デジタルマーケティングコラム
YouTube ショート(YouTube Shorts)とは?メリットや効果的な運用のポイントを解説
公開日:
WEBライティング~メディアの制作ディレクション業務・SNS運用・YouTube ch運営/広告運用などで活動しているWEB系フリーランス。
SEO,YouTube,Twitter,Instagram,TikTokの集客媒体全般で集客・コンテンツ制作経験あり。読者・視聴者の潜在ニーズを拾い上げ「見たくなるコンテンツ制作」を意識しています。運営したYouTube漫画 chでは売上20倍に貢献。記事制作に携わったメディアは30サイト以上。現在は、SEOのコンテンツ制作をメインの業務としています。
YouTube ショート(YouTube Shorts)は、YouTubeが取り入れた新サービスで縦型の短い動画をユーザーに届けられる機能です。近年では、こうしたショート動画を使って、自社サービスの認知を広げるマーケティング手法が広まり、YouTube ショートを活用している企業チャンネルが増えています。本記事では、YouTube ショートの特徴やメリットについて解説するとともに、効果的な運用のポイントや企業がYouTube ショートを取り入れた事例も紹介します。
武田 竜輔
YouTube ショート(YouTube Shorts)とは
YouTube ショートとは、最大60秒までの縦型動画を投稿できるYouTubeの機能です。視聴する場合はスマートフォンのYouTubeアプリやパソコンのウェブブラウザを使い、画面全体に縦型の動画が表示され、下や上にスワイプすると他の動画を視聴できるという仕組みになっています。投稿する場合はアプリ内の「YouTube ショートカメラ」から、撮影~投稿まですべて完了させることができます。
YouTube ショート は、YouTubeのようにユーザーが見たい動画を選ぶのではなく、どんどん流れてくるコンテンツを自然とユーザーに見てもらうという形式であることから、不特定多数のユーザーにコンテンツを届けやすいという特徴があります。
また、一般的なYouTube動画が一定条件を満たせば収益化できるのとは違い、YouTube ショート単体では収益化できませんが、幅広いユーザーへのリーチを狙いたいときにピッタリです。
TikTokとの違い
YouTube ショートとTikTokの違いはユーザー数に違いがあります。以下をご覧ください。TikTokは15秒~最大3分までの動画を投稿できるのに対し、YouTube ショートでは、最大60秒までとなっています。
TikTokはアプリを立ち上げたと同時に動画が表示されるという仕様で、ユーザー導線としては動画の投稿者をフォローしたり、その投稿者の他のSNSアカウント (YouTubeやInstagram)に遷移したりすることで、ユーザーのファン化を促すことができます。
参照:
TikTok コミュニティ「10億人の皆様に、ありがとうございます!!!」
https://newsroom.tiktok.com/ja-jp/1-billion-people-on-tiktok-thank-you
儲け学「TikTok の統計データ(2022年)」
https://moukegaku.com/tiktok-stats/
Instagram Reelsとの違い
YouTube ショートとInstagram Reels(リール)も、ユーザー数に違いがあります。以下をご覧ください。Instagram Reels(リール)とは、Instagram上で公開できるショート動画です。ユーザーが動画にたどり着くまでには、フォローしている人の投稿を見るほか、「ホーム」フィードや「発見」タブからコンテンツを探すこともできるため、フォロワー以外にも投稿を見てもらいやすい導線となっています。
Instagram Reelsは、Instagram内のアルゴリズムでユーザーの興味関心が高い投稿が自動的に選択・表示されるという仕様です。例えば、犬のコンテンツを頻繁に見ているユーザーの「ホーム」フィードには、他の犬に関するコンテンツが表示されやすい傾向があります。
参照:
Meta「Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破」
https://about.fb.com/ja/news/2019/06/japan_maaupdate-2/
総務省情報通信政策研究所「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000765135.pdf
YouTube ショート(YouTube Shorts)のメリット
