デジタルマーケティングコラム

【2022年最新】DX推進の動きはどれくらい日本に浸透している?

Facebook X
2018年に経済産業省が「DXレポート」を公開してから、約4年が経過しました。その後、日本政府ではデジタル庁が発足され、経済産業省と連携しながら数々の取り組みを実行に移しています。本記事では、日本政府による主なDX推進施策を具体的にご紹介します。その取り組みによる企業への影響をよく理解した上で、計画的にDX化を進めましょう。

日本政府の主なDX推進施策まとめ

まずは、日本政府が取り組んでいる主なDX推進施策をご紹介します。日本政府の取り組みにより、主に企業に対してどのような影響を及ぼすのでしょうか。

DX認定制度の普及

DX認定制度とはDX推進に意欲的な企業を、経済産業省が「情報処理の促進に関する法律」に則って認定する制度です。企業がDX認定を目標に施策を進めることで、自社の課題が整理されるほか、社会的認知度の向上や後述するDX銘柄の応募資格の取得につながります。

認定を受けるためには、デジタル技術やデータを駆使した具体的な変革方法を明確にし、ITシステム整備に向けた方策や戦略を構築しなければなりません。その具体的な内容をまとめたものを「デジタルガバナンス・コード」と呼びます。デジタルガバナンス・コードに記載されている6種類の項目を参考にすることで、よりスムーズな申請手続きを行えます。

DX銘柄の選定

経済産業省は東京証券取引所と共同で、DX銘柄の選定を行っています。DX銘柄は東京証券取引所に上場している中で、DX推進に積極的に取り組む企業が対象です。デジタル技術やデータの活用により、実績が現れた企業モデルを浸透させ、経営者の意識改革を促すことを目的としています。

DX銘柄として選定されるには、前述したDX認定を受ける必要があります。DXは今後の企業成長力を高めるためには欠かせない要素なので、選定されることで株価の上昇が期待できるでしょう。

領収書の電子化

2022年1月に電子帳簿保存法が改正され、請求書や領収書といった書類の電子化要件が大幅に緩和されました。また、電子取引データの内容は、そのまま電子化した状態で保存する必要があります。

この改正によって、企業は経理業務のデジタル化に踏み切りやすくなりました。実際に領収書を電子化するためには、2カ月と7日以内にタイムスタンプを付与しなければなりません。従来はこの期間が3営業日しかなかったので、データ保存に切り替えやすくなったといえるでしょう。

領収書をデジタル化することで、領収書を出力し、ファイリングして管理する必要がなくなります。結果として管理コストの削減や保管スペースの有効活用につながるでしょう。また、電子データになると検索作業がはかどるのも大きなメリットです。

常駐・専任規制の緩和

常駐規制とは、サービスの安全や品質管理を目的に、事業所等で特定の技術を持つ人の常時滞在を義務付けるものです。また常時滞在までは義務化しないものの、他の事業所等で同様の業務の兼任を禁止することを専任規制といいます。

この常駐・専任規制が2021年7月に緩和されました。例えば、マンション管理業者における事業所への管理主任者や、宅地建物取引業者における事業所への宅地建物取引士の常駐義務が撤廃されています。Webカメラをはじめとするデジタル技術を使えば、人を場所や時間で拘束せずに済むからです。常駐・専任規制が参入障壁となっていたスタートアップ企業にとっては、大きな変化だといえるでしょう。

20230214_02

消費者に与える影響

DXは企業だけでなく、我々消費者にも影響を及ぼしています。既に普及しているものや今後期待される動きについて紹介します。

店舗購入からオンラインでの購入へ

総務省が2021年に発表したデータによると、個人でのインターネットショッピングの利用状況は全年代(20代・30代・40代・50代・60代以上に分類)平均で7割を超えており、社会に浸透しています。
参考:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc122400.html

また服や雑貨といった消耗品だけでなく飲食物の宅配サービスも非常に増加しており、出前サービスを提供している株式会社出前館では、加盟店舗数が2010年時点では約10,000店舗だったのに対し、2021年12月時点で加盟店100,000店舗に成長するといった動きを見せています。
参考:https://corporate.demae-can.co.jp/pr/news/demaecan/cm2_100000.html

また今後は仲介業者(Amazonや楽天等のECサイト)経由で販売するのではなく、自社サイトや各種SNS等から直接消費者と取引・購入に進む「D2C(Direct to Consumer)」という動きも広がってきています。

マイナンバーカードの導入

マイナンバーカードとは国が交付を推奨している、各個人に番号が振り分けられた本人確認書類の事を指します。
マイナンバーカードを活用する事で、いままで特定の場所でしか取得できなかった対応をオンライン上で簡単に対応が完了する事が出来ます。
例:市役所で受け取る住民票、免許センターや警察署での免許更新手続き等

