グローバルコラム

中国進出を考えるみなさまに朗報!?ビジネスチャンスとしての中秋節

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Kadence International Inc.(China)
Regional Insight Director

Apollo Dai

 日本のみなさまは、そろそろ年末年始の予定を立てていますか。離れてくらす家族にとって、お正月は久しぶりに一緒に過ごせる貴重な時間ですね。中国は春節(旧暦の新年)を盛大に祝うことで知られていますが、秋にも家族の行事があります。それが、「中秋節」です。(旧暦8月15日で、今年は9月24日でした。)日本のお月見にあたり、中国では丸い満月が家族の団らんを象徴すると考えられています。中秋節の時期に帰省することがかなわないと、いつになく寂しさを感じるものです。

 さて、中国では中秋節に月餅を送り合う習慣がありますが、実は今これが大きなビジネスチャンスとして注目されています。

 アリババが運営する人気のスーパー「盒馬鮮生(フーマーションシェン)」は、今年6種類のフレーバーの月餅を販売しましたが、一番売れたのは昨年も大人気だった「ザリガニ味」でした。日本ではザリガニは食べないと聞きますから、「ザリガニ味」に驚いた方もいらっしゃるでしょう。中国では2015年頃からザリガニ料理店が爆発的に増え始め、「マクドナルドを超えた」と言われるほどなのです。この人気に便乗して、ザリガニ味の月餅も売り出されました。


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 台湾系スーパーの「大潤発(ダールンファー)(RT-Mart)」では、贈答用と家庭用に分けて月餅が販売されました。月餅のメーカーはそれぞれ工夫をこらして、さまざまな大きさやフレーバーのものを毎年売り出しますが、今年は“月餅のお供にワイン”という斬新なペアリングも人々の関心を引きました。


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 オンラインストアもこの伝統行事をビジネスチャンスととらえて、さまざまな仕掛けをしています。例えば、大手のECサイト「JD.com(京東商城)(ジンドンしょうじょう)」は複数の月餅メーカーの協力を得て、9月22日から24日までセールを展開しました。

 クロスボーダーeコマース事業者の「NetEase Kaola(ネットイースコアラ)」は、中秋月の当日に月餅を受け取る場所で雨が降っていた場合に無料になる“Mid-Autumn Rain, Moon Cake Free”というユニークなキャンペーンを実施しました。このキャンペーンは人々の購買意欲を高め、結果は大成功でした。

 中秋節は中国国内の企業に限らず、中国市場に進出する外国企業にとっても大きなビジネスチャンスになりつつあります。中国でビジネスをする外国企業の多くは、中国市場の環境や消費者に適応することで成功をつかんでいますが、“月餅商戦”でも同じことが言えます。

 例えば、ハーゲンダッツは、中国の人々のニーズに応えて、中秋節の時期はオリジナルの月餅を作っています。個人的に感心したのは、大きさや形は伝統的な月餅でありながら、中身はおなじみのハーゲンダッツのアイスクリームだったことです。中国の伝統文化をうまく自社製品にとりこんだ成功例です。また、伝統的な月餅のメーカーは過剰とも言える包装を施すことが多いのですが、ハーゲンダッツはシンプルかつ丁寧な包装でギフト用としても人気を集めています。ハーゲンダッツの月餅はその美味しさから口こみで人気が広がりましたが、中国中央テレビ(CCTV)をはじめとしたメディアでの宣伝も功を奏し、店舗には行列ができました。


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 ハーゲンダッツが販売した月餅のクーポンも大人気でした。親族や友人の間で送り合うだけでなく、多くの企業で社員の福利厚生のために利用され、これも売上げを押し上げる要因になりました。

 スターバックスは、限定デザインのマグカップを売り出し、“buy a mug and take a cup of coffee you like”(マグカップを購入したお客様に、好きなコーヒー1杯プレゼント)というキャンペーンを実施しました。月餅ももちろん売り出され、中秋節の人気のギフトになりました。セブンイレブンも、期間限定の月餅を販売しました。

 このように、近年、中秋節はビジネス色が強くなっています。中国進出を考える企業にとっても、大きなチャンスととらえることができるでしょう。それでも、中秋節の伝統的な行事としての意味合いがなくなったわけではありません。見上げる月は同じでも、私たち中国人にとっては、家族と故郷で見る月の方が丸く明るく見えるものなのです。

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