YouTube ショートは、別のSNSと使い分けながら利用することで以下のようなメリットがあります。不特定多数のユーザーに届く
YouTube ショートは、不特定多数かつ自社のサービスに興味を持つ可能性が高いユーザーにコンテンツを届けることができます。YouTubeのアルゴリズムは、ユーザーが登録しているチャンネルや今まで見た動画に関連するコンテンツが表示される仕様となっています。そのため、YouTube ショートを活用すれば、チャンネル登録者数や再生回数に関わらず、自社で提供するコンテンツに近い投稿しているチャンネルや動画を見たユーザーにリーチさせやすくなります。
YouTube ショートは、以下の流れによってユーザーに届きます。
1. コンテンツが投稿される
2. ユーザーがYouTubeの「ホーム」の「おすすめ」に表示されたコンテンツを見る
or 「Shorts」タブからコンテンツを見る
or 検索によって表示されたコンテンツを見る
3. ユーザーがコンテンツを上または下にスワイプする
4. 投稿した自社コンテンツが表示され、ユーザーに視聴される
YouTube ショートを見たユーザーが自然とスワイプすることで、自社コンテンツも視聴してもらえるという仕組みです。
広告配信が可能になる
今後はYouTube ショートでの広告配信が可能になります。2022年5月24日に開催された「Google Marketing Live 2022」にて、YouTube ショートの広告配信をローンチされることが発表されました。このことにより、商品フィードが表示され、商品をキャンペーンと結びつけるなど、ユーザーにとってより買い物がしやすい動画広告を出せるようになります。また、広告ボタンをクリックするとブラウザに切り替わらず、YouTubeアプリ内で商品が表示されるため、よりユーザーのCVRを高めることにつながります。
参照:
Google 広告「一緒にマーケティングの未来を築く」
https://blog.google/products/ads-commerce/resilience-results-reinvention-google-marketing-live/
投稿が簡単
YouTube ショートは、長尺動画と比べて手軽に動画の投稿ができます。方法は、YouTubeアプリを開いて+ボタンを選択し、そのままYouTubeアプリからカメラで動画を撮影して投稿するだけで、別アプリで作成した動画を使うこともできます。
スマートフォンとアプリさえあればすぐに始められるので、動画撮影に慣れていない場合でも簡単に投稿可能です。
動画制作コストが低い
YouTube ショートは動画制作コストが低く、安価で運用できることもメリットです。以下は、フリーランスや中小企業へ発注した際のおおまかな相場感です。長尺の動画であれば、三脚やマイク、専用カメラ、照明などの機材が必要になるケースもあり、編集だけでも3日~1週間ほどかかる場合がある一方、YouTube ショートなら金銭的コストだけでなく、時間的コストも抑えることができます。
参照:
Growth Seed by FullSpeed「YouTubeショートの投稿方法と活用事例とは?企業YouTubeチャンネルにおすすめ!」
https://growthseed.jp/experts/sns/youtube-shorts/#i
TikTokにも同じ動画を投稿できる
YouTube ショートで投稿した動画は、TikTokなど他のSNSにも投稿できます。投稿動画の尺が15秒~と同じであることから、一度動画を作成すればそのままTikTokにもアップできるだけでなく、Instagramのリールにも投稿することが可能です。
一度作成したコンテンツを他のSNSでも活用できるため、コスパ良くターゲット層にリーチさせられます。
YouTube ショート(YouTube Shorts)を効果的に運用するポイント
YouTube ショートを効果的に運用するポイントは以下の3つです。・目的の設定
・ターゲットの設定
・YouTubeアナリティクスで分析を行う
目的の設定
自社がどういう目的でYouTube ショートを運用するのかを明確にしておきましょう。YouTube ショートの運用目的が定まっていないと、投稿するコンテンツやチャンネルの方向性がバラバラになり、効果が出にくくなります。YouTube ショートが企業で活用される際の主な目的は以下の通りです。
・企業ブランディング
・自社商材の認知やリード獲得
・YouTube広告収入
・人材採用
など
目的をなるべく具体的にしてから、YouTube ショートを運用していきましょう。
ターゲットの設定
