デジタルマーケティングコラム

広告最適化に欠かせないA/Bテストとは?メリットや進め方を解説

Facebook X
20231003_matsumoto-Dec-13-2024-01-17-11-4814-AM
株式会社クロス・マーケティング
カスタマーソリューション本部 デジタルソリューション部 デジタルソリューショングループ
マネージャー

松本 啓民

競争が激化するマーケットで効果的な広告戦略を展開し、目標を達成するためには客観的なデータに基づく洞察が不可欠です。そこでおすすめの手法が「A/Bテスト」です。今回は、A/Bテストの概要やメリット、基本的な進め方についてご紹介します。広告最適化の鍵を握るA/Bテストの魅力を知り、ぜひ実践してみてください。

広告最適化に欠かせないA/Bテストとは?

まずは、A/Bテストがどのようなものか解説します。

異なる2つのパターンを検証する手法のこと

A/Bテストは、2つのバリエーション(AとB)を比較し、どの要素がより効果的な結果をもたらすかを評価するための実験的な手法です。バナーや広告文、Webサイトなどの広告効果を最大化するために、A/Bテストは重要視されています。

例えば、Webサイトのランディングページにおいて、CTAボタン(CTA ボタンとは、購入や申し込みなど、訪問者に取ってほしい行動を促すボタン)の色を変更してテストしたとしましょう。

Aバージョンでは青、Bバージョンでは緑を使用し、どちらの色が訪問者のクリック率を向上させるかを比較します。CTAボタンのほかにも、広告のキャッチコピーやランディングページのレイアウトなど、テスト箇所はさまざまです。

3つ以上のバリエーションを用意する「多変量テスト」もある

3つ以上の異なるバリエーションを同時に比較するテスト手法が「多変量テスト」です。A/Bテストが2つのバリエーションを比較するのに対し、多変量テストでは複数の要素やバリエーションが組み合わさってテストされます。

例えば、Webサイトのランディングページにおいて、複数の要素(ヘッダー、画像、テキスト、CTAボタンなど)を複数のバリエーションとしてテストすることが可能です。


20231212_02

A/Bテストを実施するメリット

ここでは、A/Bテストを実施するメリットをご紹介します。

客観的なデータに基づいた意思決定ができる

A/Bテストを行って得た結果は実際のユーザーの反応や行動に基づいているため、主観的なバイアスを排除できます。これにより意思決定で迷いが生じなくなり、より成果の得られる選択が可能となります。

短期間で実施できる

A/Bテストは2つのバリエーションを同時にテストするため、比較的短期間で結果を得られます。テストは「ボタンの色だけ」「キャッチコピーだけ」といったように一部分しか変更要素がないため、テスト実施に工数もかかりません。

コストがかからない

A/Bテストは工数が少ないことと、コストがかからない点がメリットです。例えば、サイトのリニューアルとなったら大幅にコストがかかりますが、A/Bテストは画像やテキストといった一部分だけ変更して広告効果を上げます。そのため費用対効果が高い手法です。


20231212_03

広告最適化へ|A/Bテストの基本的な進め方

A/Bテストのメリットを知り、さっそく実践したいと思った方も多いでしょう。ここでは、A/Bテストの基本的な進め方を8つのSTEPに分けてご紹介します。

1. 目的の設定

A/Bテストを行う際は明確な目的を設定しましょう。例えば、Webサイトのコンバージョン率を向上させる、広告クリック率を増加させる、特定のアクションを促進するなどの目標を設定します。目的を具体的かつ明確にすることで、テストの成功基準を設定できます。

複数の課題や目標がある場合は、改善インパクトの大きい箇所から最初に改善すれば、短期間で大きな効果を得られるでしょう。

2. 仮説を立てる

目的と改善点に基づいて、仮説を立案します。仮説は変更を行った場合にどのような結果が期待されるかを予想しましょう。例えば「CTAボタンの色を変更するとクリック率が増加する」といった仮説を立てることが可能です。
仮説を立てる際は既存のデータを活用し、改善点に関する詳細な情報を得ましょう。

3. 影響範囲を予測する

A/Bテストを実施する前には、影響範囲を予測することが大事です。A/Bテストでは特定のページやセクションだけでなく、ほかの要素やプロセスにも影響を与える可能性があるため、影響範囲を広くみておきましょう。
悪い影響が出てもすぐに対策できるように、あらゆる結果を想定することが重要です。

