グローバルコラム

ネットが揺るがす中国の都市ランキング

Facebook X
Apollo Dai
Kadence International Inc.(China)※
Regional Insight Director

Apollo Dai

※Kadence International Inc.(China)は、株式会社クロス・マーケティンググループのグループ会社の一つです。
 中国では、11月11日は「独身の日」です。「ひとり」を連想させる「1」が4つ並んでいることにちなんで、1990年代に若者の間で生まれたと言われています。公式の祝日ではありませんが、「独身の日」には、毎年、インターネット通販の大セールが行われています。特に中国の電子商取引(EC)大手アリババの「独身の日セール」は、世界最大のショッピングイベントと言われるほど大規模なもので、2018年に10周年を迎えました。その記念すべき2018年、セール開始後、わずか24時間で、総流通額は308億ドル(前年比27%)に上りました。また、受注額も初めて10億ドルを上回りました。

 中国の都市の消費水準は、大きく変化しています。売上収益を見てみると、1位に上海市、2位に北京市、3位に杭州市、4位以下は、広州市、深圳市、成都市、重慶市、武漢市、蘇州市、南京市と続いており、上位には、日本のみなさまも、一度は聞いたことのある都市が並んでいますが、人口流入に関するある調査では、異なる結果が出ています。トップは、上海市や北京市ではなく、13.6%増となった杭州市でした。

 2位以下は、長沙(ちょうさ)市、成都市、武漢市、深圳市、西安市、青島市、南京市、鄭州(ていしゅう)市、合肥(ごうひ)市と続いています。日本のみなさまにとっては、見慣れない都市名が多いのではないでしょうか。中国における都市間競争は、新たな局面を迎えているのです。

 数年前、中国では、人々が北京や上海、広州を目指して、移動していました。若者は大都市で困難に遭い、多くの若者が大都市を離れましたが、彼らは地方都市の生活になかなか馴染むことができず、結果的に大都市に戻ってくるということが多くありました。しかし、現在は違います。一度、大都市を離れた若者が、戻ってくることは稀です。彼らは第二都市に留まることを選び、それによって、第二都市は成長しているのです。

 給与レベルや物価が、これまでの都市ランキングを揺るがしています。国の経済マップの再編により、大規模産業や多国籍企業が、第二都市、第三都市を形成し始めました。本社以外の研究開発やマーケティング、製造部門は、第一都市に置かれないケースが増えています。例えば、ファーウェイのデータセンターは貴陽市に設けられ、ファーウェイ大学や研究開発センターも東莞(とうかん)市に移されました。シスコにいたっては、中国本社を杭州市に設立しました。

 通信企業だけでなく、自動車や高級ブランド、不動産をはじめとした様々な大企業が、第二都市で事業を拡大しています。

 私の友人の弟は、大学卒業後、スタンダードチャータード銀行の南昌(なんしょう)市支店に入社しましたが、南昌市支店で初めての採用だったそうです。海外資本の銀行は、採用の半数以上を第二都市もしくは第三都市で実施するようになっており、大企業の多くも、そのような地域で、人材の確保や掘り起こしを進めています。内陸のGDPは、沿岸部を上回りました。

 Eコマースの登場によって、地域差が小さくなっています。都市間の境界線をなくした最初のインターネットツールは、淘宝(Taobao)でした。2003年にTaobaoが登場し、Eコマースが発展を遂げる中で、第一都市と第二都市の間で、入手できる商品の差が次第になくなっていきました。高級ブランドのニューモデルも、天猫(Tmall)で購入することができます。

 過去数年間のモバイルインターネットの急速な発展は、衣食住や移動手段、娯楽の利便性を追求する上での問題を解決しました。フードデリバリーのMeituan、Ele.me、配車サービス大手 のDidi Chuxing、自転車シェアリング、動画配信プラットフォームのYOUKUなど、この数年間に登場したサービスは多くの人に活用されています。

 インターネットは、人の流れを変え、人材の獲得競争が、都市間で激しくなっています。このような動きが、中国の都市ランキングをひっくり返すことにつながるかもしれません。

