デジタルマーケティングコラム

TwitterがXになって何が変わる?変化のポイントと展望

Facebook X
株式会社クロス・マーケティング
カスタマーソリューション本部 デジタルソリューション部 デジタルソリューショングループ
マネージャー
2022年10月、テスラのCEOであるイーロン・マスク氏により、SNSアプリの代表格であるTwitter社が買収されました。それにともない、アプリの大幅な仕様変更や名称の変更など世間を驚かせる革新を遂げ、2023年現在もその勢いは止まりません。マーケティングの分野においても活用されるアプリですが、度重なる変更についていくのに苦労されている担当者の方もいるのではないでしょうか。本記事ではTwitterの名称や変更された仕様、そして今後起こり得る可能性を解説します。マーケティングでSNSを活用されている方は参考にしてみてください。

松本 啓民


「Twitter」から「X」へ

2023年7月24日、長年親しまれてきたSNS「Twitter」の名称が「X」に変更されました。イーロン・マスク氏の公式Twitterアカウントにて名称変更が発表され、世界中のTwitterユーザーが動揺に包まれたのは記憶に新しいのではないかと思います。

新名称の由来は多く語られていませんが、マスク氏は「X.com」や「SpeceX」など、自身の事業にXの文字を用いることが多いため、今回の名称変更でも「X」にしたのではないかと推測できます。

2006年のサービス開始から約17年もの間「Twitter」という名称であったため、昨今では一般名詞のように広く浸透し使われるようになりました。そのため、旧Twitterが「X」として浸透するにはまだまだ時間がかかるものと思われます。


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「Twitter」から「X」になって変わったこと

「Twitter」から「X」になって何が変わったのでしょうか。ここでは名称の変更にともなって大きく変わった3つのことを解説します。

青い鳥が白黒のXのロゴに変わった

まずはブランドのビジュアルアイデンティティの変更です。
ビジュアルアイデンティティとは、ブランドのコンセプトや価値を可視化したもので、ロゴマークやブランドが使用する色などがこれに該当します。

これまでのTwitterでは白地に青い鳥がロゴマークとして使用されていたため、「Twitter」という言葉を聞いたときにこのロゴマークを連想する方が多いと思います。しかし、今回の名称変更にともない、黒地に白文字のXをかたどったロゴマークに変更されました。またロゴの変更にあわせて、メインカラーの色も青から黒に変更されました。

投稿が「ツイート」ではなくなった

ビジュアルにとどまらず、Twitterを彷彿させる用語の変更も行われました。
2023年現在、「ツイートする」は「ポストする(投稿する)」へ、「リツイート」は「リポスト(再投稿)」へ、「引用ツイート」は「引用」などに変更されています。

またマスク氏の投稿に、引き続き用語が変更されるような内容があるため、さらなる用語のアップデートが行われる可能性もあります。

公式アカウントの名称も変わっている

公式アカウントの名称にも動きがありました。運営公式は「@Twitter」から「@X」に変更されています。

あわせて運営公式に関連するアカウントの名称も変更され、サポートアカウントの「@TwitterSupport」は「@Support」へ、安全性を公表するアカウントは「@TwitterSafety」から「@Safety」となりました。


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【Xへの名称変更前】旧Twitterに起こった変化

イーロン・マスク氏が現地時間の2022年10月27日に旧Twitter社を買収して以降、名称変更をはじめ、さまざまな変化が急激に起こっています。この要因のひとつとして旧Twitter社の非上場化が挙げられます。

上場企業は広く資金を募れるものの、株主の意向を無視できなくなるため、経営者が動きたいタイミングで改革を図るのは難しくなります。その点、非上場企業は経営者の意向をすぐに反映することが可能です。

