顧客起点で歴史あるファッションブランドを再構築へ|調査データ活用~マーケティング施策立案を支援

株式会社TSI様
写真右)株式会社TSI コーポレート本部 経営企画部 TIP推進課 スクラムマスター 近藤太一様
写真左)弊社 コンサルティング部 インサイトコンサルティンググループ 髙木
クロス・マーケティングでは、調査実施に留まらず、マーケティングアクションを起こすまで伴走して支援を行っています。今回は、株式会社TSI コーポレート本部 経営企画部 TIP推進課 スクラムマスターの近藤太一様に、クロス・マーケティングとの取り組みについてお伺いしました。

お客様のご紹介

株式会社TSIロゴ
株式会社TSI
衣料品全般の企画・製造・小売・卸及び輸出入を行う。「ファッションエンターテインメントの力で、世界の共感と社会的価値を生み出す」というパーパスを掲げ、ファッションの力で社会にさまざまな価値を創出する企業へと進化を続けている。
株式会社TSI 近藤太一様
株式会社TSI
コーポレート本部 経営企画部 TIP推進課 スクラムマスター
近藤太一様

2007年 ㈱サンエー・インターナショナル入社。複数のファッションビル・百貨店ブランドにてスーパーバイザーを担当後、2019年より㈱TSIホールディングスマーケティング室 カスタマーサクセスマネージャーとして市場調査や各ブランドにおける顧客調査・分析・レポーティングから、ブランドの売上利益向上の支援を担当。2022年6月より株式会社TSI コーポレート本部 経営企画部 TIP推進課 スクラムマスターへ転籍。中期経営計画TSIイノベーションプログラム2025(TIP25)達成に向け組成された変革プロジェクトチームのマネジメントに従事。

プロジェクト概要

目標

  • PINKY&DIANNE(ピンキー&ダイアン)が戦略的に定めている新規顧客ターゲット層の獲得を促進したい
  • ブランドが提供すべき価値や体験を見直し、スタッフの共通認識を形成したい

課題

  • 既存・新規それぞれの顧客像とその特性の違いは把握できていても、そこからプランニングアクションへ具体化することが難しい
  • 新規顧客ターゲット層に共感されるブランドを目指す上で、スタッフの経験・感性などから施策を考えてしまうことが多く、論理的に戦略立案することが難しい

支援内容

  • 「インサイトの創出支援」
    今回の調査結果だけでなく、社内外の他のデータ(顧客・売上げデータ、業界動向など)と関連付けることで、社会の潮流や生活者の変化も捉えた上で顧客の価値観変化・背景などの本質を見抜く洞察力を支援
  • 「論理展開の設計支援」
    「憧れる女性像の社会的な変化」という視点から、現在とこれからの価値観を整理し、ターゲット層がブランドに求める価値・体験の共通認識がもてるようなワークショップを支援。また、具体的なアクションに繋がるような発想の転換も実施

成果・達成状況

  • 顧客が大切にしたい価値観、ブランドが提供すべき価値・体験の共通認識が浸透
    →組織内で言語化できたことで、仮説構築や意思決定する際にブレない軸を形成
  • ターゲットの価値観に沿った施策を実行し、顧客からの共感や高評価を得ることに成功
    *施策例:「シーズンコンセプトの設計」「プロモーションに活用するキーワードを設定」「他業種とのタイアップ商品の提供」など

Interview

ブランドが提供すべき価値や体験を見直し、スタッフの共通認識を形成するプロジェクトの設計

対談写真1

──今回のプロジェクトの背景を教えてください。

近藤太一様(以下、近藤様) PINKY&DIANNE(ピンキー&ダイアン)は、弊社の中でも歴史の長いブランドですが、新規顧客をなかなか獲得できないという課題がありました。この課題を解決するため、ブランドが提供すべき価値や体験を見直し、スタッフの共通認識を醸成するプロジェクトを実施しました。

──プロジェクトの方針についてもお伺いできますか?

近藤様 かつてのターゲット理解の視点は、お客様に求められている商品を把握し、施策へ反映させるものでした。しかし、それだけでは「なぜ、商品が求められているのか」を理解できていなかったのです。そのため、ターゲットの生活や価値観を把握し、「どのようなファッション・スタイルを望んでいるのか」「ブランドに感じている価値は何か」という深層心理を理解した上で施策に反映させる方針を策定しました。

図1

調査結果を分析・洞察する場を支援し、顧客志向で具体的なアクションプランの策定へ

──課題解決のために、クロス・マーケティングが行った支援について教えてください。

近藤様 一連の流れは、次の通りです。

図2
まず初めに、現状の整理・仮説構築として、これまでの経験や感覚からではなく、定量調査のデータから何が課題なのかを把握するようにしました。そして、優先的に取り組む課題の共通認識をチーム内で形成し、進むべき方向性を明確化しました。ブランドにおける現状の課題や目標、ゴールを言語化し両者の認識をすり合わせて行ったことが、プロジェクトを円滑に進める上で最も重要なポイントだったと思います。