目的が定まったら、届けたいターゲット像を設定します。目的に応じたターゲット像が明確になるほど、自社のサービスに対して効果的な動画を投稿できる可能性が上がります。ターゲット設定をしていないまま投稿を進めた場合、視聴回数は増加しても、自社サービスの購入や見込み顧客の獲得といった本来の目的につながらないこともあります。そのため、ターゲットはなるべく人物をイメージできるまで細かく作り上げておきましょう。
ターゲットを設定する際に考えるべき項目は以下の通りです。
・性別や年齢、身長、体重などの基本情報
・年収や勤め先などの経歴情報
・趣味、休日の過ごし方などプライベート情報
自社のサービスをどんな人に届けたいのかを考え、特徴を挙げていきましょう。
YouTubeアナリティクスで分析を行う
YouTube ショート運用時は、YouTubeアナリティクスで分析を行い、常に改善していくのも重要です。YouTubeアナリティクスでは、視聴者の情報(年齢・性別、情報視聴維持率やクリック率、流入経路等)を把握できます。この情報をもとに、動画の視聴者が想定したターゲットと合っているか、効果的に運用できているのかを分析しましょう。
クロス・マーケティングではデジタル広告において、出稿予算内で最も効果の高いターゲットセグメントをシミュレーションできるツール「Dipper」を提供しています。
クロス・マーケティングが保有する最大650万人2,000種類のユーザー属性からシミュレーションし、貴社が狙いたいターゲット像を明確にすることで、最適なメディアをプランニングいたします。まずは無料の資料請求からお気軽にお問い合わせください。
参照:
YouTubeヘルプ「YouTube アナリティクスのヒント」
https://support.google.com/youtube/answer/11912632
YouTube ショート(YouTube Shorts)の投稿方法
ここからは、YouTubeチャンネルのアクセス解析や動画管理ができる「YouTube Studio」を使ったYouTube ショートの投稿方法について解説します。大まかな流れとしては以下の通りです。
1. 「YouTube Studio」にログイン
2. 右上の [作成] ボタンを押すと出てくる [動画をアップロード] をクリック
3. 60秒以内の縦長動画を選択
4. ショート動画のタイトルか説明に「#Shorts」を含める
投稿はYouTubeアプリからでも可能なので、使いやすい方法でコンテンツを投稿しましょう。
企業のYouTube ショート(YouTube Shorts)活用事例
最後に、企業のYouTube ショートの活用事例について紹介します。マイナビ転職
就職・転職・進学情報の提供や、人材派遣・人材紹介などのサービスを手がける「株式会社マイナビ」が運営する「マイナビ転職」では、YouTubeチャンネルで面談の対策方法や職務経歴書の書き方、キャリア相談などの動画コンテンツを投稿している一方、YouTube ショートで「転職あるある」や「面接NGあるある」などのコンテンツを投稿し、60万~140万再生を獲得しています。「あるある動画」は幅広い層に共感を呼びやすく、ユーザーの目に止まりやすいコンテンツです。YouTube ショート以外に、TikTokやInstagramで投稿しても一定数のリーチを獲得できるでしょう。
参照:
株式会社マイナビ「マイナビ転職【公式】」
https://www.youtube.com/channel/UCTQQPTLNsfCm88qRa-bh0Aw/videos
明治
チョコレートやキャラメルなどの商品を製造している日本の大手食品会社「明治」のYouTubeチャンネルは7万人以上の登録者がおり、これまで放送したCMや料理のレシピなどが公開されています。YouTube ショートでは、プロテインのレシピ動画や手作りチョコレートの作り方などを投稿し、10万回以上の再生数を獲得しています。同社のショート動画は、料理に必要な材料がテキストで表示され、実際に調理する様子が60秒以内でまとめられています。ユーザーがすぐに実践しやすい適切な情報量となっているため、Instagramで転用した場合にも保存されやすい投稿になるでしょう。
参照:
株式会社明治「株式会社明治」
https://www.youtube.com/user/meijiokashi/videos
まとめ
YouTube ショートは、動画作成に慣れていない初心者でも簡単に取り組むことができ、多くのユーザーにリーチさせることも可能です。そのためには、どんな目的でYouTube ショートを活用するのかを明確にし、どんなターゲット層に届けたいのか、入念にプランニングすることが重要です。ポイントをおさえて運用すれば、自社の商材認知やブランディング、広報などが効果的に進められるので、下準備をしっかり行った上で始めましょう。