グローバルコラム

高級化・多様化する中国のパーソナルケア市場

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最近の中国人は、目に見えるものだけでなく目に見えないものにお金をかけだしたと感じます。その代表的な一つが、スキンケア・ヘアケアといった“パーソナルケア製品”です。

ビューティケアの贅沢を楽しみだした中国人

以前は、家の内装やクルマは贅沢でも、自宅のバスルームには石鹸とシャンプーだけという人が少なくありませんでした。しかし、今ではボディーソープやヘア・トリートメントが常備されることが増えてきました。専門家によると、中国のパーソナルケア市場は2020年まで毎年12%の成長を続け、市場規模は5千億元(約8兆4千万円)に達すると予想されています。


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ヘアケア製品だけでこの充実ぶり。年々拡大するパーソナルケア市場


月給約5000元(8万5千円弱)のミドルクラスの中国女性のお気に入りは、ロクシタンのハンドクリームとTSUBAKIのヘアケアで、どちらも友人からの口コミで購入したそうです。一般商品の数倍も高額で、彼女にとっては勇気ある決断でしたが、「一度使ったら、そのあまりの心地よさに手放せなくなった」とのこと。使い続けているポイントは「高価といえども、手の届く範囲」で「使っている優越感が幸せ」だからだそうです。

そんな消費者のニーズに応えるように、中国のパーソナルケア市場にも幾つかの変化が見られます。

パーソナルケアのキーワードは“高級感”と“自然派”

近頃、スーパーや専門店などのパーソナルケア売り場はどこも拡大傾向にあり、その豊富なラインナップは圧巻です。更に驚くのは、販売価格が日本と同レベルか、むしろ高めだということです。もちろんただ単に価格が高くなったわけでなく、発売されるニューフェースを見ていると、“高級感”と“自然派”という共通したキーワードが浮かんできます。

パーソナルケア売り場では、P&Gやロレアルといったグローバルブランドを中心に、ブラックやゴールド、ワインレッドなど、ラグジュアリーなトーンの高価格帯商品が次々と登場しています。それらは、既存の商品とは一線を画した使い心地――いわゆるサロンレベルの効果でハイプライスでも消費者を納得させています。

一方の中国メーカーは漢方系やドクターズコスメ、無添加スキンケアなど“自然派”を強調したブランド開発に力を入れています。人気の中国ブランドに「自然堂」「相宜本草」「佰草集」などがありますが、そのネーミングからも“自然派”というキーワードが感じられます。

“ベビー用” “メンズ用” “シニア用”と多様化するパーソナルケア

今から15年ぐらいまでは、中国のパーソナルケア製品は万人向けで、シャンプーも石鹸もクリームも一種類のものを家族みんなで使っていたのですが、90年代後半にベビー用スキンケアが登場してからは、「赤ちゃんはベビー用」という概念が一気に定着していきました。

そして数年前から急成長しているのが、メンズ用パーソナルケア製品です。かつては「中国の女性はお洒落だけど、男性はイマイチ・・・」と言われていましたが、いまどきの中国男子は身だしなみを気にするようになってきました。実際に町を歩いていると、国内外の男性スターを起用した、メンズ用コスメの広告があちこち目に飛び込んできます。

シニア用パーソナルケア製品は、今後の成長が期待できるカテゴリーとして注目されています。50~70年代生まれの中国のベビーブーム世代が中高年に突入しつつある現在、日本と同様に中国でもシニアマーケットの拡大が予想されています。まだ確立していないシニア向け製品が将来的にどうなっていくか、気になるところです。


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飛躍的な伸びを見せるメンズコスメ。爽快感や香料で女性用と差別化


こうして見ていくと、中国のパーソナルケア市場はすでに世界レベルに達しているように見えますが、今でも固形石鹸や洗濯洗剤で髪を洗う人々が存在する現実を忘れてはなりません。

海外ブランドは往々にして、中国の富裕層の驚異的な購買力に目を奪われがちですが、大多数の一般消費者に標準を合わせていくことも大切です。ジャパンブランドの強みである「安全性」と「高品質」を打ち出したお得感ある商品で、広範囲の消費者を獲得していけるかどうか――。このあたりが、今後のチャイナマーケットでの成否を決める鍵となりそうです。

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