旧Twitter社は非上場企業となったことで、買収したマスク氏の意向が迅速に反映されやすくなり、短期間でここまでの変化を遂げることができたのです。

ここではアプリ利用に大きな影響を与えたポイントを4つご紹介します。

アカウントなしで閲覧できないようになった

従来のTwitterでは、アカウントを持っていなくても投稿を閲覧できる仕様でした。投稿内容の表示も新しい投稿順で見られるため、Twitterユーザー以外の方でも気軽に情報を得ることができました。

しかし2023年6月あたりから、Xの投稿を閲覧するには原則ログインが必要となりました。アカウントを持っていない、またはログインをしていなくても一部の投稿は閲覧することができますが、表示回数の多い順での表示に仕様が変更されているため、以前のように新しい順に表示されることはなくなりました。

もともとTwitterアカウントを所有しているユーザーにとってはこの仕様変更による影響はそこまでありませんでした。しかし、アカウントを所有せずに閲覧のみしていたユーザーや、アカウントを所有しているものの、ログインをせず使っていたユーザーからすると使いにくいと感じる変更であったと推測できます。

旧TwitterBlueの導入開始

旧TwitterBlueは現在X Premiumと呼ばれている旧Twitter社初の有料サブスクリプションのことで、日本では2023年1月から導入されました。

加入することで一般的に「認証マーク」と呼ばれる青いチェックマークが付与されるだけでなく、より効果的かつ快適にアプリを使用するためにさまざまな機能が利用できるようになります。

X Premiumへの加入で開放される機能は、次の通りです。

・投稿した内容を送信後1時間編集できる機能
・投稿の取消し機能
・タイムラインに表示される広告の半減機能
・投稿の上位表示機能
・最大25,000文字の長いテキストの投稿機能
・太字と斜体の装飾機能
・お気に入りの投稿のハイライト機能
・最大3時間8GBまでの動画のアップロード機能
・コミュニティの作成機能
・X Pro(表示レイアウトのカスタマイズなどができる機能)の利用権利など

このなかには以前まで無料で使うことができたXPro(旧TweetDeck)の使用権利も含まれているため、実質旧TweetDeckの有料化も同時に起こっています。

閲覧やAPIアクセスなどの制限があった

閲覧制限やAPIアクセス制限など、一時的な制限が行われることが増えました。制限の実行理由は膨大なリクエストの管理、システムへの負荷軽減、不正プログラムの防止などとされています。

突如として閲覧制限が行われたこともあったため、日本のユーザーからは批判の声もありました。この度々行われる制限の実施は個人アカウントへの影響だけでなく企業アカウントのフォロワー減少や広告効果の減少などにもつながると懸念されています。

クリエイター広告収益分配プログラムが始まった

Xのさまざまな変更でデメリットを強く感じた方もいるかもしれませんが、なかにはメリットになり得るような変更もありました。その代表的なものがクリエイター広告収益分配プログラムです。

これは社名変更と同時期に導入されたリプライ欄の広告収入の一部をユーザーに還元するプログラムで、日本では改名後の2023年8月8日より開始されました。この仕組みによって、一部のユーザーはXから報酬を得られるようになりました。

なお、広告収益分配プログラムはだれでも利用できるものではなく、X Premiumに加入し、かつ一定の条件を満たしているユーザーが対象になります。


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「Twitter」から「X」変更の理由と展望

旧Twitterの名称変更は、当初のコンセプトと需要にともなうアプリの現状とのズレを解消するために行われました。

社名に使われている「Tweet」という単語は「小鳥のさえずり」という意味で、旧Twitterは鳥のようにつぶやくツールというコンセプトのもと運営されていました。このコンセプトを実現するために140文字の文字制限や動画の時間制限は設けられ、旧Twitter社の想いどおり、ユーザーは思っていることや感じていることを気軽につぶやくようになりました。

しかし、ユーザーのニーズの変化により、X Premiumの加入で140文字を超える長文を投稿できたり、140秒の動画制限が120分まで拡張されたりと仕様が変化し、アプリ自体が当初のコンセプトとはかけ離れた状態になりました。