おすすめのコラム

マーケティングコラム
あの世代の呼び方は何?各世代へのマーケティング方法もご紹介
「団塊の世代」や「Z世代」など、生まれた世代によってさまざまな名称が付けられています。マーケティング担当者であれば、それぞれの世代の名称と特徴を把握し、世代ごとにあわせたマーケティングを実施しましょう。 本記事では、それぞれの世代の呼び方について説明し、各世代に合ったマーケティング方法を解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
独身の人が増えすぎている?未婚の割合や増加の理由を解説
結婚して家庭をもつことが当たり前だった時代からは一変し、生涯を独身で過ごす人が増えています。なぜ未婚率が高くなっているのでしょうか。今回は、未婚の割合や未婚の人が増えている理由について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
α世代の次の世代とは?β世代の特徴や取り巻く環境を予測しよう
今注目されているZ世代の次がα世代と呼ばれており、さらにその次がβ世代にあたります。Z世代以降は、デジタルネイティブであることが特徴ですが、マーケティング担当者や商品の開発担当者であれば、β世代とはどのような世代なのか、今と取り巻く環境がどのように変化しているのか気になるのではないでしょうか。今回は、β世代の特徴やβ世代を取り巻く環境について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
中学生のスマホ使用時間の理想はどれくらい?スマホが及ぼす影響も紹介
近年、中学生からスマホを持たせる家庭が多いなか、使用時間の長さが問題視されているケースが多く見受けられます。スマホの使用時間が長いと学力に影響するといわれることもあり、子どもを持つ親からすると、「適切な使用時間の範囲で使わせたい」と考える方もいるようです。 今回は、中学生がスマホを使う時間の理想をはじめ、使用時間が長いとどのような影響を及ぼすのかを解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
犬派か猫派か?どちらが人気?性格や相性を徹底解剖!
ペットを飼っている人や、これから飼いたいと考えている人にとって気になるのが「犬と猫はどちらが人気なのか?」という点ではないでしょうか。また、犬派と猫派それぞれの性格や相性などについて気になる人も多いかと思います。本記事では、犬派と猫派どちらが多いのか、また性格や相性はどうかを徹底解剖します。弊社で行ったアンケート結果もふまえて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
推し活の経済効果はどれくらい?市場規模と推し活マーケティングのメリットとは
若年層に適確なアプローチができないなど、従来のマーケティング手法に限界を感じてはいませんか。商品やサービスのターゲットとして、「推し活に力を入れる消費者」に絞る方法もあります。 推し活とは、推し(お気に入りのキャラやアイドルなど)を応援する活動のことです。今回は、推し活の経済効果や企業が推し活マーケティングに力を入れるメリットについて紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
団塊の世代はいついなくなる?高齢化で生じる問題と対策を紹介
団塊の世代は、全人口に占める割合の大きさから、社会に多大なる影響を与えてきました。高齢化の話題に接して、団塊の世代の存在感に驚いた方もいるのではないでしょうか。今回は、団塊の世代の高齢化問題と企業の対策について紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
デジタルデトックスは効果なし?得られる効果と実践方法を解説
デジタルデトックスとは、一定期間スマートフォンやPCなどのデジタルツールから離れることで、ストレスを軽減する取り組みのことです。デジタルツールに囲まれて生活する方が多い現代社会のなかでは、ストレスや心身の疲れを緩和する効果が期待できるといわれています。 しかし、「デジタルデトックスには効果がない」といった意見も見受けられます。今回は、デジタルデトックスには効果がないといわれてしまう理由や、より効果的にデジタルツールと距離を置く方法について解説します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
人工知能(AI)で未来はどう変わる?人工知能の現状と予測される変化
まるで人間のように何でも質問に答えてくれる対話型AI「Chat(チャット)GPT」の出現に世界が揺れています。人工知能とは、人間のような知能を持つコンピュータシステムのことで、AIとも呼ばれます。例えば、スマートスピーカーやスマホの顔認証システムなどは人工知能の一種です。スマートスピーカーなら人間の声から話している内容を理解して、その対応まで行います。顔認証システムなら、顔から同一人物かどうかを判断するでしょう。近年は、「Chat GPT」のような人工知能がめざましく発達しています。この調子で人
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
ご相談・お見積もり依頼
【法人・個人様】
フリーダイヤルでのお問い合わせ
0120-198-022
※ モニター様からのお電話でのお問い合わせは受け付けておりません。
資料ダウンロード