられます。一方デメリットとして、全てを語ってくれるわけではないため、情報が歯抜けになりがちです。

つまり、ソーシャルリスニングを活用してマーケティングを実施するには、リスニング手法とアスキング手法をうまく組み合わせ、目的に沿った情報として整理することが必要不可欠です。

ソーシャルリスニングを成功させるコツ

SNSデータは基本的には全世界に公開されているため、その気になれば誰でもソーシャルリスニングを実施することはできます。ただ、その分析にはいくつかのコツがあります。

1つは、「知りたいこと」があるときのキーワードの選び方です。
例えば、ある商品について調べようと思ったとき、人によって表記の仕方が違うということを忘れてはいけません。正式名称だけではなく、空白や・が抜けた表記、省略した言い回しなどでも検索をかける必要があります。ここに注意しなければ、求めている投稿にたどり着かないばかりか、件数が実数より少なく見えてしまうということもあります。


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また、ゴミデータを省くことも必要です。
ある単語で検索をすると、その単語が含まれた別の単語が出てきてしまいます。
このような書き込みが混ざったまま分析をすると、実際より多い数が投稿されていると誤解してしまうケースもあります。ソーシャルリスニングは、このような作業を踏まえて次の分析へ移っていかなければいけません。

2つめは、データの見方です。データを時系列にすると、その量には必ず山と谷があります。この山になる「きっかけ」と「増幅を引き起こしている人たち」に着目しなければいけません。
よく「バズった」などといわれますが、そのバズを引き起こした起点は何なのかを、山が起き始める投稿を見て判定していきます。そして、それが大きく伸びたところで、リツイートやいいねを押した群を特定していきます。
最初に拡散した人は、その分野のインフルエンサーと言える可能性が高いです。

インフルエンサーを探したら、今度は、ペルソナ(その人のパーソナル属性、どんな人物かということ)やカスタマージャーニー(ある商品に対して興味・関心を持ってから実際に購入に至るまでの情報収集~比較検討~購入~周りへの伝達などの一連の流れを整理したもの)を作ります。
投稿を遡り、つぶさに見ていくことで、その人がどのような人物なのか(居住地や職業、家族構成、年齢、趣味や好きなこと・もの、ライフスタイル、価値観、こだわりなど)が分かってきます。
そして、商品を購入するまでに、どのようなタッチポイントでどう情報収集をしたのかということを投稿からあぶり出し、アスキングを使った情報も合わせてジャーニーを作ります。

ソーシャルリスニングを活用して海外販売を狙う

海外でモノを売るために、消費者が話題にしているキーワードを把握したいときがあるかと思います。国内のことに関しては、日本のSNSをウロウロすればすぐにキーワードが分かりますが、海外の特定の国や地域で、ターゲットとなる消費者が話題にしているキーワードを知るにはどうすればいいでしょう。ソーシャルリスニングは、適正なキーワードを得て初めて、有効な情報を得るための手段となります。


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海外で消費者が話題にしているキーワードを知るために、まずは情報が得やすいジャンルについて、「アンテナを立てる」ことで定点観測を行なっていきます。
定期的に主要ソーシャルメディアをスキャニングし、興味に応じた投稿やトレンドをピックアップしていきます。月に1回程度、このスキャニングを行うことで、マーケティング活動にとって意味のある動きが拾えるようになり、その中で、焦点となるキーワードが浮かび上がってきます。キーワードが拾えれば、あとは自由自在にソーシャルリスニングを展開できます。

逆に、アンテナを立ててキーワードを得ることなく、その国の市場についてソーシャルリスニングを行おうと思っても、思ったような成果を得られないでしょう。
これは、狙っている市場に期待できるものが何もわからない状態でマーケティングを行なっても、意味あるものも浮かび上がってこないということです。キーワード設定は、その市場に対する仮説の設定となります。

キーワードがない状態でその国の市場に関するトレンドを把握するのであれば、インフルエンサーに着目するという方法もあります。業界のインフルエンサーの活動をしばらく観察し、頻繁に出てくる言葉や固有名詞を得て、それをTwitter、Instagramなどのソーシャルメディアでリスニングをする際のキーワード候補として設定することができます。
キーワードを見つけることができれば、あとは日本と同様、いくつかのコツを踏まえながらソーシャルリスニングを行い、その国のターゲットとなる対象のペルソナやジャーニーを作り、マーケティングを行っていくことになります。

まとめ

現在、消費者の多くはソーシャルメディアで何らかの情報を発信しています。また、隣近所や近しい人間関係に影響を与えることができる消費者は、良いと思った商品をSNSに書きこむ可能性が高いです。結果として、SNS上には、その商品に関する無数のコメントが溢れます。日本にいながら、その国の市場のあり方を知りたい場合、まずはソーシャルリスニングをかけるのがもっとも懸命なやり方だということになるでしょう。

ソーシャルリスニングを行い、ペルソナを抽出してカスタマージャーニーを作ったり、投稿件数が多いジャンルについては、統計的な分析を行ったり、時系列の消費動向変化を追ったりすることで、現地におけるマーケティング戦略を組み立てることが可能になります。
海外でモノを売るために「まずソーシャルリスニングを行ってみる」ということは、海外でモノを売るための準備として正しい方法であるということが言えるのではないでしょうか。



<会社概要>
株式会社gr.a.m
東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー24F
03-6859-2252
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