こちらも総務省が発表しているデータによると、2022年12月末現在での交付状況は日本の住基人口に対し「57.1%」と約半数以上が受け取っている事になります。

シェアリングエコノミー

日本語では「共有型経済」と呼ばれており、企業ではなく一消費者が保有している遊休資産(モノ、場所、スキル等)を活用し、必要としている人に提供・共有する取り組みの事を指します。

一般社団法人シェアリングエコノミー協会が発表しているデータによると、2021年度の日本における市場規模は「2兆4,198億円」となり、2030年度には「14兆2,799億円」にまで拡大すると言われています。
参考:https://sharing-economy.jp/ja/20220118

海外企業と比較したDXの現状

ただ現状、国内企業におけるDX推進の動きは、海外企業に比べて遅れています。

一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が公表している「日米企業の DX に関する調査結果」によると、米国企業と日本企業を対象にアンケート調査を実施した結果、日本企業のほうがDX化に対する意識が低いことが明らかとなりました。「DXを行っていない・知らない・わからない」と回答した企業は、米国企業が3.6%なのに対し、日本企業は約10倍の33.4%にのぼります。
参考:https://www.jeita.or.jp/japanese/topics/2021/0112.pdf

また、スイスに拠点を置くIMD(国際経営開発研究所)による「世界のデジタル競争力ランキング」でも、日本は28位と低迷しています。1位の米国や2位の香港、3位のスウェーデンと比べ、日本企業ではDXやデジタル化に対する意識が低いといえるでしょう。
参考:https://www.imd.org/centers/world-competitiveness-center/rankings/world-digital-competitiveness/

20230214_03

まとめ

経済産業省やデジタル庁を中心に、日本政府ではDX推進に向けたさまざまな取り組みが実施されています。しかし現状はまだ、日本政府の施策が国内全体に十分に普及していません。海外企業と比べると、日本企業のDXに対する意識や理解は進んでいないといえるでしょう。

また、日本企業では、IT人材の不足や老朽化したシステムの変更しづらさといった課題を抱えています。DX化によって企業競争力を高めるには、既存のITシステムの課題や改善点を視覚化しつつ、全社的にDXの目的やビジョンを周知することが大切です。DX推進に向けて計画的な戦略を構築し、優位性を確保しましょう。


【参考URL】
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx.html
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd112430.html
https://www.brainpad.co.jp/doors/news_trend/dx_management_2021/
https://www.brainpad.co.jp/doors/news_trend/dx_cliffs_of_2025/
https://hybrid-technologies.co.jp/blog/knowhow/20220530_02
https://www.noc-net.co.jp/blog/2021/04/column_445/
https://digitalworkstylecollege.jp/news/202107dxhatsugenmatome/
https://biz.teachme.jp/blog/hpconf-meti-report/