4. テスト対象となる要素の選定

仮説や影響範囲の予測に基づき、どの部分をテスト対象にするかを決めます。例えば、Webサイトのレイアウト、画像、コピーライティングなどが挙げられます。

5. バリエーションの作成

テスト対象が決まったら、2つの異なるバリエーションを作成しましょう。以下はCTAボタンのデザインを変更してクリック率の向上を目指す例です。

・Aパターン:CTAボタンの色を青にし、テキストを「詳細を見る」にする
・Bパターン:CTAボタンの色をオレンジにし、テキストを「今すぐ購入」にする

6. テストの実施

1~5の準備を経て、いよいよテストを実施します。テストを実施する際には、正確なデータ計測環境を整えましょう。ウェブ解析ツールやトラッキングコードなどを設定し、データを収集します。
また、A/Bテストを効果的に実施するために、専用のA/Bテストツールを活用するのもおすすめです。ツールを活用することでデータの収集や管理が効率化できます。

7. 集めたデータの評価/結果の採用

テスト期間が終了したら、収集したデータを詳細に評価し分析しましょう。各バリエーションの効果や改善度を比較し、どのバリエーションが優れた結果を示したかを判断します。

8. 継続的な改善

A/Bテストは一度実施して終わりではなく、継続的に改善・検証することが大切です。PDCAサイクルを回し続けることで、ユーザーエクスペリエンス向上やビジネス成果の最大化が実現されます。


20231212_04

よくあるA/Bテストの対象となる箇所

A/Bテストでどの部分をテストしたら良いかわからない方も多いでしょう。ここでは、よくあるA/Bテストの対象となる箇所をご紹介します。

ファーストビュー

ファーストビューとは、Webページでユーザーが最初に目にする画面やコンテンツのことを指します。Webページを閲覧してもらうためには、ファーストビューでいかにユーザーの関心を惹きつけられるかが重要です。

ヘッダーやナビゲーションバーのデザイン・配置、メインビジュアルのデザイン、画像などをテスト対象にして、ユーザーにインパクトを与えられるものが何か検証してみましょう。

お問い合わせフォーム

Webサイトやアプリに設置する問い合わせフォームは、ユーザーとのコミュニケーションを促進する重要な部分です。フォーム画面は動的な要素でテストを行うには難しさもありますが、コンバージョン率に大きく影響する部分であるためテストの価値は大いにあるでしょう。

例えば、申し込みフォームの入力項目が多かったり、手順が煩雑だったりする場合は見直してみてください。特に、「アクセス数はあるもののコンバージョン率が上がらない」といった場合はお問い合わせフォームが原因の可能性があります。

CTAボタン

CTAボタンのテキストを変更して、より具体的で魅力的な呼びかけにすることでユーザーの興味を引きつけ、アクションへと導く効果を検証します。

ほかにも、デザインや色、配置、サイズなど変更できる箇所はさまざまです。CTAボタンはユーザーの行動を導く鍵となる要素であり、その改善によってコンバージョン率やユーザーエクスペリエンスが向上する可能性があります。

キャッチコピー・見出し

キャッチコピーや見出しはコンテンツの最初に表示され、ユーザーの注意を引く重要な要素です。魅力的なキャッチコピーや見出しを使用することで、読者の関心を向上させられます。
一方で、キャッチコピーや見出しで読者の興味を惹きつけられないと、スクロールしてコンテンツを飛ばされたり、ページから離脱されたりする可能性があります。

外部リンク

外部リンクはユーザーをWebサイトの外部へ誘導するための手段です。リンク先やリンクの配置によって、ユーザーを目的の場所へ誘導できます。

一方で、不必要な外部リンクはユーザーを誘導したい場所へ誘導できなくなる恐れがあります。必要ないと判断されるリンクは削除するか、別のページに移動させることを検討することをおすすめします。

まとめ

A/Bテストは異なるバージョン(AとB)を比較して効果を評価し、どちらが優れているかをデータに基づいて判断する手法です。

A/Bテストを通じて最適な設計やカスタマイズができると、クリック率やコンバージョン率の向上につながります。テストは短期間ででき、コストもかからないため、広告効果を高めるためにもぜひ実践してみてください。

