データマーケティングコラム
データマイニングの目的とおすすめな分析手法
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年々ITが発展し、文字や映像、音声など膨大なデータが企業に集まっています。その膨大なデータから有益な情報を発掘する技術がデータマイニングです。まだ知られていないパターンや法則性など役立つ情報を得るため、様々な分析手法によるデータマイニングが行われています。
データマイニングの目的とメリット
データマイニングの目的は、データを分類することで未来を予測し、それに対応することです。無関係に見えるデータどうしの関係性を発見しセグメントに分類することで、商品の売れる組み合わせや条件といった相関関係を明確にし、業務の改善に生かします。たとえば、顧客の属性や購買履歴から嗜好性を把握し、ターゲットを絞り込んだり、対象となる商品やサービスに興味がないと思われる顧客を除外したりすることができます。個々人の好みに合った商品やサービスを提案することができ、優良顧客には特別割引などのインセンティブを与えて、満足度の向上につなげることも可能です。さらに、顧客の支持を得られそうな商品やサービスを予測し、開発・提案に生かすこともできます。
データマイニングは業務の効率化にも利用されます。製造業なら、機械の使用時間、頻度、故障箇所などのデータから部品交換や点検のタイミングを予測し、効率的にメンテナンスを行えます。
データマイニングにおすすめな分析方法
データマイニングには様々な方法があり、通常は複数の手法を合わせます。よく使われるものに、ロジスティック回帰分析、ABC分析、アソシエーション分析、クラスター分析、主成分分析などがあります。ここでは、その中でもよく使われるABC分析、アソシエーション分析、クラスター分析を取り上げます。■ABC分析
数多い指標の中から重要なものを抽出し、A・B・Cの三段階に優先度をつけて分析する手法です。売上分析によく用いられ、どのような商品が売れているのかを把握し、商品の露出を高めたり仕入管理に反映したりします。
やり方は、まず商品ごとに売上額や粗利益、販売数量などのデータを整理し、次にどの指標に着目するかを決めます。売上額に着目するなら、商品ごとに全売上額に占める割合を計算し、結果をもとに商品をAからCのランクに分けます。貢献度の高いAランクの商品は売り切れを避けるため、常に一定量の在庫を確保し、Bランクの商品は在庫がなくなった時点で発注、Cランクの商品は他に有望な商品があれば入れ替えも検討する、という具合で経営に生かします。ただしネットショップの場合は実店舗よりも在庫管理のコストが低いので、細く長く売れるCランクの商品も取り扱いを継続するという判断もあり得ます。
ABC分析を活用する際には、売上だけでなく粗利益や販売数量にも着目し、複数の視点から判断します。
■アソシエーション分析
取り扱っている商品の中から、どの商品の組み合わせが購入されているかに着目する方法です。たとえば商品Xと一緒に売れる商品Yを特定し、2つの関係性を明確化します。分析結果をもとに売れる商品と売れない商品を判別したり、ワンランク上の商品を勧めて顧客単価の向上を狙ったり、購入品の関連商品を推奨したりすることができます。
アソシエーション分析の指標は、信頼度、支持度、リフト値の3つです。信頼度とはX商品買った人のうち、Y商品も買った人が何人いるかを確率で表したものです。支持度とは、X商品を買った人がY商品も買うという事象がどれくらいの頻度で起きたかを測る指標です。リフト値とは、X商品とY商品を一緒に買った人の割合が、全体の中でY商品を買った人よりどれだけ多いかを倍率で示すものです。
■クラスター分析
データから性質に共通性のあるものを選び出し、クラスターつまり集団に分ける手法です。One to Oneマーケティングやイメージワードの分類などに用いられます。
クラスター分析を行うには、まずグループに分ける対象をサンプルなのか変数なのか決め、次に分類する方法を階層的か非階層的にするかを決めます。階層的方法とは、距離の近さによって樹形図を作成するものです。下の階層でつながるほど、真ん中に位置するものほど似ていることを示し、上の階層あるいは両サイドに分かれるものほど似ていないことを表します。この方法は変数の分析に適し、データが多い場合は不向きですが、結果が直感的に分かるのがメリットです。
非階層的方法とは、似ている対象はその類似性を、似ていない対象はその非類似性を際立たせるものです。サンプル分析に適し、データが大量でも結果が安定しているのでビッグデータはこの方法で分析します。
クラスター分析は似ているか似ていないかの結果を返すだけですから、そこから法則性を見つけ出し、どのようにビジネスに応用していくかは人が判断します。ビジネスでの活用事例は、顧客をデータによって高級品志向、流行品志向、保守的、無関心などに分類し、個々に合ったメルマガを送るなどがあります。