次に、ブランドの課題解決に向けて、顧客・ターゲットを理解するために既存顧客と新規顧客それぞれを対象にインタビューを実施しました。単にインタビューでお客様の声を聞くだけでなく、ブランドに求められているものは何なのか、ブランドに感じている価値は何なのかをスタッフが議論し、解釈・考察する場を設計・提供する機会を設けました。

最後に、調査結果の活用支援の段階では、顧客視点でブランドの価値を明確にし、進むべき方向性を事業部内で共有しました。そして、調査結果をもとにKPIを設定し、5W1Hでアクションのドラフトを検討しました。

髙木 ここで大切なのは、ブランド事業部の方たちとともに、インタビュー結果の分析やブランド活動方針の議論をすることです。

図3


なぜなら、顧客のデータや発言がただ共有されるだけでは、プランニングに応用するのが難しくマーケティングアクションのプランニングに至らないためです。調査結果の気づきと気づきの間にある背景も含めた洞察や発想のプロセスを共有することで、顧客理解への認識が多くの関係者で共有され、視点のブレないプランニングが実現できるようになります。

図4

今回の事例でも、インタビューを実施することで既存顧客像と新規顧客像の違いは整理できましたが、それだけではブランドの提供価値をどのように軌道修正すればいいかについて、論理展開するところまではできていませんでした。

そこで、女性の社会進出や働き方の変化、コロナによる価値観の変化など、これまでとは別の視点で考えるきっかけが必要でした。そこで最も効果的だったのは、ディズニープリンセスから憧れられる女性像の変化をワークショップのアクティベーションとして行ったことです。ディズニープリンセスはその時代の女性像や社会的立場を反映しており、ブランド事業部の方にとっても馴染みがあるため、理解しやすかったのでしょう。

憧れられる女性像の変化を共通認識としてインプットすることで、既存顧客像と新規顧客像の違いだけでなく、今後ブランドとして提供すべき価値・体験についても根拠をもって論理的に洞察できるようになりました。この結果、より具体的なアクションの発想へとつながったと思います。

図5

──クロス・マーケティングが伴走して良かった点はありますか?

近藤様 さまざまな業種を支援しているクロス・マーケティング様に伴走していただくことで、社会の潮流や生活者の変化を含む広い視点を持ち、アパレル・ファッションを見据えられるようになりました。「お客様はこう変化してきているから、業界に関係なくこういうことをやっていくべき」というのを、ロジカルに筋道立てて考えることができたのも良かったです。

髙木 弊社ではただ調査を提供するだけではなく、その背景も一緒に洞察した上で今後の活動方針や具体的なアクションへ繋がるような支援を行っています。今回の場合も、インタビュー結果の解釈と、世の中や業界の動き、生活者の価値観の変化とをつなぎ合わせることで、深みのある発見ができ、事業部の方たちとも共通言語を形成しやすかったと思います。


対談写真2

組織内のブレない軸の形成と顧客起点の体験設計に成功
社会的価値を創出し、愛され続けるブランドへ

──取り組み後の具体的な成果を教えてください。

近藤様 具体的な気づき・アクションとしては、大きく2つあります。

1つ目は、組織内におけるブレない軸が形成できたことです。顧客がブランドをどのような位置づけとして捉え、ブランドがどのような存在となっているのか、メンバーが顧客に対する共通認識を持つことができました。顧客が実現したいことを理解・言語化した上で、組織内でも浸透するようになりました。

2つ目は、顧客起点の体験設計ができたことです。インタビューで明確になったブランドの価値を盛り込んだプロダクト・コミュニケーションを提供できるようになりました。顧客の声を活かして実現したい姿を考えながら、体験設計をすることができたことがこの取り組みの中で得られた成果だと感じています。

対談写真3

──最後に今後の展開をお聞かせください。

近藤様 現在、弊社には約50種類のブランドがありますが、それぞれのお客様において把握できていること できていないこと 両側面あるのが現状です。例えば、PEARLY GATES(パーリーゲイツ)というゴルフブランドのお客様が、PINKY&DIANNEをご購入いただいているケースもあるかと思います。そのため、まずは各ブランドのロイヤルカスタマーの特徴やカニバリ状況を明確化する必要があります。また、弊社のブランドをまだご購入いただいたことのないお客様への理解も深めなければなりません。最終的には、社会的価値を創出し、愛され続けるファッションエンターテイメント創造企業を目指していきたいです。

 

 

 

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