旧Twitter社が「Twitter」と名乗っている以上、当初のコンセプトを踏襲していることになり、社名から変更することでこの変化に対応しようとしたのです。
イーロン・マスク氏はこのことについて「私たちはこの鳥に別れを告げなければなりません」と語っています。

ここからは新しく生まれ変わったXの展望についてご紹介します。

さらなる課金制度で「X」にはびこる悪質アカウントに対抗か

2023年9月18日のイーロン・マスク氏とイスラエル首脳との会談にて、アプリの完全有料化でなりすましアカウントや悪質なボットアカウントに対抗できると意見を述べました。

なりすましアカウントとは、他人のふりをして投稿などを行うアカウントです。Xではフォロー数や「いいね」数を集めることを目的に、芸能人などの著名人になりすましていることが多いです。

ボットとは特定の動作を自動的に行うプログラムのことで、Xでは自動投稿や自動フォローなどに用いられます。本来ボットは悪質なものではないため、効果的に使用しているユーザーも多くいます。しかし、Xの一部ユーザーがボットを悪用する事態が発生しているため、マスク氏をはじめ、Xの管理者たちはボットを危険視しています。

Xの公式ブログによると、ボットとしてXで禁止されている行為は以下です。

・何かをトレンドにしようとするなど、自動化を悪用して公共の会話を阻み、混乱させること
・複数アカウントや重複するアカウントを作成したりして、Twitter上の会話を実態よりも大きくみせかけること
・偽のエンゲージメントを生成したり、勧誘したり、購入したりすること
・大量もしくは攻撃的な投稿、エンゲージメントやフォローの獲得に関わること
・無関係なハッシュタグを使用するなど、ハッシュタグをスパム的に利用すること(いわゆる「ハッシュタグクラミング」)

なりすましアカウントや悪質なボットアカウントは、アカウントを無料で作成できるが故に生まれてしまう可能性があるため、全ユーザー有料化や、現状のX Premiumよりも低価格なサブスクリプションの追加することによる課金ユーザーの増加などが対抗策になり得ると考えられています。

ネット上にはさまざまな憶測が書かれているため、課金制度に関してどの方向性が有力なのか定かではありませんが、これまでのXの大きな変化を考えると、料金については変更される可能性はあるため、今後の動きが注目されます。

Xが目指すは「スーパーアプリ」

イーロン・マスク氏は、以前より「スーパーアプリ」を作りたいと公言していました。そのため、Xの変化の先には、スーパーアプリの展望があるとされています。

スーパーアプリとは、チャット機能をはじめ、買い物機能やデリバリー機能など、さまざまなツールを統合した、いわゆる「なんでもアプリ」のことです。ひとつのアプリで日常生活の多くの行動を済ませることができるため、複数のアプリを起動させずに済む点がユーザー側のメリットです。

現在世界で使われているスーパーアプリとしては、チャットはもちろんのこと、買い物、オンライン診療など生活に必要な行動が一つのアプリで完結する中国SNS「WeChat」や、バイク便やデリバリーのほかチケット購入などができるインドネシア発の「Gojek」などがあります。

上記のように、中国や東南アジアは世界的に見てスーパーアプリの普及率が高いのですが、地域的な普及にとどまっているため、全世界どこでも使うことができるわけではありません。また、Xが本拠地を置くアメリカには大手IT企業が軒を連ねるものの、スーパーアプリの開発率はまだ低い状況です。

世界中にユーザーがいるXがスーパーアプリ開発をいち早く開発することで、全世界で使うことができるスーパーアプリが出現し、私達の生活がもっと便利になる未来が訪れるかもしれません。

まとめ

イーロン・マスク氏が旧TwitterのCEOに就任して以降、社名変更や大幅な仕様の変更など、さまざまな動きがありました。Xには大きな展望もあるため、急激な変化が続くことが予想されます。今後もしっかりと動向を把握し、マーケティングでXを有効活用しましょう。

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