データマーケティングコラム

売上伸ばすECサイト!自粛期間のチャネル戦略

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新型コロナウイルス感染防止対策で、多くの実店舗が休業や営業時間短縮を強いられ、店舗経営が難しい状況が続きました。その分、物は売れず、苦境に陥っている企業や店舗が増加し、流通経済は世界的規模で深刻な事態に陥る企業も少なくありません。
そんな中で、チャネル戦略を導入してECサイトでの販売力を高め、実店舗の収益減をカバーする企業戦略が奏功しているケースが多く見られました。チャネルとは、マーケティングにおいては商品やサービスが購入者の手元に届くまでの経路や、その媒体のことです。実店舗もネットショップもチャネルです。実店舗の運営を直販方式にするか、小売業者らを間に入れた間接方式にするかという選択や、実店舗よりもECサイト販売に軸足を移そうといった流通経路の選択決定をおこなうのがチャネル戦略です。

自粛に伴いECサイトの売上が増加

新型コロナウイルスの影響で多くの企業売り上げが落ちていますが、そんな中でECは活発です。日本のビッグデータの解析を行う企業とクレジットカード会社が5月15日に発表した4月の国内業種別消費動向データによると、4月の小売全体の前年比消費指数は7.2%減なのに対し、ECは24.2%増になっています。また、今年1月後半比でみると、4月前半には外食産業が71.9%減など、各分野で軒並み落ち込んでいます。しかしECに限れば伸びています。織物・衣服・身の回り小売業は33.6%増、飲食料品小売業は56.3%増、家電を含む機械器具小売も75.4%増でした。

お店が開いていないため、国民がネットショップを利用する巣ごもり消費が目立っています。以前のように自由に外出して買い物しにくい自粛社会になっている今、チャネル戦略の一環としてECを取り入れる経営戦略は重要です。

◎Yahoo! JAPAN
「コロナ禍で消費の「EC」シフト、前年比+18.9%。総合消費の「小売」は-7.2【4月の消費指数】」
https://news.yahoo.co.jp/articles/421b51b6b5417691391b75e9598930ad4a993486(2020年5月26日)
※現在は削除されています

Amazonの売上が26%増加

米アマゾン・ドット・コムがこのほど発表した2020年1月から3月期の決算報告によると、売上高が前年同期比で26%増え、過去最高を記録しました。新型コロナウイルスの感染拡大で多くの実店舗が閉まっているために、インターネット通販の需要が一気に高まったのです。特にアマゾンの場合は、物流網やデータセンターへの投資を長らく行ってきたことが、新型コロナに対して事業を的確に進める対応能力や耐久性を強化したのに加え、顧客の支持を得るという結果につながりました。

◎日本経済新聞社
「米アマゾン売上高26%増 1~3月、新型コロナで需要増」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58688420R00C20A5I00000/(2020年5月26日)


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自粛によるEC売上増加事例

各企業がテレワークにシフトしたため、オフィスチェアなどの需要が増えました。家具販売を手掛ける京都市のFlavorはネット販売の業績が上向きで、4月は前年同月比36%増となりました。東京の家具販売店リグナも同様にEC売上が良く、3月は前年比約70%増となっています。自粛要請に伴うテレワークに関する需要だけでなく、家で過ごす時間が長くなったことが、自宅のインテリアの見直し、さらに購入につながったと同社は分析しています。

また、アパレルクラウド事業などを展開している東京の企業は、ファッション企業の2020年2月から3月の自社ECサイトの売上状況を公表しています。アパレル系ECの売上動向を見ると、2月の3週目に前年比を下回った以外は、いずれも前年同期比でプラスになっています。調査を実施した企業は、総じてECに顧客の流入が続いており、3密を回避できるECへのニーズはさらに高まると予測できます。

◎株式会社リフォーム産業新聞社(亀岡大郎取材班グループ)
「《新型コロナ》家具EC好調、5割増収も」
https://www.reform-online.jp/news/distribution/17408.php(2020年5月26日)

店頭にはないECサイトのメリットとは

総務省がまとめた2015年の「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究報告書」によると、消費者がECのメリットとしているのは、実店舗へ足を運ばなくても買い物が可能であったり、時間にとらわれずに買い物ができたりといった点です。有名店に行きたい、特定のブランドの商品を買いたいと思っても、実店舗から遠い所に住んでいる消費者にとっては、簡単に行けない距離の問題がありますが、ECはこれを解消してくれるのが大きな利点です。

まして現在、不要不急の外出は自粛を求められている中で、外出せずに商品を購入できて、しかも商品が自宅に届くECに消費が集中するのは自然な流れでしょう。販売する側にとっても、実店舗が不振の中でECは貴重な販売経路です。自粛を機に、新規顧客を取り込み、既存顧客の囲い込みを図れるので、実店舗を運営する企業がEC化も推進するのは合理的なチャネル戦略といえます。

コロナ禍以前から、この点に着目してEC化を実現した実店舗を持つ企業も多いです。たとえば、大型商業施設を展開している三井不動産は2017年にMitsui Shopping Park & Mallというファッションを扱うECサイトを立ち上げました。実店舗とネットショップを並行運営することで、実店舗に在庫がなくても連携して後日購入者に届けるといった柔軟なサービスが可能ですし、消費者にとっては、ECサイトで商品情報を得て実店舗で現物の触り心地などを確かめることができるというメリットがあります。セブン&アイホールディングスが運営している総合通販サイトのオムニ7や、無印良品のMUJI passportというアプリも、ECサイトを持つことで実店舗と連携したビジネス展開を進めています。

◎MIKATA株式会社
「新型コロナのECへの影響は?2020年2月・3月のEC市場での売り上げ推移を明らかにするレポートが公表される」
https://ecnomikata.com/ecnews/25802/(2020年5月26日)

◎株式会社エスキュービズム
「実店舗がECサイトに参入する理由~三井不動産、セブン&アイなどの事例から探る~」
https://ec-orange.jp/ec-media/?p=18542(2020年5月26日)


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ECサイト運営の苦労やデメリット

ECサイトと実店舗を連携させたビジネスには、大変な面もあります。特に、ECサイトと実店舗で在庫を共有する場合は在庫管理が重要です。在庫切れはECサイトでも実店舗でも一番困る事態で、在庫の連携システムが機能しないと顧客からの信用を失うことにもなりかねません。たとえば、実店舗は在庫切れだがECサイトには1点残っている場合で、実店舗側が顧客に在庫があるという回答をした瞬間に、ECサイト側で他の人が購入してしまうこともあります。またECサイトでは在庫切れだが実店舗には十分な在庫がある場合、その情報をリアルタイムで共有していなければ、いつまでもサイト上は在庫切れのままで、せっかくの販売機会を逸することになります。

他にも、ECは実店舗より簡単に開設できますが、ネット上で類似商品を扱うサイトすべてが競合他社になるということでもあります。自社のECを選んでもらうために、SEOを踏まえたマーケティング戦略も必要です。

チャネル戦略としてECの検討を

新型コロナウイルスとの戦いは長期戦になるというのが専門家の見方です。東証1部上場のアパレル大手が経営破綻するなど、新型コロナの影響は甚大ですから、経営陣は従来とは異なるビジネス戦略を構築する必要に迫られています。実店舗だけにこだわらず、EC化も並行して進めるのは、販売経路を拡大することになります。特に自由な外出がはばかられる現状では実店舗の不振をECが補うことが期待されます。

コロナ対策として有効というだけでなく、ビジネスを強化するチャネル戦略の一翼を担うことになり得るため、ECサイトの導入を検討してみるのも良いでしょう。

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