デジタルマーケティングコラム

消費財の小売店がEC参入に向けて押さえておきたいポイント

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新型コロナウイルスが猛威を振るい、その収束が見通せない中、小売店も変化を余儀なくされています。巣ごもり需要によって外食産業やアパレル業界が不振にあえぐ一方で、ECの市場規模は順調に拡大。もはや小売店のEC化は避けられない事態となっています。今回は、経済産業省や総務省のデータをもとにEC市場の現状を検証。そのうえで、消費財の小売店がEC参入に向けて押さえておきたいポイントを解説します。

加速するEC参入

小売店によるEC事業への参入数は、「EC化率」という指標から見てとれます。EC化率とは、特定産業におけるECサイトの利用割合です。簡単に言えば、「その産業でどのくらいECサイトが利用されているか」を表します。

経済産業省の「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、BtoC分野における消費財のEC市場規模は、2019年に10兆515億円、2020年には12兆2,333億円になっています。うち、2019年のEC化率は6.76%でしたが、2020年には8.08%へ拡大しました。
参考:https://www.meti.go.jp/press/2021/07/20210730010/20210730010.html

消費財のEC化率は、2010年から1年ごとに約0.4~0.5ポイントの割合で増え続けています。その点、2019年から2020年への伸び幅はプラス1.32ポイントで過去最高。新型コロナウイルスの影響によって自宅にいる機会が増えたことが大きく影響しました。
参考:https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003-1.pdf

なお、総務省の「新型コロナウイルス感染症で変わるネットショッピング 家計消費状況調査の結果から」によれば、2人以上の世帯でネットショッピングを利用する世帯の割合は2020年5月に初めて50%を超えました。
参考:http://www.stat.go.jp/info/today/162.html

つまりコロナ禍にある現在、流通と消費の両面においてEC化が加速していると言えるでしょう。消費財を扱う小売店にとっては、ぜひとも早いうちにEC事業への参入を果たしたいところです。


20210924_02

ECへの参入方法

小売店がEC事業へ参入するには、以下のような方法が活用できます。

・モール出店:楽天やAmazonなどのECモールにネットショップを構築
・ASPカート:ネットショップの決済機能や商品管理機能を備えたASPサービスを利用
・クラウドEC:ネットショップを構築するために必要な機能をクラウド上で利用できる
・ECパッケージ:本格的なネットショップに必要な機能をパッケージ化したサービス
・フルスクラッチ:既存のプログラムやソフトではなく、システムを一から構築する

従来、小売店がEC化を果たすにはモールに出店する方法が一般的でした。しかし、現在ではECモールを構築するための便利なサービスが増え、目的や予算に応じて柔軟に出店方法を選択できるようになりました。


20210924_03

成功するためのポイント

消費財の小売店がEC事業に参入する場合、あらかじめ成功するためのポイントを押さえておく必要があります。先述したとおり、コロナウイルスの影響でEC化率はますます加速し、これからは数多くの競合他社としのぎを削らなければなりません。厳しい競争を勝ち抜くために、成功のポイントを以下で解説します。

ECサイトの構築方法を明確にする

消費財のEC市場規模は生産財よりもはるかに大きく、それだけに数多くの競合他社が存在します。ネットショップを立ち上げたからといって必ずしも成果が上がるとは限らないため、事前にECサイトの構築方法を明確にし、他社との差別化をはからなければなりません。その際には、少なくとも以下のような点については事前にチェックしておくようにしましょう。

・ECサイトを活用する目的を明確にする
・自社商品のコンセプトやターゲットを決める
・ECサイトの規模や諸条件に合うサーバーを準備する
・長期的な観点から出店方法を決定する
・ユーザビリティを考慮した決済システムを構築する

デジタルマーケティングを活用する

ECサイトを運営するうえで欠かせないのがデジタルマーケティングです。デジタルマーケティングは、EC事業における集客や購買意欲の醸成、ブランディングを担っています。よってデジタルマーケティングをおろそかにしてしまうと、「お客さまが集まらない」「サイトへの訪問者が商品を買ってくれない」といった事態に陥ってしまいます。ECサイトに効果的なデジタルマーケティングは以下のとおりです。

・Web広告:潜在・準顕在・顕在客を広範囲から集客できる
・SEO対策:中長期的な視点で広告費をかけずに集客できる
・コンテンツマーケティング:お客さまとのつながりを強化し、購買意欲の醸成に最適
・SNS:情報の拡散性が高く、プロモーションやブランディングに効果的
・メール:お客さまが必要な情報を、必要なタイミングで配信できる

オムニチャネルを構築する

オムニチャネルでは、実店舗やオウンドメディア、SNS、カタログなどあらゆるチャネルをECサイトと統合し、売上を最大化させます。お客さまは時間や場所の制限なく商品を購入できるため、利便性が向上し、売上拡大やリピートの促進へと発展が可能です。
複数のチャネルを構築・統合するには長い時間と高額な予算が必要ですが、ハードルが高いからこそ競合他社との差別化につながり、自社の独自性や優位性が生まれます。

まとめ

新型コロナウイルスの影響により、消費財の小売店のEC参入はますます加速しています。便利になった生活をもとの状態に戻すことは難しいため、コロナが収束した後もEC化の波がおさまることはないでしょう。

すでにアメリカではEC化率が14%を超えています。現時点の日本ではまだEC化率が10%に達していないため、いまが小売店のEC参入を決めるチャンスです。ぜひ、この機会に検討してみてはいかがでしょうか。


【参考URL】
https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003-1.pdf
https://netshop.impress.co.jp/node/7812
https://www.fukoku-life.co.jp/economy/report/download/analyst_VOL291.pdf
https://www.cloudtimes.jp/dynamics365/blog/ec-effect-for-retail-business.html
https://www.ebisumart.com/blog/ec-rate/
https://diamond-rm.net/ec-epayment/77500/
https://products.sint.co.jp/siws/blog/create-online-store
https://www.makeshop.jp/main/know-how/opening/opening-hope.html

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