まるで人間のように何でも質問に答えてくれる対話型AI「Chat(チャット)GPT」の出現に世界が揺れています。人工知能とは、人間のような知能を持つコンピュータシステムのことで、AIとも呼ばれます。例えば、スマートスピーカーやスマホの顔認証システムなどは人工知能の一種です。スマートスピーカーなら人間の声から話している内容を理解して、その対応まで行います。顔認証システムなら、顔から同一人物かどうかを判断するでしょう。近年は、「Chat GPT」のような人工知能がめざましく発達しています。この調子で人工知能が発達していけば、我々を取り巻く社会環境も急変するでしょう。今後の生活や雇用などについて不安に感じている人もいるのではないでしょうか。本記事では、人工知能とはなにか、人工知能の発展により世界はどのように変わっていくのかを解説します。
人工知能（AI）の現在地
まずは、人工知能の現状について見ていきましょう。人工知能は機械学習とディープラーニングの時代へ
人工知能の開発が始められたのは意外と古く1950年代です。そして、現在は第3次AIブームと呼ばれている時代で、2013年あたりから続いています。現在では、ウェブとビッグデータの発展により、大量のデータを使用できる環境です。人工知能により多くのデータを学習させられることになったことが、第3次AIブームの背景といえます。また、人工知能が機械学習やディープラーニングを行えるようになったため、より実用的になりました。
人工知能の代表的なテーマ
人工知能の代表的なテーマとしては、推論・探索やエキスパートシステムなどがあげられます。推論・探索とは、思考過程を企業で表現して実行したり、考えられる可能性を階層別に探索したりしてゴールを導き出すものです。推論・探索は人工知能の開発当初である1950年代から行われていました。当時はごく単純なものしか処理できませんでしたが、現在は複数の要因が絡み合っていることに関しても処理できることが多いです。
エキスパートシステムとは、専門分野の知識を取り込んで推論するものです。主に1980年代に開発されました。質問をすると、あらかじめ設定されたルールに沿って回答できます。ただし、特定の分野に関する質問にしか対応できません。例えば、医学分野なら病気の診断などが代表的な例です。
そして、最近の人工知能開発でメインテーマとして扱われ注目を浴びているのが、機械学習とディープラーニングです。
機械学習では、ビッグデータから知識やルールを見つけて学習します。例えば、購買データからおすすめの商品を案内するという具合です。細かいルールの設定などを人が行う必要はありません。
ディープラーニングは人の脳のニュートラルネットワークを用いたものです。人工知能が自ら必要な知識を習得します。
人工知能の活用例
現在すでに人工知能がさまざまな場面で活用されています。例えば、自動運転・屋外用監視カメラ・肺がん検出・調理ロボットなどです。屋外用監視カメラなら、不審者の行動を分析した上で、それに似た行動をする人が映った場合に検知できます。肺がん検出では、画像認識技術を用いるため、医師が目視で行う場合より時間を短縮可能です。ディープラーニングにより、検出率の向上も見込めます。
人工知能の発展と未来の変化
人工知能が今後どのように発展していくのか、それにより未来はどのように変わっていくのか見ていきましょう。人工知能は将来的にどのように発展していくか
人工知能は今後、ビッグデータの活用や脳科学に基づく人工知能技術の高度化の両面で発展していくものとの見方が強いです。そして、情報科学と脳科学の融合が予想されています。ではどのような発展が予想されるのか、分野別に例を挙げたいと思います。・医療やヘルスケアなどの分野
オーダーメイドの高度な医療サービスを提供できるようになるでしょう。
・教育分野
家庭教師ロボットの活躍が予想されています。生徒の脳活動状態などのデータを活用し、一人ひとりに合わせた内容で授業を行えるでしょう。多言語化にも対応できるようになる可能性が高いです。
・防災分野
リアルタイムの避難ルート指示や災害時の自動翻訳などが期待されています。大規模災害が発生した場合でも、被害を最小限に抑えられるでしょう。
・ビジネス分野
感情などを取り込んだマーケティングが可能になります。
・介護や福祉分野
介護職員が介護支援ロボットと協働できるようになるでしょう。負担の大きい仕事は介護ロボットが担うようになる可能性が高いです。
・農林水産分野
新品種の効率的な開発や精密農業の実現などが期待されています。
人工知能の発展によって社会はどう変わるか
人工知能が発展すれば、防犯や監視が強化されるため犯罪の減少につながる可能性が高いです。不審者がいてもすぐに発見できます。動作学習により、機械動作も飛躍的に向上するでしょう。製造業や物流業界などでは業務効率アップが期待できます。
また、情報セキュリティやシミュレーション技術の向上にも役立つでしょう。
将来に期待される人工知能の役割
社会の中で人工知能が活用されるようになれば、労働力不足を補えます。特に日本では少子高齢化が進展しており、人口減少が続いているため、このメリットは大きいでしょう。農業や介護など人手不足が深刻な分野でも効率化を図れます。食料自給率の向上や、介護サービスの質の向上にも役立つでしょう。また、機械学習で知的財産を活用することも、人工知能が期待されている役割のひとつです。
人工知能の発展により懸念される未来
人工知能の発展に伴い、次のような課題もあります。雇用への影響
雇用が減るのがひとつの懸念点です。人工知能による技術革新が進むと、一部の仕事が人工知能に代替されてしまいます。そうなると仕事を失ってしまう人も出てくるでしょう。ただし、人工知能の導入や普及に必要な仕事もあります。人工知能を活用した新しい仕事も創出されるでしょう。また、人工知能を活用するにはコストもかかります。そのため、人の仕事の大半が失われるような事態にまではならないとの見方が強いです。人工知能が発展した社会に対応するには、新しい仕事の創出も見越した人工知能の活用や雇用の補完などにより注意する必要があります。
シンギュラリティの問題
シンギュラリティとは、レイ・カーツワイルが提唱した、ICTが人の知能を超える技術的特異点のことです。2045年にシンギュラリティを迎える可能性が高いといわれており、もしそうなれば人々の生活環境が急変してしまいます。技術開発などもAIが行うようになるかもしれません。
倫理的な問題
人間社会には幸福・公平・道徳・権利・伝統などの普遍的な価値があります。しかし、人工知能が発展すると、そのような普遍的な価値が侵されるリスクも出てくるでしょう。人間が本来持っている権利が失われてしまったり、人間の持つ知能が侵されてしまったりする懸念があります。人工知能の悪用への対処も大きな課題です。人工知能が人間並みかそれ以上の知能を備えるようになっていれば、悪用への対処も難しくなるでしょう。また、人工知能の活用がすべてうまくいくとは限りません。重大なミスや事故などが発生する可能性もあります。そのため、人工知能が自ら学び判断した結果起こったことに対して、誰が責任を負うのかといった問題も生じるでしょう。
まとめ
現在は第3次AIブームの中にあり、機械学習やディープラーニングなどの面で人工知能の開発が盛んに行われています。将来的には、人工知能が自らデータを収集しルールを見つけるなどして学習できるようになるでしょう。雇用への影響が懸念されますが、人工知能の発達により新しい仕事が創出される可能性も大いにあります。防犯や生産性の向上、人手不足の解消などを期待できるでしょう。また、人工知能が人間の知能を超えるシンギュラリティが起こると予測されています。おおむね2045年以降の未来は、これまでの社会とは大きく変わったものになるかもしれません。
