データマーケティングコラム
マーケティングにおけるROI(費用対効果)の具体的な算出方法とは?
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マーケティングの成果を数値で示しても、他部門の理解が得られないことは少なくありません。Webサイトへのアクセスが増加したといっても、実際の売り上げに結びつかなければ意味がありません。マーケティングの成果は収益と結び付けて示す必要がありますが、マーケティングROIはそのために用いられる指標のひとつです。
見えづらいマーケティングの成果をROIで示す
製品やサービスが売れるのは、その存在が知られていることが前提です。ブランドが持つイメージや好感度も、消費者の購買行動を大きく左右します。認知度やブランド力の向上は広告の重要な役割ですが、アップした数値を示しただけでは売上がどれだけ伸びたかはわかりません。展示会への出展やWebマーケティングでは、来場者やアクセス数の増加が目標や成果の指標として設定されることが多いです。しかし、最終的な目的は周知されることではなく、そこから収益の増加や企業がさらなる成長をしていくことにあります。ソーシャルネットワーク上で一気に拡散され話題となるバズりと呼ばれる現象も、投稿が大勢の人に閲覧されたからと言って、それが直接収益に結びつくとは限らないのが現状です。これらの見えづらいマーケティング成果も、ROIを用いることで目に見える形へとしていけます。
ROIとはReturn on investmentを略したものであり、投下資本利益率や投資回収率と訳されます。つまり、投資額に対して得た利益を数値で表したもののことです。投資に対する利益の割合で表され、数値が高いほど投資した資金に対する収益性は高くなります。
マーケティングROIの計算方法
マーケティングにおけるROIは、通常と利益の考え方に違いがあります。マーケティングROIでは売上から原価、さらに販売に必要な費用とマーケティング投資額を引いたものが利益です。人件費などの販売に必要な費用を含めないのは、マーケティング投資の有無にかかわらず商品やサービスを提供していくうえで必要となる費用なためです。【利益】=粗利(売上-原価)-販売に必要な費用-マーケティング投資額
【マーケティングROI】=利益÷マーケティング投資額×100
実際に計算をする前に、目的の利益と投資額の範囲を明確にしておく必要があります。マーケティング投資額にどこまで含めるかは業界や企業ごとに異なりますが、施策ごとの効果を比較する場合には、基準を統一しておくことが重要です。
施策の中には、オウンドメディアの運用のように効果が出るまでに時間がかかるものもありますが、マーケティングROIは効果の推移を把握するのにも役立ちます。オウンドメディアの運用に四半期で100万円かかっていた場合、粗利から販売に必要な費用を引いた金額が100万円以下ならROIはマイナスですが、100円を超えるとプラスに転じ、仮に200万円になれば100パーセントに達します。期間ごとの成長率を算出することで、今後の予想も立てやすくなるでしょう。
計算結果から分析が必須
算出されたマーケティングROIの数値は、分析すれば、施策の効果がわかります。基準とする数値を100パーセントとした場合、高ければ高いほど良く、100パーセントを切っていれば効果は低いと判断されます。広告の効果を測る指標にROASと呼ばれるものがありますが、ROIとの違いには注意が必要です。ROASとはReturn On Advertising Spendを略したもので、投下した広告費用に対しどれだけの売り上げがあったかを表す指標です。売上が上がっていても利益が出ていない場合には、ROASはプラスですがROIはマイナスとなりビジネスとしては失敗だと判断せざるを得ません。広告費の回収率は売上高を、費用対効果は利益をベースとして比較する視点を持つことが重要です。
商品や地域により数値に違いがみられる場合には、商品や地域ごとに戦略を練り直したりメリハリをつけた予算配分を行ったりすることで、マーケティング効果を高めることにつながります。利益を増やすこととコストを減らすことも、ROIを高める方法のひとつです。利益を増やすには価格を上げる、売上数を増やすことなどが考えられます。どの方法がよいのかは、提供している商品やサービスの市場状況や動向なども踏まえて判断する必要があります。
まとめ
厳しいビジネス環境の下で企業が存続し続けるためには、利益を上げることが不可欠です。マーケティングにおいてもROIという指標を用いてコストと効果を正確に把握し、次の施策につなげたり経営戦略へ生かしたりしていきましょう。関連ページ