おすすめのコラム

マーケティングコラム
IoTを導入してもらうためには適格なターゲット選定を!そのために必要な市場調査とは
私たちが人生を歩む上で便利になったと感じるものは限りなくあります。携帯電話や電子マネーなどもその1つです。モノとインターネットをつなげるIoTは様々な可能性を秘め、都市部のみならず地方の活性化にも役立つと言われています。しかし、活用すればなんでも良い結果につながるという訳ではありません。適切な市場調査をしたうえでアプローチしていくことが大切です。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
データマーケティングコラム
DX(デジタルトランスフォーメーション)の最低限知っておくべき用語まとめ
最近、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉をさまざまなメディアで聞く機会が増えています。今回は日本におけるDXの現状とデジタルトランスフォーメーション用語(以下、DX用語)について、最低限知っておきたいことをまとめました。
# データマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
人工知能(AI)とは?活用方法や機械学習・ディープラーニングとの違い
テクノロジーの伸展により、ビジネス分野に人口知能(AI)を活用するケースも増えてきました。人口縮小によって働き手が減少するなか、効率的なマーケティングや販売促進を行うため、AIの活用に注目が集まり始めています。今回は、AIの定義や仕組みのほか、マーケティング分野における活用方法を解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
DXが進むアジア、デジタルマーケティングの現状や日本との比較
新型コロナウイルスの影響により、国内でもデジタル化が大きく進展したようにも思えます。しかし、世界、特にアジアに目を向けると、DXやデジタルマーケティングの潮流に乗り遅れる日本企業の姿が垣間見えるのも事実です。今回は、アジアと日本を比較しつつ、DX化が進むアジアのデジタルマーケティングの現状を解説していきます。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
DXとデジタルマーケティングのつながりとこれまでの成り立ち
社内のデジタル改革を進めるうえで、DX(デジタルトランスフォーメーション)とデジタルマーケティングは欠かせない存在です。ただ、DXやデジタルマーケティングの施策を進めるためには、両者の位置づけやこれまでの変化を理解していないと、世の中の動きに対応した戦略を立案するのは難しいでしょう。デジタルを積極的に活用するために、まずはそれぞれの立ち位置について解説していきます。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
DX・デジタルマーケティングにおける、日本の現状と今後の課題
現在、日本企業のDXやデジタルマーケティングの取り組みはどのようになっているのでしょうか。企業としては、今後の戦略を考える上で現状を理解しておきたいものです。そこで今回は、日本におけるDXとデジタルマーケティングの現状を洗い出した後、今後の課題と対策について解説を行います。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
DXを効果的に取り入れている事例を紹介
新型コロナウイルスの影響を受け、デジタルシフトを加速させる企業が増えていますが、DXやデジタルマーケティングなどの施策において、具体的な取り組み方が分からないと悩む企業も少なくありません。それだけDXやデジタルマーケティングの施策は捉えどころがないということです。そこで具体的な施策がイメージできるよう、DXやデジタルマーケティングの成功事例をこれから2回に分けてご紹介します。今回は、まずDXを効果的に取り入れた企業の事例に関してみていきましょう。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
企業がDXに対して注目する理由とは?企業の取り組み事例もご紹介
消費行動の変化やIT技術の進化により、最近ではDXやデジタルマーケティングに注目が集まっています。多様化する消費者の価値観や行動、時代の移り変わりに対応するためには、DXやデジタルマーケティングは必須だと言えます。特にDXは、販売やマーケティングだけではなく全社的な取り組みが必要です。そのため、どのようにDXに取り組めばよいのか迷っている方も多いでしょう。そこで今回は、企業がDXに注目している理由を整理するとともに、各企業の取り組み事例を紹介します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
DXは企業にどのくらい浸透している?調査データを分析!
2018年に経済産業省から「DXレポート」が発行され、日本でも企業のDX化が進められています。新型コロナウイルスの影響でDX化が加速しているともいわれますが、実際に日本ではどの程度、進んでいるのでしょうか?今回は、調査データを基にDXの導入率や進み具合についてアメリカの実態と比較して紹介すると共に、DXで成果をあげるポイントについても解説します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
デジタルウェルビーイングが企業にもたらす影響とは?DXとの関係性も合わせて解説
デジタルウェルビーイングは、心身共に健康で満たされた状態を表す「ウェルビーイング」に「デジタル」を加えた言葉で、デジタル端末と共生しながら幸福を実現しようとする概念を指します。最近は日本でもウェルビーイング経営に注目する企業が増えており、デジタルウェルビーイングも同様に注目度が高まる可能性があります。今回は、デジタルウェルビーイングが企業にもたらす影響や活用方法について詳しく解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
IoTとは?2010年代~現在にかけてのIoTトレンドを解説
最近では自宅にスマートスピーカーやセンサー付きの家電を取り入れる人が多くなりました。また、街中でスマートウォッチを着用している人を見かけることも増えてきており、「IoT」は珍しい存在ではなくなりつつあります。これから2回に分けて、IoTとは何かおさらいするとともに、IoTとマーケティングの関係性やビジネスの活用方法について解説します。まず今回は、IoTの言葉の意味・仕組みの解説と、2010年代~現在にかけてのIoTトレンドをご紹介します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
IoTの最新トレンドとマーケティングとの結びつきを紹介
ビジネスの現場では製造業を中心に活用されることが多い「IoT」ですが、家電や時計といった消費者向けのIoTデバイスが増えたことで、今後はマーケティングや商品開発の分野で注目される機会が増えていくことでしょう。そこで今回は、2022年最新のIoTトレンドをご紹介するとともに、IoTとマーケティングとの関係性やビジネスへの活用方法について詳しく解説します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
リスキリングとは?DX推進に欠かせないリスキリングとデジタル人材について解説!
2020年のダボス会議において、2030年までに10億人のリスキルを必要とする「リスキリング革命(Re-Skilling Revolution)」が提唱されました。その結果、時代の進化に合わせて新しい知識を習得する「リスキリング」という言葉が、日本でも注目されるようになりました。本記事ではリスキリングの意味や注目を集める理由、企業が取り組む具体的な実践方法について詳しく解説します。デジタル人材の育成に欠かせない考え方となっているため、経営者やマネジメント層の方は、ぜひ参考にしてみてください。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
DXとは?今後課題となる「2025年問題の崖」を解説
DX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉を頻繁に目にするようになってから数年が経ち、日常業務の中でもよく聞かれるようになりました。一方、日本商工会議所のアンケート調査によると、日本の中小企業のうち、DXに対して「理解している」「ある程度理解している」と回答した企業は約37%にとどまっており、より理解の促進が必要な状況といえます。そこで、この記事ではあらためてDX(デジタル・トランスフォーメーション)とは何かをご説明いたします。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
ご相談・お見積もり依頼
【法人・個人様】
フリーダイヤルでのお問い合わせ
0120-198-022
※ モニター様からのお電話でのお問い合わせは受け付けておりません。
資料ダウンロード