関連コラム

マーケティングコラム
効果的なデータ分析・データ活用をする上で大切なことを解説
インターネット通販の広がりや本格的なIoT時代を迎え、企業には大量のデータが入ってくるようになりました。しかし、こうした貴重なデータをマーケティングや課題解決に活用するのはまだまだこれからという企業も多いようです。データという宝の山をどう発掘し有効活用していくのか、データ分析の能力とノウハウが企業の成功に直結します。今回は、データ分析を行う前に把握しておくこと、データを活用する上で大切なことについて解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
デジタル施策(Webサイト/広告)の効果測定のコツは?押さえておくべきポイントを解説!
デジタルマーケティングとは、検索エンジンやWebサイト、SNS、メールなど、あらゆるデジタルテクノロジーを活用して行うマーケティング活動のことです。インターネット上のあらゆるプラットフォームでは様々な形態でデジタルマーケティング施策が行われます。本記事では、これらデジタル施策におけるデジタル効果測定のコツと押さえておくべきポイントについて解説します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
UGCが気になる方必見!特徴やメリット、活用例をご紹介
「競争激化により広告の成果が思わしくない」と悩む方は、今回ご紹介するUGCを活用してみてはいかがでしょうか。UGCとは、口コミやレビュー、SNSへの投稿といったユーザー生成型のコンテンツです。押しの強い広告を敬遠するユーザーに対して、UGCを使うことで企業の信頼性を高められます。今回は、UGCの特徴やメリット、活用事例を解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
デジタルマーケティングを学ぶのにおすすめな書籍を紹介
デジタルマーケティングを学ぶには、まず専門書や解説本を購入することをおすすめします。最近では複雑なデジタルマーケティングを平易な表現や図を用いて分かりやすく解説する書籍が多いため、初心者の方でも簡単に知識や技術を習得できます。今回は、デジタルマーケティングを学ぶ上で最低限知っておきたい用語と、おすすめの書籍をご紹介します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
デジタルマーケティングを学ぶのにおすすめな記事まとめ
前回のコラムでは、デジタルマーケティングを学ぶために適切な書籍をご紹介しましたが、関連書籍の種類が多いこともあり選ぶのが難しいのも事実です。そこで今回は、本以外から学べる方法をご紹介します。前回のコラムと併せて読むことでデジタルマーケティングの学び方が分かります。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
Webマーケティングとは?おさえておきたい基礎知識と手法
サービス業を中心にWebサイトに加えてInstagramやLine公式などSNSを販促に活用しようとする企業が増えています。経験のないまま、Web担当に指名され、何から始めていいかわからないという方も多いでしょう。今回は、Webマーケティング初心者のために、Webマーケティングの基礎知識やスキル、成果を出すための手法やお役立ちサイトなどをご紹介します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
インストリーム広告とは?種類や仕組み、成果を上げる秘訣を解説
動画広告の市場は拡大し続けており、2024年には4957億円に達すると見込まれています。それに伴い動画プラットフォームが増えたことで、動画広告の種類も多彩になってきています。この記事では、動画広告のひとつである「インストリーム広告」の種類や、課金方法、出稿手順などについて解説していきます。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
SEMとは?SEOとリスティングの違いや選び方を解説
Webサイトの運営やマーケティングに携わっていると、「SEM」や「SEO」という言葉を耳にする機会があります。なんとなく耳にしたことがあっても、深い内容まではよくわからないという方も多いのではないでしょうか。SEMとSEOは検索エンジンに関わるマーケティングの概念という点では同じですが、それぞれの位置付け・役割を正しく理解することで、より効果の出るマーケティング施策を実行できるようになります。今回は、SEMについて詳細を知りたい方や、これからSEMを始めることを検討している方に向けて、SEMの概
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
デジタルマーケティングに必要な統計データ活用術を解説!
デジタルマーケティングは現代のビジネスにとって不可欠な戦略のひとつです。しかしデジタルマーケティングの世界は常に変化しており、正しい情報に基づいたマーケティング戦略の構築が求められます。そのためには、統計データを正確に理解して活用することが重要です。本記事ではさまざまなデジタルマーケティングに関する統計データの活用法について紹介します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
ご相談・お見積もり依頼
【法人・個人様】
フリーダイヤルでのお問い合わせ
0120-198-022
※ モニター様からのお電話でのお問い合わせは受け付けておりません。
資料ダウンロード